特別企画

AWSのアンディ・ジャシーCEOが語った、トランスフォーメーションを成功させる6つのポリシー

20を超える新サービスをAWS re:Invent 2019キーノートで一挙公開

Break On Through:エンタープライズを“向こう側”に連れていく

 最後のパートでジャシーCEOがハウスバンドに演奏させた曲は、ザ・ドアーズの「Break On Through」である。ジャシーCEOは「向こう側に突き進め(Break on through to the other side)」という歌詞をエンタープライズの現状になぞらえ、新たに3つの発表を行った。

・昨年のre:Inventで発表されたオンプレミス環境でAWSのインフラを利用できる「AWS Outposts」を正式リリース。Amazon VPCをOutpostsに拡張して利用可能で、現時点ではEC2、EBS、VPS、ECS、EKS、EMRが動作する(S3は2020年上期予定)。2020年には「VMware Cloud on AWS」もオプションとして利用可能に。東京リージョン含む各リージョンで提供開始

展示会場に設置されていた「AWS Outposts」の実機(Outpost)。すでにVolkswagenなどがエッジコンピューティング基盤として採用している

・Endo-to-Userで超低レイテンシなアプリケーション接続を実現する、地域に閉じたAWSクラウドの拡張「AWS Local Zone」:AWSのインフラストラクチャ(コンピュート、ストレージ、データベースなど)をエッジで利用可能。最初のローカルゾーンはロサンゼルスでリリース

・AWSコンピュートとストレージを5G通信事業者の内側で有効にする「AWS WaveLength」。コネクテッドカーやスマートシティ、エッジでの機械学習など数ミリ秒単位のレイ点心が求められるアプリケーション開発者向けのサービス。最初のパートナーはVerizon、その後、Vodafone、SK Telecom、KDDIも参加へ

エンタープライズのブレイクスルーを促す3つのアップデート「AWS Outposts」「AWS Local Zone」「AWS WaveLength」

 WaveLengthのアナウンスにおいては、Verizonのチェアマン兼CEOのハンス・ベストベリ(Hans Vestberg)氏がゲスト登壇し、「5Gにおいては信頼性とQoSの担保がもっとも重要となる。AWSのテクノロジーをVerizonネットワークのエッジに埋め込むことで、ユーザーははかりしれないコンピュートパワーを5Gで実感できるだろう」と語っており、これから始まる5G時代における“AWSパワー”に大きな期待を寄せているとしている。

ゲストとして登壇したVerizonのベストベリCEOが、5GにおけるAWS WaveLengthのポテンシャルをジャシーCEOとともにアピール

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 「トランスフォーメーションは時に抵抗を生む。しかし変化を、そして再発明(reinvent)することをおそれてはいけない。Here to help you build:AWSはあなたたちがビルドするときには必ずサポートする」――。

 ジャシーCEOは3時間のキーノートをこう締めくくっている。思い返せばクラウドという概念自体も大きなトランスフォーメーションであり、既存のベンダーから大きな抵抗があったことは多くの人々の記憶に残っている。

ジャシーCEOのキーノートにおける最後のメッセージは「AWS - Here to help you build」

 RedshiftやRDS、SageMaker、Nitroといったソリューションも、既存の常識よりも顧客の声を優先してきた結果であり、それゆえに業界からの反発も小さくはなかった。だが、それをおそれていてはトランスフォーメーションは生まれない。

 トランスフォーメーションのありようをAWS自ら体現することで、世界中のユーザーに一歩を踏み出す大切さを示していく――。“エデュケーショナルカンファレンス”の意味はそこにある。