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ブイキューブとレノボ、テレワークを支援するコミュニケーションブース「テレキューブ」

新たなICT社会インフラの構築を目指すコンソーシアムも設立

 株式会社ブイキューブとレノボ・ジャパン株式会社(以下、レノボ)は1日、「ビジネスパーソンが安心して働けるセキュアなコミュニケーションスペース」をコンセプトに、コミュニケーションブース「テレキューブ」を開発し、同日よりブイキューブが販売を開始すると発表した。

 また、これにあわせて、働き方改革の推進と新たなICT社会インフラの構築を目指して「テレキューブコンソーシアム」を設立したことも発表した。同日に行われた記者発表会では、「テレキューブ」の開発背景や製品概要を説明するとともに、「テレキューブコンソーシアム」の設立意義や活動内容、会員企業が紹介されている。

コミュニケーションブース「テレキューブ」

集中して作業とコミュニケーションが可能なワークスペース

 「テレキューブ」は、テレビ会議などのITサービスと防音性の高い空間スペースを統合した新しいコミュニケーションブース。利用者は、プライバシーとセキュリティが保護された環境で、テレビ会議や電話での応対に加え、クラウドサービスを活用した作業を行うことができる。

 防音仕様になっており、周囲を気にすることなく静かな環境で、集中して作業するワークスペースとして活用できる。また、企業側は、テレビ会議などの業務システムごと購入できるため、面倒な機器の設定が不要で、簡単にブースを設置可能となっている。

 ブイキューブ 代表取締役社長の間下直晃氏は、「テレキューブ」を開発した背景について、「働き方改革に向けた動きが加速する中で、7月24日に実施された『テレワーク・デイ』には900を超える企業・団体が参加し、大きな注目を集めた。しかし、日本でのテレワーク導入企業率はわずか11.5%にとどまっているのが現状だ」と、テレワークの厳しい現実を指摘する。

 「テレワークを導入することで、ワークライフバランスの向上や女性・高齢者などの就業促進、通勤による社員の負担軽減などさまざまな効果が期待できる。一方で、テレワークの実施は、チームや組織で働くために必要不可欠なコミュニケーションが不足してしまうという課題も抱えている。オフィスワーカー、在宅勤務者、モバイルワーカーいずれの環境でも、テレビ会議や電話でのコミュニケーションができる場所が少なく、これがテレワーク導入の足かせとなっている。そこで、こうしたテレワーク難民を救済するべく、『テレキューブ』の開発・提供に至った」と述べている。

ブイキューブ 代表取締役社長の間下直晃氏

 「テレキューブ」の設置場所としては、企業のオフィススペースに加え、オフィスビル/サテライトオフィス/カフェ/商業施設/公共施設/鉄道の駅/空港など想定しており、今回、第1弾として企業向けモデルを提供開始するという。

 企業向けモデルでは、ブース内部に、レノボが提供する超小型デスクトップPC「ThinkCentre M710q Tiny」を設置。タッチ操作で利用できる「TELECUBE App」によって、ブイキューブのテレビ会議サービス「V-CUBE ミーティング」と日本マイクロソフトの「Skype for Business」、標準規格に準拠した一般的なハードウェア型テレビ会議システムとの接続機能を利用することができる。

「テレキューブ」のブース内部

 企業向けモデルの利用シーンとしては、「企業内スペース」では、会議室の予約が取れないテレワークしている人との定例会議や情報共有などの社内会議。「サテライトオフィス内の個室」では、さまざまな企業の人がオープン型の同一空間で働く環境の中で、電話やWeb会議で話すことができない人。会議室を予約するとコスト的にも課題がある人。「店舗やレジデンスの共用部」では、店舗の空きスペースやレジデンスの共用部などに顧客のためのワークスペースとして設置することを想定している。

 今後は、モバイルワークのビジネスパーソンをはじめ、幅広い人が利用できる一般向けモデル(屋内設置モデル/屋外設置モデル)を提供する予定で、「電源の確保や回線の確保が可能な個人用コミュニケーションブース、ワークスペースとして各地に展開していく。また、利用の予約や電子マネーなどでの決済・施錠管理に対応し、各種セキュリティにも配慮した設計とする。さらに、コミュニケーションブースやワークスペースとしての利用にとどまらず、さまざまなコンテンツ、サービスの提供を想定している」(間下氏)という。

 企業向けモデルの利用料金は月額5万9800円で、10月から提供を開始する予定。一般向けモデルは2017年内に発売し、提供開始は2018年上半期となる見込み。当初目標売上は初年度2億円、100カ所の設置を目指す。今後のロードマップとしては、2018年に500台、2019年に1500台、2020年には3000台を設置し、累計5000台以上を国内で展開していく計画だ。

「テレキューブ」の今後のロードマップ

働き方改革の実現に向けたコンソーシアム

 この「テレキューブ」のリリースにあわせて、新たに発足したテレキューブコンソーシアムは、日本における働き方改革の実現、そして、その推進に向けて新たなICT社会インフラを構築していくことを目的としたもの。テレワークを日本で当たり前の働き方として定着させ、国民がいつでもどこでも「安心して」働くことができる環境を構築。それを実現させるため、働き方改革を推進する企業のノウハウ、サービスを集結させ、日本から世界へ新たなワークスタイルを発信していくことを設立方針に掲げている。

 記者発表会では、テレキューブコンソーシアムの理事長を務めるプラチナ構想ネットワーク 会長の小宮山宏氏があいさつ。

 「これからの日本は人生100年時代に突入する。その中で、どう働き、どう生きていくかが問題になってくる。現代人は、情報と移動の手段を得て、働き方の自由を手に入れたはずなのに、いまだにラッシュアワーがなくならず、在宅勤務もできていないのが実情だ。これは、従来の工業中心の働き方から抜け出せていないことが原因だと考えている。そこで、テレキューブコンソーシアムでは、こうした状況を打破し、さらにクオリティの高い社会へと向かうために、『テレキューブ』を始めとした新たなICT社会インフラを構築し、働き方改革の実現に邁進していく」と、テレキューブコンソーシアム設立の意義を述べた。

テレキューブコンソーシアム 理事長でプラチナ構想ネットワーク 会長の小宮山宏氏

 主な活動内容としては、ビジネスパーソンが組織やチームで働くために必要不可欠なコミュニケーションのあり方と、ビジネスパーソンが安心して働くことができる場所の整備をテーマに、コンソーシアムに参加した企業のもつ知見、ノウハウ、サービスを組み合わせ、働き方改革を実現させる環境の整備を目指す。

 また、具体的な取り組みの一貫として、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスなどに代表されるテレワーク環境の改善を目的とした「テレキューブ」を共同で開発し、企業のオフィススペース、商業施設、公共施設、鉄道の駅、空港などの公共スペースへと設置。そこで企業の生産性向上に貢献する場に何が必要か調査、分析していく。さらに、働き方改革に関する各種プロジェクトの創出およびプロジェクトの実施に必要となる規制改革などの提案を行う。

 テレキューブコンソーシアム設立時点の会員企業は、株式会社アイ・オー・データ機器、アイ・ティー・エックス株式会社、インフォテリア株式会社、株式会社NTTドコモ、株式会社岡村製作所、株式会社樹楽製作所、サイボウズ株式会社、綜合警備保障株式会社(ALSOK)、大日本印刷株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、一般社団法人日本テレワーク協会、日本マイクロソフト株式会社、株式会社ノジマ、株式会社パソナ、株式会社ブイキューブ、森ビル株式会社、株式会社リクルートホールディングス、株式会社リコー、レノボ・ジャパン株式会社の19社。記者発表会では、会員企業の代表者が登壇し、コンソーシアムでの活動に意欲を見せた。

記者発表会でのフォトセッション(後列左から:サイボウズ 代表取締役の青野慶久氏、レノボ 代表取締役社長の留目真伸氏、リクルートホールディングス 執行役員の野口孝広氏、森ビル 取締役副社長執行役員の森浩生氏、日本マイクロソフト 執行役員常務の高橋美波氏、樹楽製作所 代表取締役社長の佐々木重孝氏。前列左から:東京電力ホールディングス 執行役員常務の見學信一郎氏、大日本印刷 執行役員の高田和彦氏、ブイキューブ 代表取締役社長の間下直晃氏、テレキューブコンソーシアム 理事長でプラチナ構想ネットワーク 会長の小宮山宏氏、日本テレワーク協会 会長の宇治則孝氏、アイ・ティー・エックス 取締役 兼 ノジマ 取締役兼執行役副社長の野島亮司氏)