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富士通とAWS、クラウドを活用したメインフレームモダナイゼーションで協業 5年で国内30社・国外10社が目標
2024年3月19日 06:15
富士通株式会社とAmazon Web Services(AWS)は、メインフレームで動くレガシーシステムをAWSのクラウド上に移行するモダナイゼーション(近代化)に向けて、グローバルパートナーシップ「Modernization Acceleration Joint Initiative」に合意したことを、3月18日に発表した。4月1日より取り組みを開始する。
クラウドについてのアセスメントから、AWS Blu AgeによるCOBOLアプリケーションのJavaへの自動変換、最終テストとシステム移行、クラウドでの運用までをカバーする。
富士通のミッションクリティカルシステムにおけるシステムインテグレーション技術と、AWSのクラウドにおけるAWSプロフェッショナルサービスを組み合わせる。AWSは、メインフレームモダナイゼーション「AWS Mainframe Modernization」を、富士通製メインフレーム「GS21シリーズ」の顧客のサポートに最適化した。移行後の運用については、富士通の「Fujitsu Uvance」でクラウドの運用最適化を支援する「Fujitsu Cloud Managed Service」によりサポートを行う。
富士通製メインフレームの顧客を対象に、2029年度までの5年間で、日本国内30社と海外10社をビジネス目標としている。そのほか、他社製メインフレームを利用しているところにも、Modernization Acceleration Joint Initiativeによるサービスを展開する予定。
すでにModernization Acceleration Joint Initiativeの先行事例として、株式会社髙島屋のレガシーシステムのマイグレーションに取り組んでおり、移行の期間短縮やコスト削減を見込んでいる。
同日開催された記者会見には、富士通株式会社 執行役員SEVP(兼)グローバルテクノロジービジネスグループ長 島津めぐみ氏と、Amazon Web Services Inc. グローバルサービス担当バイスプレジデント ウウェム・ウクポン氏が出席し、提携の内容や背景について語った。
2030年の富士通製メインフレーム販売終了に向けてモダナイゼーションに注力
島津氏は、メインフレームからのモダナイゼーションが必要となる背景として、将来の予測が困難な中で俊敏性や強靭性が求められることや、データドリブン経営のためのデータ利活用の基盤整備を挙げる。
さらに富士通にとって直接の要因となるのが、2030年の富士通製メインフレーム販売終了と、2029年の富士製造UNIXサーバー販売終了を、2022年に発表したことだ。
島津氏によると、この発表の後にAWSからアプローチがあったという。そして、AWS Blu AgeによるCOBOLアプリケーションのJavaへの変換の検証を1年半かけて検討し、富士通製メインフレームのアプリケーションが従来と同等に稼働することを確認して、今回のパートナーシップに至った。
なお、今回はモダナイゼーションを対象とするため、COBOLアプリケーションそのままのAWSへの移行は対象外とのことだった。
富士通がレガシーシステムのモダナイゼーションでAWSを選択する理由として、島津氏は、グローバルスタンダードなクラウドであること、メインフレーム移行で実績を持つAWS Blu Ageの技術、そしてこれまでの戦略的パートナーとしての協業成果を挙げた。
またAWSのウクポン氏も、これまでの富士通とのパートナーシップを強調。AWSジャパン認定受賞や、AWS認定資格者数、技術者育成などを挙げた。
ウクポン氏はモダナイゼーションに自動化が非常に重要だとし、COBOLアプリケーションをJavaに変換するAWS Blu Ageならモダナイゼーションを最速で行えるとアピールした。AWS Blu Ageではコードの変換のほか、データベースなどの要素技術をAWSのものに置き換えるような変換も行えるという。
さらに将来のビジョンとして、メインフレームモダナイゼーションにおける運用やテスト、検証などにAIを応用して移行を支えることも語った。