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ピュア・ストレージ、AI向けなどのサブスクリプションメニューを強化 管理機能「Pure Fusion」も
年次イベント「Pure//Accelerate 2024」での4分野での発表を説明
2024年7月5日 06:00
エンタープライズ向けフラッシュストレージベンダーの米Pure Storageは、6月に米国で開催した年次イベント「Pure//Accelerate 2024」において、新機能や新ソリューションを発表した。AIワークロード向けの購入モデルや、AIを使ったストレージ管理、セルフサービスでストレージ環境を利用できるようにする「Pure Fusion」のストレージOSへの統合などが含まれる。
この発表内容について、日本法人であるピュア・ストレージ・ジャパン株式会社が7月4日にオンライン記者説明会を開催し、解説した。
発表内容については、同社 プリンシパル・テクノロジストの岩本知博氏が、大きく4分野に分けて説明した。
「Pure Fusion」がストレージOSに統合、対話型生成AI「AIコパイロット」も
1つ目の分野は、同社のプラットフォームについてだ。
Pure Storageのストレージ管理の方向性について岩本氏は、「クラウドライクに“できるだけ人がかかわらずに勝手に動く”という世界を目指してきた」と語る。
例えば、ストレージを利用する部門から新しくストレージボリュームを要求された場合に、ストレージ管理者は、個別に管理されたストレージの中から、ロケーションや構成、セキュリティ、データ保護などを考慮してプロビジョニングする必要がある。
これに対して新しい「Pure Fusion」では、利用部門がクラウドサービスのようにセルフサービスでストレージをプロビジョニングできる。Pure Fusionでは、ストレージ同士がお互いの状態を共有するグループ「フリート」を作って管理している。そこで例えば、データベースエンジニアが「大阪データセンターに高速なボリュームが10TBほしい」というリクエストを大阪のフリートに投げると、現在の構成や使用状況に応じて、フリートの中からボリュームをプロビジョニングしてくれるという。
実はPure Fusionは、2021年に、クラウドでのストレージ管理の機能として発表されていた。今回の発表は、その機能をPure StorageのストレージOS「Pure Storage」に取り入れたわけだ。
また、自然言語でストレージを管理する「AIコパイロット」も発表された。名前で想像されるように、対話型生成AIとの自然言語によるチャット形式で、ストレージの状況を調査したり、構成を推奨してもらったりできるという。岩本氏によると、ストレージ業界で初めてだとのことだった。
岩本氏が再生したデモ動画では、セキュリティ状況の概要を確認したり、それを掘り下げたり、対応策を推奨してもらったり、データベースが遅い原因について相談したりするところが実演されていた。
なお、AIコパイロットは現在のところ英語のみで、時期は未定だが日本語にも対応予定だという。
なお、Pure FusionとAIコパイロットは、岩本氏によると、間もなく利用可能になるとのことだった。
AIワークロード向けの「Evergreen//One for AI」など
2つ目の分野は、AIワークロードのための機能だ。
Pure Storageでは、オンプレミスからクラウドまでのストレージを、サブスクリプションサービスとして、パフォーマンスと使った容量に応じて利用できるストレージ・アズ・ア・サービス(STaaS)「Evergreen//One」を用意している。ただしAIの学習用途では、ストレージがどのぐらい必要か事前にわからないという問題があったと、岩本氏は語った。
そこで今回、AIの学習用途向けの「Evergreen//One for AI」が発表された。GPUの最大帯域幅要件にもとづいて基本料金を決め、「ストレージをGPUが読んだ分で課金する」(岩本氏)というモデルだという。
なお、Evergreen//One for AIは、米国に実際にAI学習にPure Storage FlashBladeを利用している企業による要望から生まれたとのことだった。
また、AIワークロードについては、NVIDIAによるデータセンターAIのための事前検証済み構成「NVIDIA DGX SuperPOD」の認定も取得すると発表した。2024年中に認定を受ける見込みだという。
岩本氏はこの認定について、InfiniBandではなくイーサネットベースのストレージソリューションでも認定取得につながった点を特に強調した。
ランサムウェア被害の対応SLAや、AIによる検知強化
3つ目の分野は、サイバーレジリエンスだ。特に、ランサムウェア対策を想定し、もし被害にあったときに、バックアップを消されないことや、そのバックアップからの復帰を保証する。
これについてはまず、Evergreen//Oneの「サイバー・リカバリおよびレジリエンスSLA」の拡充がある。被害時に、SLAの条件にもとづいて、クリーンなサービスインフラを出荷し、さらにオンサイトのインストールやデータ転送を支援するという。
また、AIを活用して異常検知を強化する。これまでもデータ削減状況の異常によるランサムウェアの検知を備えていたが、それを拡張し、性能やオペレーションの異常なパターンを検出する。
STaaSのメニューがより柔軟に
4つ目の分野は、ストレージ・アズ・ア・サービス(STaaS)のメニューが増えてより柔軟になった点だ。前述した「Evergreen//One AI」のSLAもその一つだ。
また新しい「Evergreen//One サイト・リバランスSLA」は、Evergreen//Oneにおいてデータセンターの合併や移行などによって必要なリソースの配置バランスが変わったときに、12カ月に一度、リバランスを実施できるというものだ。
そのほか「新しい高性能SLAの強化」として、コストパフォーマンスが向上した。いくつかのメニュー、特に高性能な「Ultra」では単価で安くなっている。これは岩本氏によると、Pure Storageのフラッシュモジュール(DFM)が毎年容量単価が約半分になっていることによるものだという。
そのほか、サービスレベルが守られなかったときに返還される金額を、次の購入のときに使えるようにもなったと岩本氏は説明した。