大河原克行のクローズアップ!エンタープライズ
地域の社会課題解決パートナーへと転換する――、非通信分野のビジネスを拡大するNTT東日本
2022年5月9日 06:00
NTT東日本が、地域の通信パートナーから、地域の社会課題解決パートナーへの転換を進め、着実な成果を上げている。
従来の主力となっていた固定音声回線のビジネスが年々縮小する一方で、光回線をはじめとしたICTを活用した付加価値サービスの提供により、地域社会の課題解決に向けた取り組みが成果を上げている。
2020年度は10年ぶりに増収増益を達成。営業利益は6年連続で過去最高益を記録しており、構造改革が成功していることが裏づけられる。
さらに、地域課題の多様化を踏まえて、通信分野にとどまらず、非通信分野にも事業領域を拡大。ここでは、長年の通信事業によって培った地域密着型の体制を生かしており、今後の成長領域として注力している。
そして、クラウド分野における新会社設立やDX専門コンサルティング会社の設立、AIやローカル5Gを活用した新サービスの提供など、いまや、クラウド市場においても存在感を増してきた。NTT東日本の取り組みを追った。
非通信分野への注力を拡大
NTT東日本の業績は、2013年度以降、営業収益が1兆7000億円台~1億6000万円台で推移している。2000年度の2兆7945億円から比較すると営業収益は約6割にまで減少している。だが、2020年度業績の営業利益は2640億円と、6年連続で過去最高を更新。約3兆円の営業収益を上げた2000年度の341億円に比べると7.7倍にも達している。この20年で大幅な体質改善を進めてきたことがわかる。
固定回線による音声通話の減収やIP関連収入の伸びが鈍化する一方、継続的なコストコントロールにより営業費用を半分近くにまで圧縮。縮小するフレッツ光新規開通数の減少を、2015年から開始した光コラボレーションモデルによって、新規開通数を維持している。
また利用形態の多様化にあわせたアクセス回線の提供により、IP系・パケット通信事業の収益拡大と、クラウドを活用した各種サービスをはじめとしたSI・通信機器販売事業の成長によって、新たな収益確保に取り組んでいる。2024年1月から開始し、2025年1月に完了を予定している、固定電話のIP網への移行(PSTNマイグレーション)も、コスト削減効果につながる。
NTT東日本の井上福造社長は、「お客さまの要望という観点で見れば、非通信分野をはじめとしたソリューション提供に対する要望が半数近くに達している。通信だけでは、こうした要望には応えられない。ここ数年は、通信を使って、どんな解決ができるのかを模索してきたが、質の良いサービスを、より安く利用してもらうことが、NTT東日本の本業として重要になってきた」と語る。
「人手不足への対処」や「地域産業の活性化」、「魅力ある街づくり」、「地域アセットの有効活用」、「デジタル人材の育成」などが、ソリューションに対する主な要望だ。
例えば、「リモートワークを導入したい」という通信による要望を入り口に、「社員の自宅までサポートしてほしい」といったように、必要な機器の整備などに拡大。さらに、新たな働き方環境のなかで、「勤怠管理や就業規則の見直したい」というように、非通信領域へと要望が広がっていくケースが見られているという。
そして、これらの非通信分野からの要望に応えるために生きているのが、通信事業の強みだという。特にコロナ禍においては、その強みが生かされている。
井上社長は、「コロナ禍以前の地域社会の最大の課題は、人手不足であった。これをデジタル化によって解決しようと考えていた。だが、当時のデジタル化は『デジタル化=オンライン』ではなかった」と指摘する。リアルの現場をデジタル化、自動化、省力化することで、人手不足の解決を図ろうとしていたわけだ。
それに対して、コロナ禍では非接触という要素が加わり、リモート化も促進。その考え方が人手不足の解消にも広がった。そこには、オンラインが必須条件になったともいえる。
「コロナ禍では、事業継続のために、いやおうなしにデジタル化、オンライン化に舵を切った企業が多かったが、それを活用しはじめると、従来の非効率さが浮き彫りになったり、デジタルとオンラインを組み合わせた新たな力が見えてきたりしている。最近では、社会全体がこの変化を前向きにとらえ、『デジタル×オンライン』を前提に、事業や社会生活を見直す動きが進んでいる」とする。
「デジタル=オンライン」という動きが浸透するだけでなく、「デジタル×オンライン」という価値を拡大する状況が生まれている。
これは通信事業をベースとするNTT東日本にとっては追い風ともいえる。通信をベースにしたソリューション提案を加速できるからだ。
テレビCMなどでは、「ICTる?」のキャッチフレーズを使ってきたNTT東日本だが、まさにその言葉通りに、通信の会社から、ソリューションを軸としたICTの会社へと移行しようとしており、それを環境変化が後押ししているというわけだ。
強みを生かして3つの領域に事業領域を拡大
NTT東日本には3つの強みがあるという。
ひとつは、NTT東日本の祖業となる通信事業そのものだ。神奈川、山梨、長野、新潟以東の17都道県をカバーする高速、高品質、大容量のアクセス/ネットワークは、NTT東日本の最大の武器である。
2つめは、グループ28社、社員数64万4000人、3000ビルという豊富なアセットと、それを生かした技術力。これらのアセットと技術力は、今後、非通信分野にも活用しようとしている。
そして、3つめが、電話事業で150年以上に及ぶ、地域とのリレーションの強みと、地域密着ブランドとしての強みだ。
NTT東日本は、これらの強みを生かして、3つの領域に事業領域を拡大しようとしている。
ひとつめは、「地域のスマート化を実現するDXソリューションの提供」である。ここでは、通信と親和性が高く、NTT東日本の中立的立ち位置を生かして、マルチベンダーおよびマルチキャリア対応で展開。農業やDXといった分野ごとの専門会社などを通じて、各分野に最適なソリューションを提供するという。
そのひとつの例が、2019年7月に設立したNTTアクリテクノロジーで、NTTグループ初の「農業×ICT」の専業会社であり、IoTを活用したスマート農業の実現に取り組んでいる。自社圃場を建設して、次世代施設園芸の建設および運営も行っている。
東京都調布市に開設しているNTTe-City Labo内に、東京都との連携協定に基づき、2021年から、実証ハウスを用意し、トマトの栽培を開始。「デジタル技術を活用することで、農業未経験のスタッフでも、週休2日で、おいしいトマトを作れるか」をテーマに実証実験を開始している。ここでは、ローカル5Gの活用による高精細カメラや、スマートグラスを用いて、立川市の研究所からハウス内状況の確認。営農指導を行うといったことも行っている。最小限の人手の介入で、労働集約型モデルからの脱却を模索。コロナ禍でも安心安全に行える新たな農業を目指している。
また、2020年10月に設立したドローンの専門会社であるNTT e-Drone Technologyは、持続可能な社会の実現に向けてドローンの社会実装を推進。農薬散布や農地作付け確認などの農業分野での活用を起点に、災害対策、インフラ点検、広域測量などへと応用範囲を広げる考えだ。
2021年度にはエンルートが設計した国産ドローン「AC101」を150台生産。2022年度には農業現場に適したドローンとして、独自のアップデートを行い、450台の製造、販売を行う予定だ。
2つめの「地域の人手不足を補完するBPO」では、コールセンターやオフィスマネジメントなどのケイパビリティを最大限活用する。ここでは、新型コロナウイルスのワクチン接種において、会場設営から申し込み受付、接種券の発送、実行管理までをワンストップで実施した例などがある。
3つめの「地域のアセット、人材を含めたシェアリングエコノミー」においては、以前から通信局舎を、データセンターや店舗として提供してきた経緯に加えて、同社が持つ数万人のマンパワーや社用車、ドローンなども、地域に役立つアセットと位置づけ、地域社会のアセットと組み合わせて、社会課題の解決につなげるという。
NTT東日本の井上社長は、「地域密着は、NTT東日本の大きな強みである。地域の特性にあわせて、分野ごとに多様なソリューションを提供し、構築から運用までをワンストップで任せてもらえる企業になることを目指す」と述べた。
NTT東日本による、DXに向けた取り組み
DXに向けた取り組みにおいても、NTT東日本は積極的な動きを見せている。
そのなかでも特筆できるのが、地域単位でエッジコンピューティング拠点を構築していく「REIWA(Regional Edge with Interconnected Wide-Area network)」プロジェクトである。
REIWAプロジェクトでは、地域の企業などが共同で、高額なコンピューティング機器を利用できる環境を提案。導入のハードルを大きく下げることができる仕組みだ。地域のトラフィックを、地域で完結することで、低遅延、低コストの環境を実現する「地域エッジ」を実現。さまざまな機能を、地域エッジに拡充して、センサーなどの端末までを含めた保守、運用をトータルでサポートしていくことになる。地域版情報ハイウェイともいえる取り組みだ。
その第1弾となるのが、「映像解析サービス」である。カメラで撮影した映像をAIで解析し、マーケティングに生かすといった活用ができるのが特徴で、REIWAが提供する映像AIプラットフォームを活用。欲しいAIを欲しい分だけ利用可能、店舗や施設などの既設カメラを利用して手軽にスタートできる、拠点の拡張や保守、運用の負担を軽減できる、といった特徴を持つ。
「店舗での顧客属性分析、混雑状況の可視化、万引防止や購買予兆検知など、映像解析に対するニーズは高いが、自前で構築すると初期コストが非常に高額である。また、保守や運用にも手間がかかるという課題があり、これが導入のハードルになっている。REIWAによる地域エッジに、AI機能を実装し、地域の多くの人が手軽に利用できる映像AIサービスとして提供していく」という。
今後、教材発信プラットフォームやIoTプラットフォームを地域エッジのなかで提供。地域のサービス基盤として拡張していくことになる。ここでも、東日本エリア全域に広がるNTT東日本のビルなどのインフラが生かされることになる。地域エッジは、同社の強みが発揮されるサービスだといえる。
また、NTT東日本では、2022年5月から、マネージドローカル5Gサービス「ギガらく5G」の提供を開始した。キャリアグレードの本格的な5Gスタンドアローン機能を、事前手続きから運用までトータルITO(インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング)としてワンパッケージ化し、低価格で提供するサービスだ。「屋内、屋外を問わず、利用環境にあわせて、多様なラインアップを用意。従来価格の約5分の1で必要なものがすべてそろう」と語る。
ローカル5Gでは、導入コストや運用コストが非常に高く、1億円規模の投資が必要になる場合があったり、免許取得やエリア設計、アンテナ設置などに専門知識やノウハウが必要であり、手続きや設計に手間がかかるという課題がある。さらに、導入後のシステム監視やトラブル時の対応が困難であること、試験導入する手段や、段階的な拡大ができないといった課題もある。「ギガらく5Gはこれからの課題を解決でき、ローカル5Gを使いやすいものへと敷居を下げていく」とする。
5GコアはNTT東日本のデータセンターに設置することで大幅なコストダウンを実現。既存のLAN環境にアドオンする形で導入することも可能である。サブスクリプションおよび一括支払いを選択できる料金プランとし、定額で5Gデータ通信が使い放題になる。Sub6周波数帯のローカル5G SA 環境を実現し、屋内用RUや屋外用RU、5種類の外部アンテナを用意しており、利用環境にあわせた柔軟な対応が可能になるという。
同社によると、ギガらく5Gは、工事費やトータルITOを含めて、5年総額で約2000万円。「これまでの価格設定よりも、かなり安くできる。ローカル5Gは、産業DXの推進や、地域課題解決に必要なものである。ギガらく5GのOEM提供を含めて、リーズナブルで、高品質なローカル5G環境を活用したソリューションをパートナーととも開発し、ローカル5Gによるトータルソリューションを提案したい」と述べている。
さらにDXの促進に向けて、専門会社の設立を積極化している。
2020年7月に、クラスメソッドとのジョイントベンチャーとして設立したネクストモードは、オンプレミスからAWSへの移行および運用をサポートするほか、業務効率化に向けたSaaSの導入、活用コンサルティングなどを提供するクラウドインテグレータである。
NTT東日本が提供する閉域網だけでなく、インターネット経由でのネットワーク環境を構築したり、NetskopeやZscalerなどに対応したりしているほか、各種SaaSのライセンスを販売。SaaSの導入に関する検討やPoC、初期設定など、クラウドに関するさまざまな要望に対応する。
また2022年1月には、地域企業や自治体、大学などを対象として、DXコンサルティングから実装までを支援するNTT DXパートナーを設立。NTT東日本グループが持つDX推進ノウハウやアセットを活用し、DXコンサルティングからデジタルプラットフォームの実装、構築、運用までを、共創および伴走型の取り組みによってワンストップで提供するという。
具体的には、企業の事業変革や街づくりなどにおけるDXの構想から戦略策定、それに基づくビジネスおよびサービスのデザイン、顧客体験のためのUXデザイン、DXの実行体制の整備やDX人材の育成の支援を行い、2025年度に売上高100億円以上を目指す。ターゲットは、中堅中小企業を中心とした民間企業向けが7割、自治体向けが3割という想定だ。
NTT DXパートナーの長谷部豊代表取締役は、「通信分野で培った技術、ノウハウを生かすとともに、非通信分野のコンサルティング、DXに積極的に活用していく。真の共創DXパートナーとして、企業や自治体とともに、事業やサービスを作り上げ、自走するまで共創し、最後まで伴走をしていく」と語る。
さらに、2022年4月には、建設業界におけるDXをする新会社として、飛島建設とともに50%ずつを出資し、ネクストフィールドを設立した。建設現場でのIT関連業務のBPOを提供することで、現場のDXをサポート。また、建設現場での資材調達などに関するECプラットフォームの提供にも取り組むことになる。5年後に売上高50億円以上を目指す計画だ。
ネクストフィールドの大堀裕康社長は、「NTTグループの最先端のICT技術力、多岐に渡るアセット、地域密着の営業力と、飛島建設が持つ建設業の知見、建設現場に精通した建設技術者、DXの実績を組み合わせ、建設現場のDXを推進する」と語る。注目されるのは、建設現場とICTの双方にノウハウを持つ「IT監督」を育成し、これらの人材を活用することだ。IT監督が、現場のニーズを的確にくみ取り、最適なIT機器やサービスを導入し、建設現場のDXを推進することになる。
中堅中小企業向けのクラウドサービスの強化にも余念がない。
Wi-Fi 6に対応したサポート付き事業所および店舗向けWi-Fiサービス「ギガらくWi-Fi」では、100台までの同時接続を可能にする環境を実現。モバイル端末を活用した業務の効率化や、来訪者向けのフリーWi-Fiサービスなどにも利用できるできるという。
クラウド型カメラモニタリング・録画サービスの「ギガらくカメラ」は、HD画質の滑らかな映像を撮影。いつでもどこでも簡単に映像を確認でき、これらのデータをもとに、AIで分析し、マーケティングなどへの活用も行える。
クラウドストレージサービスの「コワークストレージ」は、データ保存に関する中小企業の悩みをもとに製品化したもので、使い慣れた端末を利用して、セキュアな情報共有を可能にするほか、Microsoft TeamsなどのさまざまなSaaSとの連携も可能にしている。
また、クラウドPBXサービスの「ひかりクラウドPBX」は、オフィスへのPBXなどの通信設備の導入を不要とし、スマホの内線端末化による業務効率なども実現。セキュリティサービスの「おまかせクラウドアップセキュリティ」では、マルウェアやフィッシング攻撃などから情報資産を守るクラウドアプリ向けセキュリティ対策サービスだ。さらに、IT担当者の業務負担を軽減するサポートサービスの「ITサポート&セキュリティ」、勤怠管理や給与計算、経費精算、会計、電子契約などの各種バックオフィス業務のサービスを、サポートと組み合わせて提供する「おまかせはたラクサポート」も提供する。
NTT東日本の特殊局員を務める登大遊氏と、情報処理推進機構(IPA)が開発したリモートアクセスシステム「シン・テレワークシステム」は、2020年4月21日から、無償、登録不要で利用ができるテレワークシステムとして注目を集めた。着想から開発、構築までを2週間で実現し、コロナ禍における緊急的な在宅勤務の広がりを支援した。現在でも24万人が利用しているという。
畜産やeスポーツ、文化芸術などにも取り組む
NTT東日本では、こうした取り組み以外にもユニークな動きがある。
2020年7月に設立したビオストックは、畜産および酪農分野の専門会社で、バイオガスプラントの導入により、悪臭軽減や土壌・水質浄化の技術を開発。畜産・酪農における課題解決だけでなく、これを生かして、地域産業との連携も図ろうとしている。
NTT東日本では、2022年2月から、超小型バイオガスプラントをNTT e-City Labo内で稼働。圃場の廃棄物や社員食堂の食べ残しを活用し、栽培に必要となる電力や肥料の一部を作り、この成果を共同利用型バイオガスプラントとして、地域やコミュニティで利用。地域の脱炭素化にも貢献できるとしている。
そのほか、水産業分野では、2022年1月から、岡山理科大学およびいちいとともに、IoTと水処理技術を活用した陸上養殖の実証実験を福島市で開始。世界初となるベニザケの陸上養殖の事業化に挑んでいる。
さらに、2020年1月に設立したNTT e-Sportsは、e Sports ビジネスを推進する会社で、新たなカルチャーの形成を支援。eスポーツを通じた交流施設「eXeField Akiba」を展開。社内レクリエーションの企画や運営、配信をNTT e-Sportsがサポートするといった提案も行っている。
文化芸術分野向けのNTT Art Technologyは、2020年12月の設立以来、ICTを活用して地域の文化、芸術を、守り、生かし、つなぐ活動を展開。オンラインを活用した分散型文化鑑賞も行っている。
2022年3月6日まで、東京駅八重洲口グランルーフ2階で、「Digital×北斎」を開催。葛飾北斎の「冨嶽三十六景」と、歌川廣重の「東海道五拾三次」の画像を、20億画素の超高精細三次元デジタル画像で再現して、展示した。
また2021年10月から提供を開始した絵画配信サービス「ArtTechView」では、企業のロビーや受付、応接室のほか、コミュニティスペースに、閉域ネットワーク経由で、デジタルデータ化した所蔵元認定の公式リマスターアートをオンラインで配信。文化財の権利を保護しながら、多くの人が絵画を楽しむことができる次世代サービスとして注目されている。
そのほか、NTT東日本では、NEXCO東日本や北海道電力、東北電力、ウェザーニューズなど災害発生時に円滑な相互連携を発表しており、被災被災地域における活動の最大化を図る役割を担ったり、複数衛星の同時運用により、タイムリーに撮像して、災害復旧を支援したりすることなども発表している。
ちなみに、これまでにも何度か触れた東京・調布市の「NTT e-City Labo」では、さまざまな技術を検証することができる拠点としてスタート。もともとは中小企業などのローカル5G利用を前提に実証実験を行うローカル5Gオープンラボを設置したが、現在では、農業の人手不足を解消するための実証ハウス、エネルギーの地産地消を実現するバイオガスプラント、災害時の早期復旧を視野に入れたドローン飛行場、高齢者の安否確認を円滑に行うためのAI・ロボット活用、安心安全な移動手段確保のための自動運転走行、遊休不動産を有効活用するためのスマートストア、DX人材育成のための研修拠点などを設置して、さまざまな実証実験を行っており、今後はスマートシティを体感できるショーケースに進化させる考えだという。
このようにNTT東日本のビジネスは通信事業以外にも大きく広がりを見せている。だが、通信の強みと、地域密着の強みというNTT東日本のビジネスモデルは、以前からの強みであり、それをクラウドビジネスにも生かしている。むしろ、それがほかのクラウドインテグレータにはない強みとなっている。中堅中小企業へのクラウドの広がりとともに、存在感を発揮する場面は増えそうだ。