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ピュア・ストレージ、セルフサービスでユーザーがストレージ環境を利用可能にする「Pure Fusion」

Kubernetes上でDBaaSを実現する「Portworx Data Services」も提供へ

 ピュア・ストレージ・ジャパン株式会社(以下、ピュア・ストレージ)は5日、企業内のストレージをパブリッククラウドのストレージサービスのように容易に利用できるようにする「Pure Fusion」、およびDatabase as-a-Service(DBaaS)基盤「Portworx Data Services」を発表した。米Pure Storageが米国時間9月28日に発表した内容の、日本での発表となる。

 このうちPure Fusionでは、企業のストレージ管理者があらかじめ必要とされるストレージブロックのタイプを用意しておくことにより、利用者はサイズなど最小限の指定だけでストレージをセルフプロビジョニングできる仕組みを提供する。管理も、AIを活用したクラウドベースのストレージ管理・サポートプラットフォーム「Pure1」を介して利用する。年内にプレビューを開始し、2022年前半に一般提供を開始する予定。

 Portworx Data Servicesは、Kubernetes上でDBaaSを実現するプラットフォーム。SaaS形式で提供され、データベースやメッセージキューなどさまざまなデータサービス製品を、利用者が1クリックでKubernetes上にデプロイできる。アーリーアクセスプログラムは9月28日に開始しており、2022年初頭に一般提供を開始する予定。

 10月5日に開催された記者発表会では、Pure Storageなどのデータ関連の製品を、「インフラのモダン化」「運用のモダン化(データ管理)」「アプリケーションのモダン化(データ・サービス)」と、「従来のアプリケーション」「最新のアプリケーション」の2軸で分類。

 そして、Pure Fusionを、「従来のアプリケーション」「運用のモダン化(インフラの自動化)」に位置するものとして紹介。またPortworx Data Servicesを、「最新のアプリケーション」「アプリケーションのモダン化」に位置するものとして紹介した。

データ関連製品の自動化の分類。Pure Fusionは「従来のアプリケーション」「インフラの自動化」、Portworx Data Servicesは「最新のアプリケーション」「アプリケーションのモダン化」に位置付けられる

 記者発表会では、ピュア・ストレージの岩本知博氏(プリンシパル・テクニカル・ストラテジスト)と溝口修氏(クラウド・アーキテクト(Portworx))が、それぞれPure FusionとPortworx Data Servicesについて解説した。

ピュア・ストレージの岩本知博氏(プリンシパル・テクニカル・ストラテジスト)
ピュア・ストレージの溝口修氏(クラウド・アーキテクト(Portworx))
ピュア・ストレージ 代表取締役社長 田中良幸氏

Pure Fusion:パブリッククラウドのようにセルフサービスでストレージをプロビジョニング

 Pure Fusionについては、岩本氏が解説した。

Pure Fusion

 岩本氏はまず、昔のストレージでアプリケーションチームが「データでボリュームを作りたいから○○TBぐらいの速めのストレージを欲しい」と要望してきた際の状況を例にとり説明。ディスクやRAIDの選定、バックアップやレプリケーションの設計、アプリケーションチーム/ストレージチーム間での要求確認のキャッチボールなどが発生し、プロビジョニングに数日から数週間かかっていたと語った。

 それに対してPure Fusionでは、アプリケーションチームのセルフサービスで、名前とサイズ、タイプ、リージョンとAZ(アベイラビリティゾーン)を指定するだけで、数分でプロビジョニングできるという。「パブリッククラウドでは、ユーザーがセルフサービスでストレージをプロビジョニングしている。それをオンプレミスのエンタープライズでも行えるよう手助けするのがPure Fusionだ」と岩本氏は説明した。

昔のストレージプロビジョニング
セルフサービスのストレージプロビジョニング

 Pure Fusionは、内部では構成情報をコード化して扱うStorage as Codeとして作られているが、ユーザー側にはコードを意識させず、自動で自律的に管理するという。そのベースとなっているのが、AIを活用したクラウドベースのストレージ管理・サポートプラットフォーム「Pure1」だ。Pure1により、目的のボリュームはどこに配置するのがいいか判断したり、ストレージ管理者にも意識しなくていいバックグラウンドにてダウンタイムゼロでボリュームを移動したり、といった運用管理が自律的に行われる。

 ストレージチーム側は、Pure Fusionの上でストレージのタイプを「クラス」としてあらかじめ定義しておくことになる。例えば、パフォーマンス重視や容量重視といった用途ごとにクラスを用意したり、Gold・Silver・Bronzeのようなデータ保護ポリシーを用意したりしておき、カタログ化して利用者が選べるようにする。これを岩本氏は、「居酒屋のメニューのように選べる」と形容した。

 なお、Pure FusionはPure1のクラウドサービスで動作し、利用者(ソフトウェアを含む)もストレージ管理者もPure1経由で操作する。ストレージは、オンプレミスにあってもクラウドにあっても統合的に管理運用できる。

クラスを作成。容量、IOPs、バンド幅、ハードウェアの種類を指定する(デモ動画より)
クラスがカタログに表示される(デモ動画より)
利用側がプロビジョニングする。サイズ、クラス、保護ポリシー、リージョン、AZ(アベイラビリティゾーン)、どのホストから利用するかを選ぶ(デモ動画より)
リージョンの管理。個々のストレージだけでなく、リージョン全体の容量と負荷が表示される(デモ動画より)

Portworx Data Services:Kubernetes上のさまざまなデータサービスをDBaaS化

 Portworx Data Servicesについては溝口氏が解説した。

 Portworx Data Servicesは、2020年にPure Storageが買収したPortworxの技術を元に作られている。すでに提供されているKubernetes向け統合データ基盤Portworx Enterpriseの上で、アプリケーションチームがデータベースをセルフサービスでプロビジョニングできるDBaaSを実現する。

 溝口氏は、Kubernetesを使うような現代のアプリケーションプラットフォームではスピードが重要なのに対し、現実では障害対応やシステム管理、その上のデータ管理に追われていると説明。いくつかボタンを押すだけでデータベースが立ちあがれば生産性は上がると指摘した。

 Portworx Enterpriseの上では、MySQLのようなRDBMSや、Cassandraのような分散データベース、Kafkaのようなデータストリーミングなど、多種多様なデータサービスが使われる。これらは乱立し、設定やデータ保護の仕組みも違うという。

 それに対してPortworx Data Servicesでは、自動化されたDBaaSを提供し、いくつかのクリックでデータベースを利用できるようにするとのこと。

 このPortworx Data Servicesは、SaaSとして提供される。管理対象は、データセンターでもクラウドでもよく、これも「居酒屋のメニューのように」選ぶことで、裏で自動的に設定が行われるようになっているという。

Portworx Data Servicesが自動化されたDatabase as a Serviceを提供
Portworx Data Services