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Sansan、請求書管理サービス「Bill One」を進化 入金消込や経費精算の手間を大幅削減

 Sansan株式会社は21日、請求書管理サービス「Bill One」の機能を進化させた「Bill One Model4」の提供を開始すると発表した。

 請求書の発行業務および発行後の入金消込業務効率化を狙い、住信SBIネット銀行と連携し、Sansanが銀行代理業者として取引の媒介を行うことで、入金消込業務の自動化と、仕訳データの自動作成も可能とする。提供開始時期は2024年8月以降を予定している。

 2024年6月提供予定の経費精算機能は、経費精算にまつわる処理をオンラインで完結し、法人カードで経費を支払う際に発生する明細突合や証憑提出の督促を自動化し、経費精算における経理部門の作業を大幅に軽減する。

 Sansan 代表取締役社長CEO兼CPOの寺田親弘氏は、「Bill Oneは、請求書の受領業務をデジタル化し、経理担当者がより本質的な業務に向き合い、経営の意思決定のスピード向上を目指してきた。一方、経理が関わる業務は、請求書の受領以外にもたくさんあることから、より広範囲に経理業務をカバーし、さらに月次決算の加速に貢献できるサービスへとアップデートさせたいと取り組んだのが今回のModel4となる。これまで請求書受領メインだったBill Oneを請求書受領、発行、経費精算の3領域に拡大していく」と機能強化の狙いを説明した。

Sansan株式会社 代表取締役社長CEO兼CPOの寺田親弘氏

 今回の機能強化は、以前からあるBill Oneの請求書受領、請求書の作成、請求書発行機能に加え、請求書発行後の入金消込までの機能の自動化と、経費精算機能によって経費精算にまつわる業務の軽減を目指したもの。最初にBill Oneが開発された時点では、経理担当者が紙の請求書をスキャンしてアップロードし、Bill Oneが支払いに必要な項目をデータ化するものだったのに対し、その後の進化でBill Oneでデータ化したものを仕訳する機能を追加した。さらに、そこに郵送、メール、アップロードといった手段を問わず、あらゆる請求書をBill Oneが代理で受領し、データ化して一元管理する現在の仕様へと進化を続けてきた。今回は4回目といえる大きな進化であることから、Model4としている。

Bill One Model4

 新たな請求書発行機能では、請求書発行時、取引先ごとに入金専用のユニークなバーチャル口座を付与する。通常、銀行に入金があった際には、漢字の社名、アルファベットの社名であっても口座への振込名義人名はカタカナ表記されるため、突合作業に手間がかかる。また、企業によっては複数の請求を合算してまとめて入金することもあり、消し込み作業に手間がかかることもある。

 そこで取引先ごとにバーチャル口座を付与することで、請求書ごとの取引内容が明確になり、請求情報と入金情報を自動でひも付けし、さらに金額が合っているかを表示する。合算入金の場合にも入金先を自動で特定することができることから、経理担当者によって負荷が大きかった入金消込作業を大幅に軽減するという。

ユニークなバーチャル口座を取引先ごとに付与、請求書に口座情報を自動で反映
請求情報と入金情報を自動でひも付け、金額が合っているかを表示
合算入金の場合にも入金先を自動で特定できる

 執行役員/Bill One事業部 事業部長の大西勝也氏は「請求書の発行から入金消し込みまでをBill One上で一気通貫に完結できれば、経理担当者から負荷が大きい作業とされている、入金消込作業の課題を解決できるんではないかと考えた。今回、住信SBIネット銀行と提携し、当社が銀行代理業の許可を取得することで、Bill One Bankの提供を開始した。銀行代理業とは、預金または定期預金の受け入れといった契約の締結などを代行する業務で、事業開始には内閣総理大臣の許可が必要となる。当社は、住信SBIネット銀行と連携し、ネオバンクという枠組みを活用することで、このBill One Bankを提供する」と説明した。

 また、「入金、消し込みができる請求書DXサービスはほかにもあるが、銀行代理業の許可を取得し、銀行機能をサービスの中に組み込んでいるのはBill Oneだけになる。Bill One Bankを活用することで、請求書作成から入金、消し込みまでのほとんどの作業の自動化を実現した」と話している。

 なお、Bill One Bank提供の狙いは入金消込作業の自動化で、「当社自身が銀行業務を展開することを狙いとしたものではない。作業後は入金されたものを利用している銀行口座に移してもらって問題ない」(寺田社長)と説明している。

Bill Oneで請求書を発行するだけで、一気通貫で完結
Bill One Bank

 もうひとつの機能である経費精算だが、現在の経費精算は従業員が経費を立て替え、後日領収書を経理部門に提出し、それが認められると建て替え分を支払うというサイクルとなっている。経理部門は、提出された領収書をチェックし、会社が認めている経費かどうかを判断することに加え、インボイス制度スタート以降はインボイス制度の要件を満たしているのかをチェックするといった、新たな確認が必要となっている。そして領収書精算は、月初と月末に処理作業が集中することが多く、経理担当者は短期間に作業を処理しなければならない。

立替経費による経理への負担

 そこで今回は、Bill Oneの経費処理機能を強化した。領収書や請求書を、カメラで撮影するなどの方法でアップロードすると、その証憑をデータ化し、利用明細と自動で照合するとともに、インボイス制度の要件を満たすかどうかを自動で判定するする仕組みで、経理担当者の作業負担を大幅に軽減できるという。

アップロードされた証憑をデータ化、利用明細と自動で照合 インボイス制度の要件を満たすかどうかも自動で判定

 さらに、法人カード「Bill Oneビジネスカード」を従業員に配布し、認められている経費処理の精算に利用することで、従業員が立て替えることなく経費処理が完了するなど、さらに効率的に経費精算を行うことができるとした。

 大西氏は、「アンケート調査を行ったところ、インボイス制度開始以降、受け取った領収書の確認処理が増えているという声が、経費精算にまつわる課題の1位として挙がった。さらに、2位に月末月初に業務が集中することも挙がっていた。また、経費の不正利用はどの会社にもある課題のひとつで、今回提供した機能によって、こうした、インボイスにまつわる手間、経費処理時期のリアルタイム化、不正利用を起こさない経費処理の実現を目指した」と説明している。

Sansan株式会社 執行役員/Bill One事業部 事業部長の大西勝也氏

 なお、Bill One事業はリリースから4年を経過し、2024年5月期でARR68億円、契約社数は2600社となった。

 寺田社長は、「SaaSを提供する企業の成功指針とされるT2D3は、Triple(3倍)、Triple(3倍)、Double(2倍)、Double(2倍)、Double(2倍)での成長を5年で達成となっているが、Bill Oneは4年間で68億4400万円を超える売上を達成するなど、高い成長を見せている。T2D3を達成したSaaSベンダーは、日本にはほとんどないとされているが、Bill Oneはそれを達成したサービスとなるだろう」と述べ、Bill One事業の成果に強い自信を見せた。