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ヤフー、急上昇トピックやトレンドをとらえる「DS.INSIGHT Trend」を提供開始

新機能を活用した今後のトレンド予測も発表

 ヤフー株式会社が提供する事業者向けデータソリューションサービスは8月8日、検索データなどのヤフーのビッグデータをブラウザ上で調査・分析できるツール「DS.INSIGHT」の新機能として、急上昇トピックやトレンドを可視化分析できる「DS.INSIGHT Trend」を、8月下旬に提供開始すると発表した。同日に行われた記者説明会では、「DS.INSIGHT Trend」の機能概要について説明するとともに、新機能を活用した今後のトレンド予測を紹介した。

写真左から:ヤフー データソリューション本部 シニアデータアナリストの池宮伸次氏、ヤフー データソリューション本部 DS.INSIGHT サービスマネージャーの田村健氏

 ヤフーでは、多様なサービスから得られるビッグデータを活用し、企業や自治体向けに事業の創造や成長支援、課題解決などにつなげるインサイトを導き出すことを目的として、データソリューション事業を推進している。その中で、ヤフーの検索キーワードや位置情報データを分析できるデスクリサーチツール「DS.INSIGHT」を展開しており、これまでに、検索データなどを元に生活者の興味関心を可視化する「DS.INSIGHT People」、特定エリアの生活者情報や店舗・施設の来訪者情報を可視化する「DS.INSIGHT Place」、行動ビッグデータから人物像(ペルソナ)のライフスタイルや興味関心を可視化する「DS.INSIGHT Persona」(オプション)の3つの機能を提供してきた。

 そして今回、「DS.INSIGHT」の新たな機能として、ヤフーの検索データから今後のトレンド変化をとらえる「DS.INSIGHT Trend」をリリースする。ヤフー データソリューション本部 DS.INSIGHT サービスマネージャーの田村健氏は、新機能の開発背景について、「近年、新型コロナウイルスの感染拡大や生成AIの進展などにより、消費者の生活や働き方は大きく変化している。また、不確実性の時代となり消費者ニーズや課題が非連続に変化する市場環境において、検索データから少しでも早くその動きを察知することで、製品/サービスの開発に貢献したいと考え、新機能を開発した」と述べている。

ヤフー データソリューション本部 DS.INSIGHT サービスマネージャーの田村健氏

 「さらに、昨年12月、ヤフーのビッグデータとAIを活用したヒット予測モデル『商品トレンドマップ』を構築し、それを活用したレポートを公開したところ、大きな反響があり、多数の企業から『商品トレンドマップ』を利用したいとの要望が寄せられたことも新機能の開発につながった」としている。

 「DS.INSIGHT Trend」では、ヤフーの年間約90億の検索キーワードから、検索数が上昇している、または上昇しそうなトピックを可視化し、世の中で話題が大きくなる前のトレンドを予測できる。市場調査や商品企画、販促企画などのマーケティング施策の立案、記事やコンテンツ企画のヒントやデータの裏付けなど、幅広い場面で活用できるという。主な機能として、「トレンドマップ」「トレンドランキング」「急上昇キーワード」「メールレポート」を提供し、「DS.INSIGHT」の基本料金のみで利用することが可能となっている。

 「トレンドマップ」は、横軸に検索ボリューム、縦軸にトレンドスコアをとり、散布図形式で検索キーワードを可視化し、それぞれのキーワードが4つのライフサイクル(ネクストブレイクエリア、ブレイクエリア、ポテンシャルエリア、ブームエリア)のどの位置にいるのかを確認できる。また、性年代の属性別、カテゴリ別、短期(3か月間)/長期(1年間)でトレンド情報を可視化することができる。

「トレンドマップ」の概要

 「トレンドランキング」は、トレンドマップの散布図のエリアごとに、キーワードランキングを表示する。ランキングに表示されたキーワード別に、トレンドスコア、推定検索人数、属性割合、年代別割合などを確認できる。

「トレンドランキング」の概要

 「急上昇キーワード」は、1日単位で検索ボリュームが急上昇したキーワードを表示する。トレンドマップとは異なり、突発的、または勢いがあるトレンドも多く出現する。前日話題になった最新トピックや、変化を早期に検知したい場合に有効な機能となっている。

 「メールレポート」は、設定したカテゴリのトレンドキーワードをピックアップして週1回メールで配信する。メールの受信設定をすることで、最新のトレンド情報を知ることができる。

 「DS.INSIGHT Trend」の今後の展望について田村氏は、「検索キーワードだけでなく、活用するデータを拡充することで、消費者理解の解像度をさらに高めていく。また、10月に合併するLINEのソリューションおよびヤフーの企業向けソリューションなどとの連携も強化していく」との考えを示した。

 続いて、新機能「DS.INSIGHT Trend」を活用した今後のトレンド予測について、ヤフー データソリューション本部 シニアデータアナリストの池宮伸次氏が説明した。「当社では、昨年12月に『商品トレンドマップ』を活用し、AIが予測した2023年のヒット商品10点を発表した。予測後の検索数の動きを見てみると、特に『シーラカンスモナカ』と『On スニーカー』の検索数が大きく伸び、爆発的な話題となった。このほかにも5つ商品で検索数が増加し、予測通りの結果となった」と、昨年発表したトレンドアイテム予測を振り返る。

ヤフー データソリューション本部 シニアデータアナリストの池宮伸次氏

 「ヒットしたアイテムの推移傾向を見ると、テレビやニュースで紹介されたり、SNSで話題になったりと何度か話題の急上昇が起こる。それにともない通常検索数のベースラインが上がっていく。じわじわと検索数を伸ばす商品はたくさんあるが、そこからヒット商品に結びつくには、こうしたピークをいかにうまく作るかという点も重要になってくると考えられる」と、ヒット商品に見られる検索数推移の傾向を分析した。

 昨年の予測結果を踏まえ、今回は「DS.INSIGHT Trend」で抽出されたデータを活用し、今後のトレンド予測として、「雪塩さんど」「Ball&Chain(ボールアンドチェーン)」「バスカー アイリッシュウイスキー」「レンジクック」「BEYBLADE X(ベイブレードエックス)」「韓国リベンジ旅行」「朝霧Camp Base そらいろ」「下瀬美術館」「喫茶店に恋して。」「果実屋珈琲」の10点を発表した。

 「雪塩さんど」は、コーンフレークを練り込んだミルク風味のエアチョコをクッキーではさんだ、サクッとやわらかな食感が楽しめる新しいお菓子。2019年頃から検索が増えはじめるも、その後コロナ禍となり検索数は一時横ばいとなったが、昨年から再び検索数の上昇が始まっているという。

 「Ball&Chain」は、厚手のポリエステル生地に刺しゅうでデザインを施したショッピングバッグ。耐久性に優れ、折りたたむとコンパクトになり持ち運びにも便利。昨年からじわじわと検索数が増え続けているとのこと。

 「バスカー アイリッシュウイスキー」は、2020年に誕生したばかりの新しいアイリッシュウイスキーのブランド。バーボン樽、シェリー樽、マルサラワイン樽の3種の樽をぜいたくに使用した、アイリッシュの魅力であるトロピカルフルーツフレーバーが味わえる。検索の男女年代分布を見ると、30代40代男性からの注目が高いという。

写真手前左:雪塩さんど、手前右:バスカー アイリッシュウイスキー、奥:Ball&Chain

 「レンジクック」は、電子レンジでフライパンのような調理が可能ということで関心が高まっているという。魚を焼くといったことから、炒める・茹でる・蒸す・煮る・炊くなどのさまざまな調理が可能で、火を使わず安全に使える。今年初めからじわじわと検索数が増えてきている。

 「BEYBLADE X」は、2024年に発売から25周年を迎える「ベイブレード」が今年7月に発売した新作。超加速を生み出す新ギミック「X(エクストリーム)ダッシュ」を搭載し、歴代最速のベイブレードシリーズとなる。検索データでは、子どもを持つ親世代の検索が多いが、男性20代からの注目も熱い点がポイントだとしている。

写真左から:レンジクック、BEYBLADE X

 「韓国リベンジ旅行」は、コロナ禍で海外旅行に行けなかった反動か、今急激に海外旅行に関するキーワード、特に韓国旅行に関する検索が軒並み増えてきているという。「ロンドンベーグルミュージアム」「タンバリンズ」「明洞餃子」、これらのキーワードはすべて日本の旅行者に人気の高い韓国にある店舗となっている。

 「朝霧Camp Base そらいろ」は、今年7月に富士宮市朝霧にオープンした、雄大な富士山が目の前に広がる朝霧の大自然と、四季折々、刻一刻と表情を変える空の色が一つに溶け合い開放感あふれる空間を堪能できるキャンプ場。検索数は、オープン前からもじわじわと増加しており、関心の高さがうかがえる。

写真左から:韓国リベンジ旅行、朝霧Camp Base そらいろ(イメージ展示)

 「下瀬美術館」は、世界で活躍する建築家の坂茂氏が設計を担当。水盤に並ぶカラフルな「可動展示室」をはじめ、季節の草花がそよぐ「エミール・ガレの庭」や、瀬戸内の多島美を望める「望洋テラス」など、建築とアートが堪能できる。検索者は、旅行やインテリア、料理などに関心が高い傾向がうかがえる。

 「喫茶店に恋して。」は、「銀座ぶどうの木」と雑誌「Hanako」のコラボレーションブランドで、かわいいをギュッと詰め込んだ“喫茶店スイーツ”専門店。東京駅のグランスタ東京内に店舗があり、口の中でとろけて完成する「ティラミスショコラサンド」やパリとろな新触感「クレームブリュレタルト」などが話題を集め、検索数が大きく伸びてきているという。

 「果実屋珈琲」は、物語コーポレーションが新たに手掛けるカフェ業態1号店として6月30日調布市にオープン。フレッシュフルーツのサンドイッチが看板メニューとなっている。検索データからは、男女関係なく幅広く関心を持たれていることが示された。

写真左から:下瀬美術館、喫茶店に恋して。、果実屋珈琲(イメージ展示)