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AWSはパートナーとともに新たな価値を創造する――、AWS Partner Summit Tokyo 2021基調講演レポート
2021年4月2日 09:30
日本のクラウド活用にはパートナーとの協業が欠かせない
2021年3月現在、日本のAWSパートナーは705社あり、内訳はコンサルティングパートナー345社、ISV/テクノロジーパートナー360社であるという。パートナーの全国カバレッジについては、現段階で46都道府県をカバーしており、残すは岩手県のみという状態にまで及んでいる。渡邉氏は「今年中には、全都道府県カバーを達成したい。日本のお客さまのクラウド活用には、パートナーとの協業が欠かせない」と意気込みを見せた。
また、AWSは新たなパートナープログラムとして、「AWS ISV Partner Path」を発表している。この新たなプログラムでは、パートナーを組織ではなく、提供するソリューション別に認定するという。このプログラムで認定されると、ビジネスの目的に応じて製品開発のためのサンドボックスクレジットやオポチュニティ促進ファンドなどの特典を利用できるようになる。
「このプログラムは、お客さまやパートナーの要望によって開始している。ISVパートナーの多くは複数のソリューションを持っており、お客さまからはそれぞれのソリューションにフォーカスしてAWS上で動作するようにしてほしいという要望がある。また、コンサルティングパートナーがソリューションを提供していることも多いことから、ISVパートナーやコンサルティングパートナーという垣根を越えたメリットがある」(渡邉氏)。
2021年のパートナー戦略として渡邉氏は、「クラウドへ移行(マイグレーション)」「DX」「公共分野への注力」「ISV/テクノロジーパートナーとの連携」「全国カバレッジ」「エンジニア育成と企業の内製化支援」という6つの柱を掲げている。
クラウドへの移行
AWSはグローバルで数千の顧客を抱え、35万以上のデータベースがクラウドに移行しているという。「日本ではクラウド移行がとても進んでいる」と述べた渡邉氏は、その理由として「パートナーの皆さまが、お客さまと長年のお付き合いの中でオンプレミス環境をよく理解しており、同時にクラウドスキル取得に積極的に投資しているおかげだ」と説明している。
企業がクラウドに移行する目的についても、これまでのようにハードウェア交換のタイミングでインフラの導入コストや運用コストの削減だけではなく、「俊敏性を向上したい」「DXによってビジネスの競争力を高めたい」など多岐に渡っているという。
クラウド移行を促進する「AWS Migration Acceleration Program 2.0(MAP 2.0)」は、「AWSおよびパートナーの提供するツールの最大活用」や「AWSプロフェッショナルサービス」などの技術的支援に加えて、「顧客のクラウド移行判断を後押しするファンド」という2つの側面があるプログラムだ。昨年、MAP 2.0は非常に好評であり、今年も継続して動プログラムを展開していく。なお、MAP 2.0大規模な移行案件に対応するプログラムだが、今後はより小規模な移行案件でも利用できるようなプログラムを展開していく予定であるという。
SAP環境のクラウド移行について渡邉氏は、「SAPはクラウド移行の柱のひとつ。SAPとAWSは10年以上前からクラウドにイノベーションを起こしてきた。AWSはSAPの認定を受けたサービスをもっとも多く持っており、業界初のサービスを生み出し続けている」と述べ、最近の取り組みとして「Launch Wizard for SAP」などを紹介した。
オンプレミス環境でVMwareを利用している企業から引き合いの多い「VMware on AWS」について渡邉氏は、「VMware on AWSの活用方法は、既存のシステムの拡張、仮想デスクトップ、フルクラウド化という大きく3つに分けられる。オンプレミスからの容易な移行と、変わらない運用を実現するサービスとしてニーズが高い」と述べた。
また、ゲストとして登壇したNEC サービスプラットフォーム事業部 アライアンス事業推進グループ シニアマネージャー 立石進氏は、2020年11月にNECが日本企業として初めて、コーポレートレベルで米国AWSと戦略的協業を締結したことを明らかにしている。国内事例として日本食研ホールディングスやJALのAWS移行案件および、NEC自身のモダナイゼーション加速のためのAWS活用事例などを紹介した。なおNECでは、今後も官公庁や企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速を支援していくという。