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「お客さまは逃げなかった――」、DDNがTintri事業の順調さをアピール
データベース統合機能を開発、2019年末の一般提供開始を予定
2019年5月24日 06:00
株式会社データダイレクト・ネットワークス・ジャパン(以下、DDNジャパン)は23日、エンタープライズ向けストレージ「Tintri by DDN」(以下、Tintri)において、データベース統合機能を提供する予定だと発表した。2019年後半の一般提供開始を目指して開発が進められている。
Tintriの主力製品である「Tintri VMstore」は、ストレージが仮想マシンを認識する、“VM Aware”なストレージであることが大きな特徴だ。一般的なストレージでは、どのVMで何が行っているかが見えないため、集約されたI/Oに対して最適化を行うしかないが、Tintri VMstoreでは、仮想環境で何が起こっているかを可視化して個別に制御できるため、ワークロード単位での最適化を行うことができる。
こうした特長が評価され、AMD、ARM、Autodesk、NASAなどの大企業・大規模組織をはじめ、さまざまな企業に導入されていたものの、製品を開発・販売していた米Tintriは、2018年7月、米国連邦倒産法第11章に基づく救済措置を申請。その後、同年9月に米DataDirect Networks(DDN)によって買収されていたため、製品提供がどうなるのか、非常に注目されていた。
しかし現在は、DDNの傘下で順調に事業運営が行われているとのことで、「買収直後から2四半期連続で黒字化。2018年第4四半期は前年同期比で300%の成長を達成している」(Tintri by DDN ワールドワイドセールス&マーケティング担当バイスプレジデント フィル・トリコビク氏)とのこと。人員もワールドワイドで150名在籍しており、約50名のレベル2/レベル3サポート、約40名のエンジニアが再雇用されている。
トリコビク氏は、Tintriは技術も製品も顧客も持っていたが、経営面に問題があったことを指摘。DDNの傘下となったことで課題だった経営面の問題も解決され、適切な運営がなされていると説明した。
こうした背景には、顧客からの支持が大きかったことも影響しているとのことで、「破産後、大規模エンタープライズ顧客の4~5割は離れていくだろうと考えていたが、1社も離れられることなく、それ以降も素晴らしい成長率を継続している。中には大きな投資をしたところもあり、こうした事実はテクノロジーの強さを現しているといえる」とアピールしている。
データベース統合機能を2019年末ごろに提供へ
製品開発も継続され、その1つとして、Tintri by DDN プロダクトマネジメント シニアディレクターのトマー・ハガイ氏が、データベース統合機能を紹介した。
これは、ストレージが仮想マシンを認識して可視化する“VM Aware”を進化させ、Microsoft SQLをはじめとするデータベースにおいても、パフォーマンスの可視化と自動QoSを可能にするもの。いわば“Database Aware”を実現する機能といえる。
ハガイ氏はこの機能について、「仮想化環境では、ハイパーバイザーを介して複数のアプリケーションが同一の仮想マシン(VM)内にホストされており、それらがストレージのリソースをめぐって競争していたが、Tintriはこの問題を解決した。しかし、その範囲に収まりきらないものの1つがデータベースだ」と前置き。
その上で、「データベースVMには多くのデータベースが入っており、VMレベルで理解するという粒度は、データベースの場合は不十分だった。Tintriでは、複数のデータベースを認識し、個々データベースレベルで自動QoSなどを行えるようにする。管理者はそれ以降、パフォーマンス向上のためのさまざまな作業をすることなく、パフォーマンスを維持できる」と説明した。
なお、こうした“Database Aware”機能を利用するためには、必ずしも仮想環境である必要はなく、物理環境に存在するデータベースも対象になるとのこと。「これはTintriにとっての大きな変化だ。VMだけにフォーカスしていたものを、より広い対象へと拡大していくことになる。これが実現すると、大きな扉が一気に開くだろう」(ハガイ氏)。
この機能は現在開発中で、8月に行われるVMworldなどでプレビューが展開され、2019年後半、おそらく年末あたりに一般提供開始になるとのことだ。機能はストレージOS「Tintri OS」のバージョンアップとして提供される予定。最初はMicrosoft SQL Serverが対象となり、その後12~18カ月でほかのデータベースへ拡大するとしている。
なお、DDNジャパンのゼネラルマネージャー、ロベルト・トリンドル氏は、「仮想化専用ストレージとして知られているが、データベース統合機能が追加されることで、データベースを意識した製品としても展開できるようになる」とコメント。
それ以外にも「国内ではVDIで利用しているお客さまが多く、まだ拡大が見込める。また海外では、大量のスナップショットを簡単に取れる機能などを生かして、DevOpsなどでも活躍している。ソフトウェア開発をサポートできるソリューションとしても拡大できるのではないか」と、ティントリのビジネスについて述べた。