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ServiceNow、3種の日本語版「危機管理支援アプリ」を9月末まで無償提供
オンライン記者説明会レポート
2020年4月21日 06:00
ServiceNow Japanは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染拡大にともなう緊急事態下において、4月16日から9月30日まで「危機管理支援アプリ日本語版」として3種類のアプリの無償提供を開始した。
4月15日にオンラインで開催された記者説明会において、ServiceNow Japan 執行役員社長 村瀬将思氏は「大変なタイミングではあるが、われわれは積極的に日本の企業のデジタル変革をサポートしていきたい。もちろん感染症に対して社会的な責任を果たすため、まずはしっかり守る。その上でこの危機をチャンスに変えていくことが重要。日本は東日本大震災を乗り越えた経験がある。ネットワークインフラは増強され、スマートフォンが広く普及し、クラウドサービスは浸透している。企業には多くの選択肢がある」と説明した。
3つのアプリを9月末まで無償提供
今回ServiceNow Japanが無償提供を開始したのは、日本語化された以下の3つのアプリケーションだ。
・Emergency Outreach
・Emergency Self Report
・Emergency Exposure Management
ServiceNowでは、これらを含む4種類の英語版アプリの無償提供を3月から開始しており、すでにグローバルで1000社以上の企業や組織が利用している。グローバルパートナーでは、Accenture、Deloitteをはじめとする5社が導入支援を表明。日本国内のローカルパートナーとも現在協議中であるという。
なお英語版では、ワシントン州保険局が開発した「Emergency Response Operations」を含む4種類のアプリが提供されているが、今回の日本語版には含まれていない。
今回提供を開始したアプリは、既存のServiceNowユーザーであれば、ServiceNow Storeから自身のインスタンスにインストールするだけで入手可能となっている。まだユーザーになっていない場合でも、COVID 19支援専用サイトにアクセスして申請すれば利用することができるようになっている。
また、ServiceNowは、内閣官房IT総合戦略室にもCOVID-19対策のアプリケーションを提案中であることも明らかにしている。
提供されるアプリのうちEmergency Outreachは、緊急時に従業員の所在と安否連絡を自動化し、状況をダッシュボードで一元的に管理アプリケーションだ。メールや同社のNow Mobile Appを活用し、企業と従業員の連絡経路を確保するほか、安全性尺度や重要度の共有、従業員への安否や所在確認を促すなどの機能を提供している。
緊急状況下において従業員の就業状況を一元的に可視化・管理
2つ目のEmergency Self Reportは、緊急状況下において、従業員の就業状況を一元的に管理・可視化するアプリケーション。従業員が感染した場合、感染状況に応じた職務復帰状況(要隔離期間)を勤務先に報告できる。また、これらの感染状況を一元的に管理・可視化し、状況に応じたタスクの再アサインなどを容易に行うことができる。
従業員の感染が確認された場合に接触可能性のある人をピックアップ
3つ目はEmergency Exposure Managementは、従業員の感染が確認された場合に、その従業員の勤務先や同席した会議の履歴に基づいて、接触した可能性のあるほかの従業員や社外関係者を特定するアプリケーションだ。調査対象期間と感染者の氏名を入力するだけで、感染の疑いがある人物をリストアップすることができる。
COVID-19対応のアプリ開発を支援
さらにServiceNowは、ServiceNow Platformを活用してCOVID-19対応のアプリケーションを開発するパートナーを積極的に支援するという。村瀬氏は「お客さまに寄り添っている多くのパートナーには、ServiceNow Platform上で積極的にアプリケーションを作っていただきたい」と述べ、開発環境の無償提供やパートナープログラム年会費免除などの施策を明らかにした。
これまでも「働き方改革」の一環としてテレワークを導入したいと考えている企業は多かったが、なかなか思うようにワークスタイルを移行できないでいた。その主な原因は「承認依頼は対面でないと失礼」「毎回客先に来ない営業は論外」「ビデオ会議はわが社にはなじまない」「動画やSNSはエンタメ用」といった日本企業の古いしがらみにあったが、COVID-19の感染拡大による“テレワークしなければならない”という現実を前にすれば、いやが応でも変革せざるを得ない。
村瀬氏はCOVID-19による危機的状況においても、新しいワークスタイルへと積極的に移行し、企業のデジタル変革を推進するべきだと主張する。
「この危機的状況で、守りだけに徹するか、攻めに転じる機会ととらえるかによって、3年後、5年後、10年後に生み出す差分は計り知れない。まずはしっかり守り、さらに攻めに転じることが重要」(村瀬氏)