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「友人にも勧めたい?」――NPS指標によるマーケ支援、NTTコムオンラインが提供

米Satmetrixと日本での独占業務提携

 NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(以下、NTTコムオンライン)は13日、米Satmetrix Systemzと協業し、顧客ロイヤルティを向上させるネットプロモーター・ソリューション「Satmetrix Pro」を日本市場で独占提供すると発表した。

 Satmetrixは、顧客満足度を測る指標「NPS(Net Promoter Score)」をベースとしたクラウド型マーケティング支援サービスを提供する企業。『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 』(ランダムハウス講談社)の著書で有名なBain&Companyのフレッド・ライクヘルド氏とともに、NPSの開発そのものに関わっている。

 NPSは、「友人や同僚に勧めたいか?」というシンプルな質問から顧客満足度を測る指標。「0(全く思わない)」~「10(非常にそう思う)」の11段階の回答から、スコアが低い顧客を「批判者(Detractors)」、高い顧客を「推奨者(Promoters)」と定義し、「推奨者の割合」-「批判者の割合」で算出される。

 推奨者は9~10と回答した顧客のみで、指標としては条件が厳しめなのが特徴。非常にシンプルな指標といえるが、各種の調査により、NPSが企業の業績と相関が高いことも証明されているという。

NPSは、「友人や同僚に勧めたいか?」というシンプルな質問への回答から算出される、顧客満足度を測る指標。11段階の回答から「批判者」と「推奨者」を見極める
推奨者と批判者の「一人あたりの生涯価値(Life Time Value)」を示したもの。グラフの濃紺部分が「その人が商品を購入した金額」、水色部分が「その人のクチコミにより購入された金額」。重要なのは水色部分で、推奨者は周りの人にも商品を購入させる価値があり、批判者は周りの人の購入意欲を削ぐため、両者のLTVには大きな差が生じる

 欧米で高い注目を集めるNPSだが、その本質的な意味は、NPSを通して得られる顧客のフィードバックに向き合うこと。顧客の声を関係者全体で共有し、改善策を取り、PDCAを継続させることにある。その結果、推奨者が増え、業績を向上できる。この一連のプロセスのことを「ネットプロモーター・ソリューション」と呼ぶ。

 Satmetrixが提供する「Satmetrix Pro」は、こうしたプロセスをワンストップで進められるクラウドサービス。アンケートを作成し、顧客へメール配信。フィードバックを集計・一覧し、現状把握や要因分析を行う。質問の結果、顧客満足度が低い場合は、担当者へ対策指示付きのアラートが発せられ、実際の顧客接点となる営業担当やコールセンターのオペレーターなどへ改善活動を促せる。

 このようなロイヤリティ向上のための取り組みを、「Web/店頭検討」「購入」「配送」「設置」「使う」「問い合わせ」「請求」といった顧客体験全体を通じて行えるのが特長で、例えば、「検討段階の商品案内が十分だったか」「大型商品の場合は設置に問題はなかったか」「使用感はどうか」「問い合わせの対応は親切だったか」など、多く存在する顧客とのタッチポイントの中、「特にクリティカルなタッチポイントで対応を間違えて悪評を招かないよう、顧客体験全体を通じてPDCAを回しながらロイヤリティを高められる」(NTTコムオンライン 代表取締役社長の塚本良江氏)というわけだ。

 「活用すればするほど、NPSが蓄積されていくことになる。その一つ一つに改善アクションを続けていけば、中長期的には戦略に反映させるような指標が得られる」(同氏)のもメリットとなる。

Satmetrix Proの概要
顧客体験全体を通じてロイヤリティを向上

 今回の業務提携により、NTTコムオンラインが「Satmetrix Pro」を日本市場で独占販売する。2014年夏のサービス開始予定。併せて、「Satmetrix Pro」を活用した顧客ロイヤルティ・プログラムの運営を支援するコンサルティングサービス、Satmetrix・NPS公認資格(SatmetrixはNPSの開発そのものに関わっている)の日本語プログラムも提供する。

 同資格はグローバルで約4000名超の人が取得しており、欧米では、企業組織のあらゆるところ――特に顧客接点に有資格者を配置する取り組みが進んでいるという。同じように「日本でも自社の顧客満足度向上を推進する人材を育成するプログラムとして普及に努める」(塚本氏)という。

 Satmetrix CEOのリチャード・オーエン氏は「NPSは日本においても認知が広がっている。顧客の長期的な満足・成功は日本のビジネスカルチャーとも合致するはず。また、クラウドベースのマーケティングサービスも日本では急速に普及している。今回、NTTコムオンラインと業務提携することで、日本国内での市場価値をさらに向上できることをうれしく思う」とコメント。

 現在、2014年夏のリリースに向けて、NTTコムオンラインによって日本語化が進められているところだ。

【左】リチャード・オーエン氏、【右】塚本良江氏

川島 弘之