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TOKIUM、契約に関する情報をクラウドで一元管理する新サービス「TOKIUM契約管理」
2024年5月30日 06:15
株式会社TOKIUMは29日、紙・電子いずれの契約書もクラウド上で一元管理できる契約管理クラウド「TOKIUM契約管理」を、6月3日から提供開始すると発表した。価格(税別)は初期登録費用が5万円、月額利用料は4万3000円からで、2027年5月末までに2000社導入を目指す。
契約管理サービスは複数社から提供されているが、契約書の作成と管理機能を中心としたもの、契約管理や営業管理を中心としたものであるのに対し、TOKIUMのサービスは契約管理と支出情報を統合していることが特徴。部署ごとに個別に行われることも多い契約情報を社内で統合的に管理し、法務部、管理を行う部署、経営層など、どの部門がどんな契約を行っているのかを把握しやすい状況を作る。
また、AIを活用することで必要な情報を検索し、契約更新の際には不要な更新による費用流出を防いで、下請法やフリーランス保護法など、取引に潜むリスクを把握する。取引先情報を自動更新するため、締結済の契約に潜むコンプライアンスリスクの検知、過去の類似契約へ迅速にアクセスし、取引の妥当性判断などを行える点も特長だ。
なおTOKIUMはこれまでに、経費精算業務をペーパーレス化する経費精算クラウド「TOKIUM経費精算」、請求書受領をクラウド化した「TOKIUMインボイス」、取引関係書類を電子帳簿保存法の要件を満たして保存する文書管理クラウド「TOKIUM電子帳簿保存」という3つのサービスを提供している。今回の新サービスTOKIUM契約管理はそれに続くもので、支出を適切に管理するプラットフォームとなるBSM(支出管理:Business Spend Management)プラットフォームを目指す。
TOKIUMの代表取締役の黒﨑賢一氏は、「会社設立から10年経ち、複数サービスを提供しているが、今日の発表は新しく会社をスタートするような気持ちで臨んでいる。すごく重要なサービスで、さまざまなリーガルテックのサービスが出ているが、TOKIUMのサービスはちょっと違う。これこそ世の中のスタンダードでは?と思ってもらうことができれば」とアピールした。
またTOKIUM プラットフォーム戦略室の大槻直輝氏は、「当社の契約管理が取り組む領域だが、契約書の業務プロセスの1つ目は、契約書を作成し、内容確認、レビューをするといった作業。2つ目は、作成した契約書の締結に関わる、電子締結と呼ばれるところ。最後に締結し終わったものを実際に管理するというプロセスになる。今回、当社では最後の締結済の契約書の管理をメインにやっていく」と話した。
企業の契約にまつわる実態をインタビュー調査したところ、「契約期間を適切に管理されていなかったために、本来であれば終了すべき契約をうっかり自動更新し、無駄な支出が発生といったケースが起こっているという話があった。契約が適切に管理されていればそういった無駄な支出を発生させずに済む。また、下請法、フリーランス保護法といった、発注側が適切に管理すべき契約の管理が十分ではなく、ガバナンス面でリスクが生まれるといったことや、新しい取引先と取引を始める際、反社チェックをするといったことも必要となる。そういった契約は、過去の類似した契約内容がないかを確認し、少し引用すればより早く契約書を作成でき、早く意思決定もできる。結果として事業のスピードをどんどん早く進めていけるのではないかと考えるものの、それが実現できていないという声があった」(大槻氏)など、見直すべき実態があることが明らかになったという。
しかし、契約書は紙を利用している場合も依然多く、製本された契約書も多いために、電子データ化する作業は容易ではない。また、取引先が電子契約を利用している場合には、電子帳簿保存法にのっとってそのデータをそのまま活用しなければいけないために、多くの企業では紙と電子契約書が併存しているのが実態だ。
そこでTOKIUM契約管理では、TOKIUMが紙の契約書のスキャンを代行し、生成AIにより自動でデータ化する。電子化されている契約書は、PDFファイルをサービスにアップロードし、紙、電子両方の契約書を一元管理するという。
契約書の内容はAI-OCRで全文文字起こしし、全文を対象にした検索が可能となる。生成AIを活用し、契約書から管理項目を高精度で自動抽出するため、システムへ情報入力する場合に工数を削減できる。
なお、今回の新サービスをはじめ、同社が目指すBSMは、社内の支払いの最適化を目指したものだ。
「従来の経費管理は、1つ1つの経費の発生が会社の規定にのっとっているか、処理されているかというものを管理するための仕組みだった。適切に会計処理を行うということはできるものの、業務行う企業のスタッフにとっては、1個1個の領収書のデータを入力する手間や、いまだに紙を使った業務が残り続け、業務の効率化は十分に進んでいない。BSMは、単に支出金管理だけでなく、業務全体を改善、効率化し、その先に支出データを可視化し、支出を最適化する意思決定、アクションを行うことが目的となっている。経費申請をする現場、それを承認する経理担当者といった2者間のコミュニケーションだけでなく、契約を基に何か購買する時は法務部の方が関わる、調達する際には購買部が関わる。さらに、事業全体の利益を見て、会社全体の利益を見る事業責任者や、経営層といった幅広い人たちが関わることができるプラットフォームを目指す」(大槻氏)と説明している。
また、BSMプラットフォームについて黒崎社長は、「これまで例えばERPでは会計システムをメインに進化してきたという歴史があるものの、その重要性は減ってきているのではないか。会計システムは企業の皆さんが自社に最適だと思うものを利用してくれれば良い。その周辺で、従業員が日常的に使う業務システムの方が取り残されていると感じているので、当社はその分野に注力してサービス提供を行っていく。この辺の周辺サービスについては、有名ERPも弱い分野だが、時代は大きく変わってきている」と述べ、多くの従業員が利用するBSMプラットフォームに注力する狙いを説明した。