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サーバー監視などを提供するDatadog、大規模ユーザー向けの導入・運用支援を強化

各企業に密接してサービスを提供する2種類の担当者を新設

 監視やオブザーバビリティ(可観測性)に関連したサービスを提供するDatadogの日本法人、Datadog Japan合同会社は、日本国内におけるポストセールスの強化を発表した。

 大規模な企業に密接して担当し、クラウドマイグレーションやDXを支援する「テクニカルイネーブルメントマネージャー(TEM)」と「テクニカルアカウントマネージャー(TAM)」の2種類の担当者を新設する。

「テクニカルイネーブルメントマネージャー(TEM)」と「テクニカルアカウントマネージャー(TAM)」を新設

複数プロダクトを使う大規模顧客に向けたサービス拡大

 6月1日に開催された記者説明会で、Datadog Japan合同会社 カントリーマネージャーの国本明善氏が、背景について説明した。「Datadogはもともとセルフサービス型のSaaSサービスで、あまり手をかけずにお客さまの環境を整えるのが売りだったが、そこに新しくサービスを提供する」という。

 国本氏はまず、技術の多様性や、クラウド化などによるコンピュートリソースの規模拡大、リリース頻度の増加、開発・運用・ビジネスなどプロジェクトに関わる人数の増加といった、システムの複雑さが日々増していることを取り上げた。そしてDatadogのミッションは、こうした複雑化されたものを使いながら、単なる単純化ではなく、シンプルに管理していくことを実現することだと語った。

Datadog Japan合同会社 カントリーマネージャー 国本明善氏
複雑さをDatadogが解決

 続いてDatadogの業績を紹介。その中で、既存の顧客が前年比で30%以上を支払っていることを取り上げた。2つ以上のプロダクトを使っている顧客が81%、4つ以上のプロダクトを使っている顧客が35%、6つ以上のプロダクトを使っている顧客が12%という数字が示すように、複数のプロダクトを使っている顧客が多いという。

 また大規模顧客が増えており、10万ドル以上を支払っている顧客が2020年度から2021年度にかけて倍以上に伸びているという数字や、四半期ベースで2021年度第1四半期の1,406社から2022年度第1四半期の2,250社に伸びているという数字を紹介。「複数のプロダクトを適用していただくことで、複雑化したテクノロジーを活用しながら、クラウドマイグレーションやDXを進めていくうえで、メリットを享受できる」と国本氏は説明した。

 これらを受けて国本氏は「日本におけても複数のプロダクトをお使いいただくお客さまが非常に増えたことから、より一層エンタープライズのお客さまを中心にDatadogの良さを享受いただくために、今回のサービス事業の拡大を発表した」と語った。

Datadogの業績。既存の顧客の支払額増加や、10万ドル以上を支払っている顧客の数、複数プロダクトの利用など
10万ドル以上を支払っている顧客の増加

約1年間プロジェクトに寄り添う

 新しいTEMとTAMによる強化については、Datadog Japan合同会社 SEマネージャーの守屋賢一氏が説明した。

Datadog Japan合同会社 SEマネージャー 守屋賢一氏

 TAMは、その顧客を担当するアカウントSEだ。まず、顧客のアーキテクチャ戦略やDatadogを使用する目的をヒアリングし、分析して、それにもとづいたガイダンスを提供する。また、何をもって成果とするかといったKPIを特定する。

 定期的なチェックポイントとしては、四半期ごとにエグゼクティブを対象としたビジネスレビューを実施し、目標や戦略に対する進捗を評価するほか、次々と登場する新機能や新製品に対し、テストへの参加を支援する。

 TAM自身はインプリメンテーションに参加せず、代わりに、定義された目標や戦略の実行に関する継続的なガイダンスや、ベストプラクティスを提供する役割となる。

テクニカルアカウントマネージャー(TAM)

 一方のTEMは、イネーブルメントに特化した担当だ。Datadog製品の最適な使用方法に関するガイダンスを提供する。まず、どういったトピックについて、どういったレベル感のイネーブルメントが必要かということを明確化するためのスコーピングを実施。そして、その要望にあわせたベストプラクティスのセッションを継続的に実施する。

 さらに必要にあわせて、ワークショップの実施や、ユースケースを中心とした詳細なイネーブルメントの提供、顧客の環境を分析するヘルスチェックなども行うとした。

テクニカルイネーブルメントマネージャー(TEM)

 流れとしては、両方とも、スコーピングの打ち合わせから、キックオフ、さらに新機能へのアップデートや定期的なマイルストーンのレビューを経て、長期的な戦略を確立する。

 「これらの活動を開始して、定着させて、軌道に乗せるには、これまでの実績では1年の活動が必要になるというのが一般的だ。その1年を通じてご一緒させていただく」と、守屋氏は語った。

オンボーディングの流れ
プロジェクトのタイムライン

 守屋氏は海外での事例も紹介した。投資銀行のRaymond James Financialでは、全社的なさまざまなツールを監視する単一のビューを実現した。この事例では、TAMの協力により、技術的な要件だけでなく導入プロセスも理解し、ベストプラクティスを設定するためのフィードバックを提供したという。

Raymond James Financialの事例