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Box Japan、β版が提供開始されたAI機能「Box AI」のメリットや事例などを紹介

 株式会社Box Japanは7日、11月からベータ版の提供を開始したAI機能「Box AI」に関する説明を行った。

 Box AIは、2023年5月に開催した米Boxの年次イベント「Content Cloud Summit」において発表されたもので、10月に開催した年次イベント「BoxWorks 2023」では、Box AIによる複数の文書コンテンツの検索・要約を実現する機能などを発表している。

 Box AIは、OpenAIやMicrosoft、Googleとの協業によってプラットフォームを実現。さらに、Boxコンテンツとして蓄積された顧客データを適切に管理し、情報漏えいを防ぎながら、最も関連性の高い情報をインテリジェントに抽出できるという。また、AIが理解できるように情報を精選し、Box AIプラットフォームで活用できるようにしているほか、業界特化型、地域特化型のAIモデルと連携できるようにしているのも特徴だ。

Box AIプラットフォームのアーキテクチャ

 さらに、数百種類のドキュメントをサポートしたり、200ページを超える長い文章を要約したり、日本語と他の言語を、高い精度で相互に翻訳したりすることもできる。Box AIの機能のひとつであるBox AI for Notesでは、白紙の状態から文書を作成できるほか、既存の文書の要約、文書の校正などが可能になることも紹介した。

 Box, Inc. 製品戦略担当バイスプレジデントのRand Wacker(ランド・ワッカー)氏は、「生成AIは、Boxが提供するすべての製品や、すべての分野において役立つものとなり、企業が活用する情報まわりの業務を大幅に効率化できる。コンテンツを生成したり、重要なインサイトを得られたり、反復的なワークフローを自動化したり、膨大なデータセットから的確にコンテンツを発見したり、といったことが可能になる。今後は、日本のパートナーとの連携により、日本におけるAIの能力を高めていきたい」と述べた。

米Box, Inc. 製品戦略担当バイスプレジデントのRand Wacker(ランド・ワッカー)氏

 Box AIでは、2024年には新たな機能を提供する予定であり、BYOM(Bring Your Own Model)の採用や、カスタムモデルの選択、GPT-4のような高度な言語モデルの活用が可能になるという。

 「生成AIは、コンテンツの領域で大きな変革を及ぼすものになる。企業の情報の9割以上が非構造化データであり、生成AIを使うことで、これらのさまざまなドキュメントを読んだり、理解できたり、高度なワークフローに活用できたりする」と語った。

2024年にも継続して新機能を提供する

 さらに、ワッカー氏は、Boxが定めたAI原則についても言及。AIの使用を企業全体で完全に制御し、アクセス権限のあるユーザーグループを選択できる「完全制御」、許諾を得ない顧客コンテンツで、AIモデルをトレーニングする行為を防止したり、厳格なユーザーアクセス制御と権限でAIシステムを保護したりする「セキュリティとプライバシー」、AIの利用実態とデータの使用状況に関する透明性を確保し、AI出力のコンテキストとして合理的な説明を提供する「透明性」の3点を挙げた。

BoxのAI原則

 Boxの最上位エディションである「Enterprise Plus」では、Box AIベータ版を無料で利用できるようにした点も紹介した。

 Enterprise Plusは、Boxの全機能をワンパッケージとして提供するもので、コンテンツを保管するだけでなく、コンテンツの作り出すところから破棄するまで、コンテンツのプロセス全体をカバーする機能を、ひとつのプラットフォームの上で提供しているのが特徴だ。

 「Boxは、企業にとって重要な情報を1カ所に格納し、さまざまな業務に利用できるコンテンツクラウドのコンセプトを打ち出している。これをひとつのパッケージで提供しているのが、Enterprise Plusである。Box AIベータ版を利用することで、より高度な機能を提供できるようになる」とする。

 また、Box Japan専務執行役員の佐藤範之氏は、「Enterprise Plusを国内でリリースしたのは2022年度下期だが、その後、採用が加速して、日本における大規模案件の6割強でEnterprise Plusが採用されている。2024年度には7割近くまで構成比を高めることができるだろう。既存顧客のアップグレードが好調であり、中小企業ユーザーが積極的に導入している。Box AIベータ版を無料で利用できる点も好評であり、生成AIをちょっと試してみたいというユーザーからも支持を得ている。この点も他社との差別化になっており、攻めと守りの両面からAIを活用できる」とした。

成長を牽引したBoxの最上位エディション「Enterprise Plus」にBox AIが加わりさらなる成長の加速が期待されているという

 現在、Boxの採用企業はフォーチュン500社の68%、115万ユーザーに達しているほか、日本では日経225の72%の企業が採用し、1万6000社以上が導入しているという。

 「国内のコンテンツコラボレーション市場における売上金額シェアは35.2%となり、3年連続でNo.1となっている。前年と比較してもシェアは4ポイント強伸びている。製造、金融。通信、サービス、公共・公益の6業種においてもトップであり、幅広い業種で採用されていること、中小企業から大手企業まで、すべての従業員規模でシェア1位を獲得しているのが特徴である」(Box Japanの佐藤専務執行役員)とした。

Box Japan専務執行役員の佐藤範之氏

NRIとBox社内での活用事例

 会見では、デザイン・パートナー・プログラムにより、Box AIを先行利用した野村総合研究所(以下、NRI)の事例も紹介した。

 NRIでは、Boxに集約している提案書、設計書、仕様書、技術情報、障害情報などの社内ドキュメントやナレッジに対してBox AIを活用することで、さらなる生産性向上につなげているという。

Boxに集約しているドキュメント・ナレッジに対してBox AIを活用し、さらなる生産性向上を狙う

 NRI DX基盤事業本部 シニアチーフエキスパートの村田龍俊氏は、「技術情報や障害情報など、外部に漏えいしてはいけない情報にBox AIを活用している。Box AIには、アクセス権の概念があるため、従来のパブリックな生成AIとは異なり、社内データをセキュアに活用できる。またファイルを複製することなく、ダイレクトに要約や翻訳ができ、本来社外に持ち出しができないシステムのログファイルの内容もセキュアに利用できる。今後は、メールやチャットなどのデータの取り扱いや、複数のファイルをまとめて要約する機能の追加などに期待している」と述べた。

Box AIには「アクセス権」の概念があるため、社内データの活用をセキュアに行えるとした

 Boxでは、企業内のコンテンツを全社で安全に整理し、公開できる「Box Hubs」を、2024年にも製品化する予定だが、「従来は表現できなかったコンテンツの関係性を、Box Hubsのコンテンツとして取りまとめることができるようになり、フォルダにとらわれない情報の統制が可能となることにも期待している」と述べた。

 なおBox Japan社内でも、2023年5月から、Box AIを活用しているという。

 ページ数が多いコンテンツから、重要な点を短時間で把握するために資料を要約したり、メールやSNS投稿文など、用途に合わせて原稿を作成するしたりでき、作業時間の短縮につなげているとのことだ。

 Box Japanの佐藤専務執行役員は、「翌日に訪問する顧客に関する膨大な資料を読まずに、生成AIで要約したコンテンツから、要点を把握することができる。そこから必要な部分を深堀りすることも可能だ。また、SNSごとの文字量に合わせたイベント告知の文章をそれぞれに生成したり、特定の顧客に対して、アポイントを取るための文書を生成したりといった使い方をしている」と説明している。

シーンに応じた文章作成