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「CentOS Linux」終了へ 開発者の動揺と救済の動き

CentOS代替の動き

 CentOS Linuxの代替を探る動きも活発だ。主要なRHEL互換としては、オープンソース界では人気がいまひとつの「Oracle Linux」ぐらいしか残っていない。Oracle Linuxを試したTech Republicは、Oracleとオープンソースの過去から喜んでとは言わないが、「性能や安定性から十分選択肢になりうる」と結論している。

 むしろ目立つのは新しい動きだ。Red HatがCentOS Streamにフォーカスすると発表した翌日に立ち上がったのが「Rocky Linux」という新しいプロジェクトで、CentOSのオリジナル開発者、Gregory Kurtzer氏が発表したものだ。

 「以前CentOSが行っていたように、リリースが追加される前ではなく、追加された後にリリースをビルドすることで、ダウンストリームビルドとして機能することを目指す」とうたう。プロジェクトのスポンサーの1社としてAmazon Web Servicesの名前もある。

 Rocky Linuxには、発表から1週間もたたないうちに、650人以上の開発者が貢献を名乗り出た、とData Center Knowledgeは伝えている。

 さらに、その直後に名乗りを上げたのが、ホスティング用途のLinuxを開発する「CloudLinux」だ。CentOSベースのディストリビューションを開発してきた手腕を生かし、「1対1のバイナリ互換のあるRHEL 8(とそれ以降のリリース)のフォーク(分岐)を、2021年第1四半期に届ける」と約束する。投資額は実に年100万ドル。CloudLinuxはその後、正式名称を「AlmaLinux」と発表した。

 CentOSの動きは、昔の“インフラただ乗り論”を蒸し返し、企業がオープンソースを基盤にビジネスすることの難しさを改めて浮き彫りにした。一方で、あるプロジェクトがなくなっても代替が出てくるとオープンソースの底力も印象付けたようだ。