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両備システムズ、医療機関向け統合参照ビューア「HyMarks DARTS」のクラウド版を提供

 株式会社両備システムズは10日、医療機関向け診療支援システムとして、クラウド版統合参照ビューア「HyMarks DARTS」を7月に提供開始したと発表した。HyMarks DARTSは、医療機関の各種データを一元管理することで、院内オペレーションの改善と、正確でスピーディな診療を支援する。

 両備システムズは、医療の現場では放射線や内視鏡などの画像データやレポート、各種検査記録のデータ、同意書やリハビリ関連書類、薬剤情報など、患者の診察・治療に関わる膨大なデータが取り扱われていると説明。一方、病院規模やオペレーション上の都合で紙情報による運用が残っていたり、複数の部門システムのある病院では各部門システムから生成されるデータが散在していたりと、データ管理の煩雑化と診察時に参照データが効率的に閲覧できないという点に課題があったという。

 こうした課題を解決するため、院内全体の情報を共有する仕組みとして、2014年から提供している統合参照ビューア「HyMarks DARTS」を、「医療DX令和ビジョン2030」の病院の電子カルテシステムなどのクラウド化方針に沿ったクラウド版として提供する。

クラウド版統合参照ビューア「HyMarks DARTS」サービス概要

 紙書類から検査画像、検査結果データなど、HyMarks DARTSに集約されたデータは、横軸を日付、縦軸を文書種類とする二次元マトリックスでサムネイル表示される。いつ、どんな診療情報が記録されているか全体を俯瞰(ふかん)し、直感的に把握できる。すべての情報を同じ操作で確認でき、スピーディな診察が求められる中で、導入済みの部門システムをそれぞれ動作するよりも必要な情報を素早く確認できる。

マトリックスビューの画面イメージ

 職種や業務に合わせて、見たい画像や書類を絞り込んで表示させるフィルター機能も備える。絞り込み設定のリストは、病院全体で共通のものだけでなく、医療従事者個人ごとに設定して登録しておくこともでき、業務に直結する情報のみ表示することで、効率化を実現する。

 また、PC操作が苦手な職員でも直感的に操作しやすい画面UIとなっており、医師だけに限らず、看護師、検査技師、医事課職員など多職種の職員にも利用できる。これにより、多職種間での情報共有化を促進し、院内全体のDX化のツールとしても活用できる。

 厚生労働省の電子保存ガイドラインに記載された、カルテ保存三原則を満たすための「長期署名」に対応したタイムスタンプを付与することで、スキャンした書類データに原本性を持たせられる。原紙を保管するスペースが不要になり、長期保存が必要な文書も安全で適切に保管することで、院内全体のペーパーストックレス化に貢献できる。

 また、事業継続対策(BCP)として、電子カルテに入力した「診療記録」を毎日HyMarks DARTSに取り込むことで、電子カルテのバックアップとして、サイバー攻撃、マルウェア感染、自然災害などの緊急時にも、医療を提供できる仕組みとして活用できる。

 両備システムズでは、さらなる機能強化に向けて「生成AIサービス」との連携を進めており、これまで文書管理システムやファイリングシステムが苦手としていた条件抽出について、生成AIを活用したシステムを2026年頃の実用化を目指して取り組んでいると説明。製品は、2030年末まで200団体の導入を目指すとしている。