大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ

Boxは単なるファイル置き場ではない――、日本で躍進する“Boxの今”を追う

 働き方改革やビジネス変革への取り組みが加速するなか、クラウドコンテンツ管理ソリューションを提供するBoxが、日本において高い成長を遂げている。日本におけるBoxのユーザー数は、2019年7月には4800社であったものが、わずか3カ月で、5200社以上にまで拡大。日経225の45%の企業が導入。攻めのIT銘柄企業の62%が導入しているという。

 同社では、新たに「Box Shield」および「Box Relay」を投入。セキュリティの強化とともに、社内外をシームレスに結んだコラボレーションの実現、アプリケーションの統合による利用環境の進化を遂げた。

 これらの製品は、日本において今後の課題のひとつである金融機関や政府、自治体などに対するBoxの導入を促進するトリガーのひとつになる。

 2019年10月に、米国サンフランシスコで開催された年次イベント「BoxWorks 2019」の現地取材や、Box Japanの古市克典社長への取材などを通じて、Boxの今を追った。

米国サンフランシスコで開催された「BoxWorks 2019」

急速に拡大するBoxの導入

 米Boxは、2019年10月3日、4日(現地時間)の2日間、米国サンフランシスコのモスコーニセンター ウエストにおいて、年次イベント「BoxWorks 2019」を開催した。

 今年で9回目となる同イベントには、全世界から約5000人が参加。そのうち、日本からは、パートナー企業やユーザー企業など、135人が参加した。

 Box Japanの古市克典社長は、「私が日本法人の社長に就任した直後に開催されたBoxWorksは、ホテルの一室を借りるぐらいの規模だった。当時は、日本に会社は作ったものの、オフィスがない状態。いる場所がないが、どこでも仕事ができるので、それなら米国に来てはどうかと言われて参加したのが最初」と振り返りながら、「昨年以降、日本からのBoxWorksへの参加者が増加している。日本のパートナーや企業が、Boxに高い関心を寄せていることの証し」と語る。

Box Japanの古市克典社長

 実際、関心の高まりを証明するように、Boxのユーザー数は急速に拡大している。

 BoxWorks 2019で、米Boxのアーロン・レヴィ会長兼CEOは、「Boxのユーザー数は、全世界で9万5000社以上に達し、フォーチュン500社のうち69%の企業が利用している」と前置き。

 「Boxは、クラウドコンテンツマネジメントというコンセプトを打ち出しており、働き方をシンプル化し、合理化し、ビジネスのスピードをあげたい、生産性をあげたいというニーズに対応することができる。大手企業やスタートアップ企業のほか、公共、金融、小売り、製造などさまざまな業界で利用されている」と、状況を説明している。

米Boxのアーロン・レヴィ会長兼CEO

 日本においても高い成長性は同様で、2019年7月には4800社であったものが、わずか3カ月後の10月には5200社以上にまで拡大。日経225の45%の企業が導入し、攻めのIT銘柄企業の62%が導入しているという。

フォーチュン500社の69%がBoxを採用
日本では5200社以上が採用している

 Boxがこれだけ高い成長を遂げている理由として、レヴィ会長兼CEOは、次のように語る。

 「いまや、業務プロセスや働き方が変わり、社内外の人たちがコラボレーションしながら仕事をすることが前提となっている。それをサポートするツールがなければ、ビジネスが成り立たなくなっている。Boxは、これに対応するだけでなく、直感的に利用できるクラウドツールであること、ユーザーにアプリケーションの選択肢を提供し、複数のアプリケーションをシームレスに利用できることが特徴だ。加えて、セキュリティがしっかりと担保されている。Boxによってコラボレーションの仕方やコンテンツ管理の仕方が進化し、セキュリティを強化でき、ビジネスのレベルを高め、ビジネスの課題を解決できる」。

 Boxは、ガートナー、フォレスター、IDCという3つの調査会社のレポートでは、いずれも「リーダー」のポジションを獲得している。業界内では、これを「ハットトリック」と表現することもあるが、この調査からもわかるように、Boxは、クラウド・コンテンツ・マネジメント市場をリードする立場にある。

ガートナー、フォレスター、IDCという3つの調査会社のレポートにおいて「リーダー」のポジションを獲得