特別企画

AWSのアンディ・ジャシーCEOが語った、トランスフォーメーションを成功させる6つのポリシー

20を超える新サービスをAWS re:Invent 2019キーノートで一挙公開

 「このカンファレンスはテクノロジーカンファレンスではない。エデュケーションカンファレンスだ」――。

 12月3日(米国時間)、米国ラスベガスで開催された8回目となるAmazon Web Services(AWS)の年次カンファレンス「AWS re:Invent 2019」のキーノートで、AWSのアンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEOは、例年と同じメッセージでオープニングを飾った。

AWSのアンディ・ジャシーCEO

 世界最大級のクラウドカンファレンスであるre:Inventに参加し、そこで得られた成果を参加者ひとりひとりが持ち帰り、さらにそれを普及させていくことで、トランスフォーメーションのエコシステムが拡大していく。

 全世界から約6万5000人が参加した今年のre:Inventで、ジャシーCEOは自身のキーノートのテーマに「トランスフォーメーション(Transformation:変革)」を掲げた。IT業界ではやや使い古された感もあるこのキーワードにジャシーCEOは何を参加者に伝えようとしたのか。

 本稿ではジャシーCEOがキーノートで発表した新サービスとともに、同CEOのメッセージを読み解いていく。

ジャシーCEOが今年のキーノートで掲げたテーマは「Transformation(変革)」

Right Now:はじめにリーダーシップありき

 ここ数年のジャシーCEOのオープニングキーノートでは、AWSがフォーカスするテーマにあわせた楽曲をハウスバンドが演奏し、それから新サービスの紹介を行うというかたちが定着しており、ジャシーCEOは今年もその手法を取っている。

 今回のキーノートで使われたのは以下の6曲だ。

・Don't Want to Wait for Tomorrow / Van Halen
・Don't Stop Me Now / Queen
・Movin' out / Billy Joel
・Too much / Dave Mathews Band
・I'm gonna be (500 miles) / Proclaimers
・Break On Through / Doors

 ただし1曲目の「Right Now / Van Halen」では新サービスの発表はなく、ジャシーCEOはトランスフォーメーションの成功に欠かせないリーダーシップについて語っている。

 Right Nowは「明日まで待ちたくない(Don't want to wait 'til tomorrow)」というフレーズから始まる。ジャシーCEOはこれを引用し「トランスフォーメーションが起こるのを、われわれは待つ必要はない。トランスフォーメーションは技術の問題ではなく、リーダーシップの問題だ」と語り、トランスフォーメーションを実現するリーダーシップを以下のように定義している。

1.リーダーたちが互いに信頼し、足並みをそろえる
2.トップダウンによるアグレッシブなゴールを設定する
3.ビルダー(開発者)たちへのトレーニングを実施する
4.(変革を)始める前にまひ状態に陥って行動しなくなることを回避する

ジャシーCEOが挙げたリーダーシップ4カ条。クラウドを核にしたトランスフォーメーションを実現するには、まずリーダーシップをすべての関係者がもつことが重要だとする

 ジャシーCEOはトランスフォーメーションの成功事例のひとつとして、GEがクラウドへの移行初期に、50ものアプリケーションを30日で移行を完了したケースを挙げているが、たしかにトップダウンによる強力なリーダーシップが発揮され、さらにプロジェクトにかかわるすべての人々が、役職のあるなしにかかわらずリーダーシップをもっていたからこそ達成できたゴールである。

 トランスフォーメーションは待つ必要はない、リーダーシップさえ徹底していれば――、逆にいえばリーダーシップの欠けた組織ではトランスフォーメーションの成功は期待できないといえるだろう。