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“ポストコロナ”での段階的な企業活動の再開を支援――、ServiceNowが従業員視点の職場復帰支援アプリを提供

オンライン記者説明会レポート

 ServiceNow Japan合同会社は9日、コロナ禍における企業活動を支援するソリューションとして、オフィスや店舗の安全な再開と従業員が安全に職場復帰するための手順を効率的に管理し、従業員の健康と安全をサポートする製品群「ServiceNow Safe Workplace」の提供開始を発表した。

 オンラインで報道陣向けに会見を行ったServiceNow Japan 執行役員社長 村瀬将思氏は「新型コロナウイルスの感染拡大により世界中が“ニューノーマル”へと向かいつつある現在、企業がオフィスでの業務を再開するためには以前とは異なるアプローチが求められる。今回発表したServiceNow Safe Workplaceは従業員にとって安心/安全な職場への復帰を実現するとともに、企業がニューノーマールへと移行することを支援する」と語り、“ポストコロナ”を見据えた、ニューノーマルへの移行への重要性を強調している。

たServiceNow Japan 執行役員社長 村瀬将思氏

従業員が職場に戻るための準備状況、オフィスの受け入れ体制などを可視化

 ServiceNowは企業がオフィスや店舗などの施設を再開するにあたって着目すべきポイントとして

・従業員自身の意見の収集とフィードバック
・安心/安全を確保するためのチェックポイント
・職場再開に関連する業務の自動化
・安全な職場環境の維持

の4点を挙げており、今回リリースした「ServiceNow Safe Workplace」製品群はこれらのポイントにもとづいて「従業員が職場に戻るための準備状況の可視化」「オフィスの受け入れ体制の管理/可視化」にフォーカスし、約2週間という短い期間で開発を行ったという。

 それぞれのアプリの概要は以下のとおりだが、ダッシュボードの「Safe Workplace Dashboard」以外のアプリはすべて日本語でも提供が行われる。

従業員の安全な職場復帰を支援する「ServiceNow Safe Workplace」は4つのアプリケーションと、アプリケーションをリアルタイムに可視化し一元的に管理するダッシュボードから構成される。ダッシュボードは無償だが、現時点では英語版のみの提供となる
Employee Readiness Surveys

 従業員の職場復帰に対する準備状況を把握するアプリ。モバイルおよびデスクトップアプリを通じて、職場復帰に対する従業員の心情や関心(オフィス復帰か在宅勤務継続か、勤務を希望するオフィスの場所、マスクの有無や通勤への不安など勤務再開にあたっての心配ごと)を質問として従業員に提示し、回答を収集する。

 企業は収集した回答結果をもとに、従業員が円滑かつ安全に職場復帰(または在宅勤務の継続)ができるよう、就業スペースの計画着手や確保など、職場復帰に必要な手順を決定する。

Employee Health Screening

 従業員がオフィスへの入室要件を満たしているかを可視化するアプリ。従業員がオフィスに入る前に検温状況とガイドラインへの適合状況(マスクの持参など)を確認し、オフィスに入っても安全かどうかを判断する。また、従業員によるマスクなど衛生用品のリクエストを把握したり、従業員がオフィスに戻ってきた時間を記録したりするなど、職場ごとの傾向を表示/可視化できる。

Workplace Safety Management

 職場の安全状況を一元管理するアプリ。オフィスや店舗などを清潔で衛生的、かつソーシャルディスタンスが保たれた状態にするために、シフト状況や会議室の利用状況に応じて清掃タスクを自動生成したり、安全/衛生状況にもとづいたシフトをスケジューリングしたりする。またフロアや建物全般にわたるワークスペースの使用状況(会議室や空席の有無)や、すべての清掃タスクのステータスをリアルタイムで確認/管理できる。

Workplace PPE Inventory Management

 従業員の身体的安全を確保するためにマスクや消毒液など個人用保護具(PPE: Personal Protective Equipment)の在庫を管理するアプリ。在庫管理だけでなく、職場全体の集計や在庫水準の時間経過による変化なども詳細に確認できるので、日々の正確な管理が必要な個人用保護具の在庫を把握できる。

Safe Workplace Dashboard(英語版のみ/無償)

 上記のアプリで把握した従業員やオフィスの状況を可視化し、職場の再開準備状況をひと目で理解できるダッシュボード。ダッシュボードから直接、対象となるSafe Workplaceアプリを起動できる。職場の状況に加え、一般公開されている集計データ(世界の感染率など)を可視化し、職場の地理状況と重ね合わせて表示することも可能。日本語での提供は準備中。

Safe Workplaceの各アプリをダッシュボードで表示したところ。真ん中の棒グラフは受付でのスクリーニング(検温)で職場への立ち入りを許可、あるいは拒否した従業員の人数の推移を示している。左下にはマスクなどPPEの在庫状況、右下はオフィスの席や施設の予約状況を示しており、清掃タスクやシフトスケジューリングとひも付けている

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 ServiceNowは3月に、新型コロナウイルスの感染拡大に対する危機管理ソリューションとして「ServiceNow Emergency Response Management」をすべての企業を対象に無償で提供しており、すでにグローバルで6000社以上がインストールした実績を持つ。これはパンデミック拡大のさなかにあっても企業活動をストップさせないための支援だったが、今回リリースしたSafe Workplaceは、各国で緊急事態宣言が解除され、感染が収束に向かいつつある“ポストコロナ”での段階的な企業活動の再開を、従業員の職場復帰という点にフォーカスしてサポートするツールだ。

ServiceNowが3月にリリースした危機対策アプリは当初、9月30日まで無償提供の予定だったが、それ以降も引き続き無償で利用できるようになった

 ポストコロナにおいてはコロナ以前とは異なる生活様式や常識が求められるようになることは確実で、最近ではそれを“ニューノーマル”という言葉で表現する機会が多い。企業は事業の再開にあたり、コロナ以前のありかたに戻るのではなく、世界の価値観が大きく変わったニューノーマルに向けた準備を行う必要がある。

 Safe Workplaceはそうしたニューノーマルへの対応を、ServiceNowが得意とする“従業員エクスペリエンス”の向上をコアにして支援している点が大きな特徴だ。例えばオフィス勤務を再開するにしても、在宅勤務のほうが高い生産性を上げられると気づき、オフィス再開後も在宅勤務の継続を希望する従業員には、新しい別のサポートが必要となる。

 また、ポストコロナにおいてはオフィスや店舗の清掃タスクが以前よりも高い頻度で発生することになり、さらにマスクや消毒液の常備が求められる。コロナ以前には存在しなかったニーズを従業員視点でとらえ、それらのタスクを自動化/ワークフロー化し、基盤となるクラウドプラットフォーム(Now Platform)上からサービスとして提供していく。

 Safe Workplaceはポストコロナにおいても生産性と安心/安全な職場環境をトレードオフさせず、両立させていくことを目指している。4つのアプリは単独でも使えるが、連携させてダッシュボード上で一元的に管理することでより大きな相乗効果が期待できる。

 村瀬社長は「ニューノーマルの世界では、優秀な人材を採用/維持するために企業はさらなる柔軟な働き方を提供する必要がある」と強調する。たとえウイルスの流行が収束に向かったとしても、もはや従業員は安全な環境と柔軟な働き方が提供されない職場には戻りたいとは思わない。

 オフィスの再開が徐々に始まりつつある現在、Safe Workplaceのような“従業員ファースト”の視点で作られたツールの導入は、ある意味、日本企業にとってニューノーマルへの最初の一歩となりうるかもしれない。