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LINE WORKSが事業戦略を説明、セキュリティ面に配慮した法人ビジネスであることをあらためてアピール
2024年3月13日 06:15
LINE WORKS株式会社は12日、事業戦略説明会を実施した。
同社は2024年1月5日に、社名を「ワークスモバイルジャパン株式会社」から、サービス名と同じ「LINE WORKS株式会社」に変更した。これを受けて、新しいロゴマークを作成。サービスにはこのロゴマークをつけ、社名を指しているのか、サービスを指しているのか明確にするという。
代表取締役社長の増田隆一氏は、「企業として基本コンセプトに変化はないが、AIの進化と普及、社会情勢の変化に合致したサービスの『LINE WORKS』を提供する」と、注力しているAIサービス開発、セキュリティをさらに強化していくと説明した。
セキュリティに関しては、資本関係にあるLINEヤフーの情報漏えい事件に対し、総務省が行政指導を行ったが、「LINEに何かあると、LINE WORKSにも疑いの目を向けられがちだが、そうした意見に対してはしっかり情報公開を行っていく。我々がセキュリティにどのように取り組んでいるのか、情報公開し説明する責任もあると考えている」(増田社長)と言及。どのようにセキュリティに取り組んでいるのかを明らかにするなど、セキュリティ面では徹底していることをあらためて強調した。
セキュリティ面など管理を徹底して開発に取り組んでいる
LINE WORKSの現在の資本構成は、LINEヤフーが22%、韓国のNAVER Cloudが78%。「LINEの親会社だったNAVER社はコンシューマ向けサービスを提供しているが、法人向け事業に取り組むために誕生したのがNAVER Cloud。法人向けということで、セキュリティ面など管理を徹底して開発に取り組んでいる」(増田社長)と、法人を意識した体制になっていることを説明する。
ターゲットは、法人の中でもノンデスクワーカー。パソコンでも操作できるものの、スマートフォンの利用するユーザーが多いことが特徴だ。2024年1月時点で導入企業は46万社、500万ユーザーを獲得している。
LINEを使って情報共有を行っている企業もあるが、「ご存じの通り、LINEは個人が利用する携帯電話に基づいたサービスであるのに対し、LINE WORKSは最初から法人用として作られ、管理者が必ず必要。管理者が利用者のIDを発行するグループウェアになる。管理者がIDを発行することで、LINEでよく問題になる退職者のIDをどうすればいいのか?という問題を解消可能だ」と、法人向けサービスとしてのメリットを強調。
また、「現場の担当者から、LINEを仕事でも使えばいいではないかという意見があるのもわかっているが、管理者側からすると社員同士のやり取りを会社側は把握できない、重要なデータを管理者が知らないままやり取りされているといった事態が起こる。それに対し、LINE WORKSを使うことで管理者が誰と誰がやり取りし、ファイルがどう行き来したのかなど全部ログとして確認できる」(増田社長)と、法人利用にはLINE WORKSが適していることをアピールした。
このほか、宅配会社がユーザーと連携するために、企業側はLINE WORKSを使いながらLINE利用者とつながっている事例などを紹介、LINE WORKSとLINEの連携をはじめ、外部ソリューションとの連携は170サービスに拡大していると述べた。
2024年5月末から、サービスとしてのLINE WORKSには緑、青、水色の3色のロゴを加える。緑には、コミュニケーションとコラボレーションの促進を意味するCONNECT、に青は、AIなどによる加速をあらわすBOOST、水色には、安心と安全を示すTRUSTの意味を込めているという。
CONNECTとしては、LINE WORKSのコンポーネント化を進め、複数のアプリケーションを包含しながら統合ログイン可能で、さらに新しいアプリケーションを付け加えやすい環境を整えた。
BOOSTでは、1年前に発表したAI秘書の開発を進めているほか、ボイスチャット機能を提供する「LINE WORKS AiCall」を提供。ヤマト運輸では月100万件の入電をさばくために導入し、人がすべてを対応する場合に比べ、大幅にコスト削減につながっている。またチューリッヒ保険では、事故対応窓口で導入し、電話窓口で顧客を待たせることなく案内を行う体制を構築。利用者の満足度向上につながっているという。
文字機能としては、LINE WORKS OCRを提供している。事例としては弥生が導入し、「スマート証憑管理」として提供されている。「請求書に特化したOCRとすることで、請求書に必要なデータ化するなど利用シーンに特化したAI OCRとしていることが特徴となっている」(LINE WORKS 事業企画本部 本部長の大竹哲史氏)。
LINE WORKS Visionは、カメラ映像をCloud経由でパソコン、スマートフォン、タブレットで確認できるサービス。フルHDの高画質でCloud録画を行い、モーション検知機能でフィルタリングすることなどができる。
さらに、今後はサービス構成とサービス基盤を変更し、マルチプロダクトを想定した共通基盤化することや、UI・UXの向上、LINE WORKS自体のAI実装なども進めていく計画だ。
生成AI活用についても、その企業独自のLLMを開発する企業を支援するプロジェクトをスタート。「ノーコードでLLMアプリケーションをLINE WORKSに展開できるよう開発を進めている」(大竹氏)と、本格的な生成AI活用を支援していく。
AI機能によって、LINE WORKSの利用シーンがノンデスクワーカーからデスクワーカーなどにも拡大する可能性を模索。さらに、それを支援するビジネスパートナーとの協業も拡大していく方針だ。
セキュリティに関しては、「日本できちんとガバナンスをきかせながら、開発と運用をとっている」(LINE WORKS CISO兼CPO サービスオペレーション本部本部長の松本達也氏)ことを強調。それを実証するために、新たな認証取得を継続的に行い、セキュリティホワイトペーパーを公開する準備を進めている。継続的にセキュリティに配慮した体制であることをアピールし、企業としての信頼度を高めていく方針だ。