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ヤフーがデータソリューションサービスを拡充、新機能やパートナープログラムで「売上100億円を目指す」
2022年10月6日 06:30
ヤフー株式会社は5日、同社が提供する事業者向けデータソリューションサービスを拡充すると発表した。具体的には、ヤフーの検索や位置情報データが分析できる「DS.INSIGHT」に新機能を追加するとともに、テーマごとのデータセット「DS.DATASET」にて新テーマをリリースする。また、無償のパートナープログラムも開始する。
ヤフーでは、2019年10月にデータソリューション事業を開始。以来、3年間でのべ1000以上の企業や自治体などにサービスを提供してきた。現在その売上高は数十億円に達しており、ヤフー 執行役員 チーフデータオフィサーの谷口博基氏は、「時期は公表できないが、できるだけ早期に売上100億円を達成したい」と述べている。
競合分析にも役立つ新機能
今回DS.INSIGHTに新たに追加されるのは、「施設来訪者分析機能」だ。これは、飲食店や小売店といった施設の推計来訪者数や、性別・年代別の来訪者の傾向、来訪元の市区町村などが把握できる機能で、人流データ分析ツール「DS.INSIGHT Place」の一部として年内をめどに提供を開始する。
この機能では、店舗や施設への来訪者を「商圏エリア」「店舗外行動」「来店者数」「来店頻度」という4つの切り口で可視化する。
商圏エリアについては、店舗や施設に来訪した人の居住エリアをランキングで表示する。地図上のヒートマップでも来訪元が確認できるため、交通網の観点からも傾向をつかむことが可能だ。
店舗外行動については、店舗や施設に来訪しているユーザーが、ほかに訪れている店舗・施設を把握できる。これにより、店舗間や観光スポットでの動線が明らかになり、ターゲットの行動パターンが可視化される。また、店舗外行動を定点観測し、他店舗への流出や流入の傾向を早期発見することも可能になる。
来店推移については、店舗や施設の来訪者数と性別・年代を可視化。観光エリアでの集客状況も確認できるようになっており、1時間単位、1日単位で来訪者の傾向が把握できる。
来店頻度については、店舗や施設の来店頻度、訪問回数ごとの属性などがわかる。未購買者も含めた傾向がつかめるため、購買データでは拾いきれない来店傾向が把握できる。
これらの機能により、データに基づくチラシ配布地域の見直しや効率化が可能になるほか、販促イベントの実施計画、競合店との比較分析による戦略立案にも活用できるという。新機能は、DS.INSIGHTの基本料金のみで利用が可能で、同日より事前導入相談の申し込みを開始する。
ヤフー データソリューション事業本部長の村田剛氏は、新機能のターゲット業界について、「まずは小売・飲食業界での導入を目指し、順次その他業界にも導入を拡大する」としている。
人口統計データで人の流れを把握
一方、DS.DATASETでは、これまで提供してきた商品トレンドデータに加え、新たに「人口統計データ」をリリース。同日より、任意のエリアごとの滞在人口や、来訪元・移動先の市区町村などのデータを提供する。
用意するデータセットは、メッシュ人口統計や、流入者、流出者の人口統計、在宅・外出傾向の統計、滞在者検索、高速道路区間の通行スコア、来訪者の移動手段スコアなど。ニーズに合わせたカスタマイズも可能で、既存データと組み合わせた分析なども可能だ。
この新たなデータセットにより、特定エリアの住民や来訪者の人流を把握し、観光施策や施策効果測定、交通整備といったスマートシティの推進に活用できるほか、滞在者属性や時間別・地域別の人流状況を把握して立地評価の参考データとしても利用できる。
人口統計データの価格は月額50万円からで、エリアや抽出期間などの要件に合わせて提供する。
パートナープログラムを新たに開始
さらにヤフーでは、データソリューションサービスを活用して顧客へのソリューション提供を検討している企業に向け、無償のソリューションパートナープログラムを開始する。
パートナープログラムでは、ヤフーのデータを活用するためのセミナーやトレーニングプログラムが受講できるほか、パートナーの商用サービスにヤフーのビッグデータが活用できるようになる。また、ヤフーの持つ100以上の特許の一部をパートナー向けに提供する。利用できる特許の例としては、位置情報と検索データから需要を予測する特許や、地図上のヒートマップを用いて商圏分析を行う特許などがある。
村田氏は、同プログラムの意義について、「データの力をより幅広く届け、データの価値を共創する仲間を増やしたい。当社だけでは提供できない価値も、パートナーと協力することで提供できるようになる」と述べた。