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Qualcommが24億ドルでAlphawave買収 データセンター市場本格参入へ

 Qualcommが英国の半導体企業Alphawave Semiの買収を発表した。買収額は約24億ドルで、Alphawaveの技術をデータセンター事業拡大に活用するという。これによってスマートフォン向けSoC最大手が、AI時代の主戦場であるデータセンターに本格参入する。NVIDIAの“1強状態”にある同市場では、各プレーヤーがそれぞれの思惑で動いている。

破格の条件で英Alphawaveを獲得

 「Qualcommの先進的なカスタムプロセッサは、データセンターのワークロードに最適だ」。6月9日のAlphawave Semiの買収の発表で、同社のCEO、Cristiano Amon氏はこうコメントしている。

 買収額の24億ドルは現金で支払う。この額はAlphawaveの3月31日終値に対して96%のプレミアムを上乗せするという破格の条件だ。Alphawaveは2021年にロンドン証券取引所へ上場した新興企業だが、高速有線接続や、半導体と光学部品を同一基板上に実装する「CPO」(Co-Packaged Optics)など次世代接続技術を持っている。

 特に同社の「AresCORE」は、SoC内部の通信速度を伝送路(レーン)当たり64Gbpsにまで高める性能を持ち、次世代AIチップに不可欠な低遅延・高帯域接続の基盤となる。買収は2026年第1四半期に完了する予定。Qualcommが展開する「Oryon CPU」や「Hexagon NPU」と組み合わせることで、高性能かつ低消費電力なデータセンター向けソリューションを提供するという。

 今回の買収は、AIデータセンターの急激な伸長を受けたものだ。「AI推論の急速な増加とデータセンターでのカスタムCPUへの移行が背景にある。われわれは高性能かつ低消費電力のコンピューティングに対する需要増に応える上で最適なポジションにある」(プレスリリース)としている。

 Alphawaveには、Arm(ソフトバンク傘下)も買収に関心を持っていたが、4月のReuters報道によると最終的に見送ったという。