ニュース

富士通、モダナイゼーションの計画策定を生成AIで支援する「Fujitsu 資産分析・可視化サービス」を提供

 富士通株式会社は4日、企業や組織のモダナイゼーション推進を支援するため、顧客の情報システム資産の調査や分析、ブラックボックス化したアプリケーション構造や特性の可視化、生成AIを活用した設計書生成により、現行システムの全体像を把握し、最適なモダナイゼーションの計画策定を実現する「Fujitsu 資産分析・可視化サービス」を日本国内向けに2月に提供開始すると発表した。

 Fujitsu 資産分析・可視化サービスは、アプリケーション資産の全体把握から、モダナイゼーション対象のアプリケーション資産の最適化、メインフレームからオープン環境へ移行する際の移植性の評価までを行う「資産分析・可視化サービス for アプリケーション資産」と、アプリケーション資産からプログラム仕様書やジョブフロー図などの設計書を生成する「設計書リバースサービス for アプリケーション資産」で構成される。

 資産分析・可視化サービス for アプリケーション資産は、アプリケーション資産の全体把握、スリム化・最適化、移植性評価を支援する。アプリケーションの機能構造を可視化する、ソフトウェア地図を自動作成する技術により、アプリケーション資産をビルに見立てて全体を地図形式で表現することで、アプリケーション資産全体の現状を短時間で直感的に把握できる。また、アプリケーション資産全体をプログラミング言語種別ごとに棚卸しし、使用されていない資産および類似ソースコードを検出する。さらに、不足または重複している資産を検出することで、移行対象となる資産を明確化し、スリム化を図る。

 移植性評価においては、アプリケーションに必要なメインフレームの機能を、モダナイゼーション実績に基づき標準化されたプロセスで効率的に選定し、その中からメインフレームからオープン環境への移行の際に障壁となる機能を抽出し、移植の難易度を評価する。

 設計書リバースサービス for アプリケーション資産は、解析ルールに基づき、機械的にソースコードを一行ずつ解析してシステムの構造を解明する従来の分析手法に、「Fujitsu ナレッジグラフ拡張RAG for Software Engineering」を組み合わせ、資産理解と設計書生成のさらなる高品質化を実現する。

 技術では、生成AIの一種であるLLM(大規模言語モデル)を活用して資産分析と設計情報生成を行う。具体的には、残存する設計情報や、既存のプログラム解析ツールもしくはLLMを活用したソースコードの静的解析結果(構文情報、制御フロー、データフロー、呼出関係など)を入力して、資産ナレッジグラフを作成。そこから独自のRAG機能を用いて、設計情報生成の対象とその関連範囲を高度に検索して絞り込み、関連ナレッジグラフとして抽出し、ソースコードと合わせてLLMに入力することで、ソースコードのみで設計情報を生成する場合に比べ、約40%の品質改善を確認した。

 また、同技術では、LLMの幻覚(ハルシネーション)を防ぐため、入力情報の絞り込みと、LLMの忘却を検知する機能を開発した。これにより約95%の忘却防止かつ正確な設計情報生成が可能となり、人によるレビュー作業の効率化が期待できるとしている。

 富士通は今後、生成AIを活用し、現行アプリケーションの仕様の確認やソースコード修正による影響範囲の確認を対話形式で可能にするなど、積極的に生成AIの適用範囲を拡大することで生産性向上を図り、顧客のモダナイゼーションの推進をより強力に支援し、DXの実現に貢献するとしている。

設計情報生成フロー
「Fujitsu ナレッジグラフ拡張RAG for Software Engineering」を適用した場合の設計情報生成高品質化の例
「Fujitsu 資産分析・可視化サービス」のメニュー一覧