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明電舎、TISの「Oracle Exadata クラウドマイグレーションサービス」でDRサイトをクラウド移行

 TIS株式会社は11日、TISの「Oracle Exadata クラウドマイグレーションサービス」により、株式会社明電舎のDRサイトに利用されていた「Oracle Exadata Database Machine(以下、Exadata)」をクラウドサービスへ移行したと発表した。これにより、2つのオンプレミス環境の維持にかかるコストを約50%削減したという。

 日本オラクル株式会社が提供する「Oracle Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure」は、Oracle Databaseの処理に適したプラットフォームであるExadataを、パブリッククラウドで専有環境として提供するサービス。クラウド上でデータベースが統合管理されるため、システム運用の負荷が軽減されるとともに、ハイブリッドクラウドにも対応し、オンプレミスで運用しているExadataのBCP/DR対策としても利用できる。

 TISのOracle Exadata クラウドマイグレーションサービスは、オンプレミスで稼働しているエンタープライズデータベースシステムを、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のExadata Database Service on Dedicated Infrastructureに移行するためのサービス。Oracle Databaseを含むシステムの、OCIおよびExadata Database Service on Dedicated Infrastructureへの移行を、コンサルティングから移行、運用保守までワンストップで提供する。

 明電舎では、売り上げや納入実績データを蓄積・管理するデータウェアハウス(DWH)強化を目的に、2017年に初めて西日本のデータセンターにExadataを導入した。ExadataをDWHとして運用するにあたり、10以上の業務システムをExadataに移行し、まず基幹業務を支える統合データベース環境を整えた。その後、東日本データセンターに2台目のExadataを導入し、災害や障害に備えるDRサイトを構築し、BCP対策の強化を図っている。

 しかし、これら2台のExadataを運用する上で、5年ごとの更改費用と月々のデータセンター維持費用といったコスト面の課題が浮上。このため、次の保守期限を迎えるまでに改善策を講じることを検討していた。そこで明電舎は、2021年末からクラウドとの組み合わせを視野に入れ、次世代のネットワーク構成の検討を開始した。

 TISと明電舎は、基幹業務に影響が及ぶリスクを考慮し、西日本データセンターの本番環境はそのまま継続し、東日本データセンターのDRサイトのみを見直すことにした。そして、既存のExadataを継続する選択肢を残しつつ、Exadataをクラウドサービスに変更する複数の案を比較検討した。

 既存の2台のExadataもTISの導入支援によるものであることや、明電舎のエンジニアを対象としたExadataのチューニング方法や性能評価の実施方法などの勉強会開催実績などから、データベースに関する知識と技術力に信頼がおけたこと、品質・コスト・運用面などで条件を満たす点から、TISとOracle Exadata クラウドマイグレーションサービスが選定されたという。

 プロジェクトは2022年5月から約6カ月間にわたって実施。TISはOCI上のExadata Database Service on Dedicated Infrastructureの環境構築を担当し、明電舎は本番環境から東日本データセンターの接続先をExadata Database Service on Dedicated Infrastructureに変更する役割を担当した。

 Oracle Exadata クラウドマイグレーションサービスの導入による効果としては、BCPの安全性を損なうことなくコストを抑制でき、オンプレミスのExadataを継続した場合と比べて、データセンターの年間費用なども約50%削減できたという。

 また、TISが運用支援の一環として実施している定期的な性能評価により、西日本の本番環境とクラウドのExadata Database Service on Dedicated Infrastructure間における、データ転送量の突発的な増加が予測しやすくなり、ネットワークの帯域を拡大するといったプロアクティブな対応が可能になったという。