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垂直市場に向け攻勢 新CEOが示したAWSの戦略

 Amazon Web Services(AWS)恒例の年次イベント「re:Invent 2021」に、新CEOのAdam Selipsky氏が登壇した。膨大な発表があったが、それらのラインアップやSelipsky氏の発言をみてゆくと、AWSの今後の方向が浮かび上がってくるようだ。

クラウドのさらなる拡大

 AWSの初期の幹部を経験し、Tableau Softwareを成功させたSelipsky氏は、今年5月にCEOとして戻ってきた。2006年の立ち上げからAWSを率いてきたAndy Jassy氏の後を継いでの登板となる。勝手知ったる古巣とはいえ、売上高135億300万ドルになった巨大事業のかじ取りは、大きなプレッシャーを感じながらだろう。

 今年のre:Inventは、新体制のAWSがどのような方向性を示すのかを確認する場でもある。トップの座を維持するためSelipsky氏が推進するのは、「クラウドのさらなる拡大」と、「垂直市場(業界向けソリューション)の攻略」のようだ。まずクラウド拡大の内容から見ていこう。

 re:Inventでは、オンプレミスでAWSのサービスを実行できる「AWS Outposts」にコンパクトタイプのハードウェアを投入した。昨年のre:Inventで発表したもので、1Uと2Uのラックマウント型が計3種類ある。

 AWS Outpostsは、今回発表となったNASDAQのAWS上への取引市場の移行でも中核となる製品だ。AWSが基幹系システムに食い込むための武器となる。そのコンパクトなハードウェアのターゲットは、より小規模な事業所で、店舗、工場、病院などでの利用を想定している。

 また、メインフレームのミッションクリティカルな業務をクラウドに取り込もうという「AWS Mainframe Modernization」も発表した。

 COBOLなどで書かれたアプリケーションをJavaベースのクラウドサービスに変換することで、レガシーのワークロードを移行するものだ。脱メインフレームを支援すると同時に、データレイクなどデータ活用のためのサービスを組み合わせてDXのトレンドに対応する。

 いずれもオンプレミスで行われてきた業務を、(ハイブリッドも含む)クラウドに移行させ、クラウドビジネスの拡大を図るものだ。