特別企画

AWSのアンディ・ジャシーCEOが語った、トランスフォーメーションを成功させる6つのポリシー

20を超える新サービスをAWS re:Invent 2019キーノートで一挙公開

Don't Stop Me Now:ポートフォリオを広く、深く

 2曲目に演奏されたのは、ジャシーCEOがよく引用するクイーンの「Don't Stop Me Now」だ。ジャシーCEOはタイトルにもなっているフレーズから「いますぐ始めたいのなら、その思いを止めるべきではない。クラウドに移行したいのなら、すぐに始めればいい。AWSは今日のビルダーたちが使えるサービスを世界でもっとも深く幅広くそろえているクラウドプラットフォームである」と強調。数字的な裏付けとして、Gartnerのマジッククアドラントにおいて、世界のIaaSマーケットで47.8%という圧倒的なシェアを獲得している事実を挙げている。

GartnerによるIaaS市場のシェア調査ではAWSが47.8%と圧倒的な首位を誇る

 ビルダーたちの思いを止めないための新たなポートフォリオとして、ジャシー氏はここで大きく3つのサービスを発表している。

 1つ目は、Armベースの新カスタムチップ「Graviton2」を採用したEC2ファミリ「M6g」(汎用インスタンス)、「R6g」(コンピュート最適化インスタンス)、「C6g」(メモリ最適化インスタンス)。最大64vCPU、25Gbps拡張ネットワーク、18GbpsのEBS帯域を持ち、前世代の「Graviton1」に比較して7倍の性能、4倍のコンピュートコア数、5倍高速なメモリを搭載する。M6gのみプレビュー開始、R6gおよびC6gは近日公開。

新世代のカスタムチップ「Graviton2」を採用した3つのインスタンスを発表、M6gのみプレビュー公開、R6gとC6gは近日公開予定

 2つ目は、マシンラーニング(ML:機械学習)の推論を低コストで実現することに特化したEC2インスタンス「Inf1」。ML専用カスタムチップ「AWS Inferentia」がベースで、G4インスタンスに比べて3倍のスループットと40%アップのコストパフォーマンスを持つ。Amazon ECSおよびEKS、SageMakerなどでサポートが予定され、オレゴンリージョンで一般提供(GA)開始となった。

 3つ目は、Amazon EKSを利用してKubernetesのPodsをAWS Fargate上で稼働させる「Amazon Fargate for Amazon EKS」。Podsのインフラ管理やプロビジョニングをすることなく、Kubernetesベースのアプリケーションが、サーバーレスでセキュアかつスケーラブルに実行可能。東京を含む4カ所のリージョンでGAとなった。

サーバーレスでKubernetesアプリケーションを実行できる「Amazon Fargate for Amazon EKS」は、東京リージョンでも利用可能

 これらのアップデートに共通するのは、EC2やKubernetesソリューション(ECS、EKS、Fargate)といった既存のポートフォリオを拡大しつつ、より顧客のニーズに特化し、進化の度合いを深めている点だ。

 クラウドで世界トップシェアの名に恥じない圧倒的な広さと深さをもつポートフォリオでもって、顧客の「すぐに始めたい」に応えていくという、Amazonから受け継ぐ顧客中心のDNAはこうしたところにもあらわれている。