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サイボウズが「kintone」価格改定、「基本機能」と「SI」の2プランに

 基本機能のみは「780円」、SI前提は「1500円」――サイボウズ株式会社は10日、業務アプリ構築クラウド「kintone」の価格プランを刷新し、新しい販売戦略を展開すると発表した。

新価格体系

kintone価格改定、基本機能プランとSI前提プランの2種類に

代表取締役社長の青野慶久氏

 新価格体系では、基本機能のみを利用できる「kintone Light」、他システム連携などSI前提の「kintone Standard」の2種類を用意する。

 価格は、現行の月額880円(税別)/ユーザーから、「Light」が月額780円(同)/ユーザー、「Standard」が月額1500円(同)/ユーザーとなる。改定の主な理由は「ライトユーザーとヘビーユーザーの二極化が進み、一律の価格ではニーズに対応しきれないため」(代表取締役社長の青野慶久氏)。API、JavaScriptカスタマイズは「Standard」で利用可能。「Standard」については値上げとなるが、既存ユーザーの90%以上は「Light」に該当するという。改定時期は2014年4月より。ただし、既存ユーザーおよび2014年3月末までに契約した新規ユーザーは5年間、現行価格(880円)のまま利用できる。

2014年は「kintone SI」ビジネスに注力

 これに伴い、2014年の新販売戦略も発表。戦略も「Light」「Standard」両プランに応じて二極化を図る。具体的に「Light」は従来のプロモーションを継承。「Excel共有」「モバイル活用」「簡易SFA&CRM」「社外とのコミュニケーション」などをポイントとして、これらを手軽に行えるプラットフォームとして訴求する。「現行価格より値下げとなるため、よりすそ野を広がるよう活動する」(青野社長)。

 「Standard」はパートナー協業促進の取り組みを強化。注力点は「kintone販売」「kintone製品連携」「kintone SI」の3点。

「Light」は従来のプロモーションを継続
「Standard」は販売・製品連携・SIパートナーとの協業促進

 パートナー販売については、「従来グループウェア販売に協力いただいたパートナーによる取り組みが進み、2013年12月には間接販売が31%を占めるまでになった」(青野社長)。製品連携は「2013年に最も注力した」点でもあり、この数カ月でも多くの協業が発表された。現在、約40のkintone連携ソリューションが完成。「これらを今後もさらに加速する」(青野社長)。

2013年怒濤の勢いで進めた他社製品連携

 一方、kintone SIは「2014年の注力ポイントとなる」(同氏)。提供しているのは「REST API」「JavaScript API」で、「より手軽に、より多くの人に開発してほしい」という思いを込める。kintone APIで「地図連携」「基幹システムとの連携」「健康管理・ライフログ」などが実現できるが、ほかにも多くのカスタマイズ事例があり、納期は最大で2~3カ月、1カ月未満の案件が多いという。

2014年は「kintone SI」ビジネスに注力
カスタマイズ事例
カスタマイズの実例。顧客訪問リストから、前回訪問日などのデータを使って地図で可視化

 kintone SIによって、「kintoneをクラウド単発案件から継続サービス案件として扱える。SIerにとってのメリットになると理解の浸透を図る。1500円という価格設定もSIビジネスとしてマージンを設定しても成り立つよう配慮した」(青野社長)。

 具体的なkintone SI強化施策として「SIビジネス支援体制の強化」「案件発掘の支援」の2点を挙げる。

 SIビジネス支援体制としては、コミュニティサイトの開設と運営、開発者用アカウントの提供、cybozu.com β環境の提供、開発者向けの技術サポートなどを、2014年4月より順次提供。

 案件発掘としては、サイボウズが直接的にSI案件の発掘に努め、パートナーと共有できる仕組みを作っていく。具体的に「kintoneは試用ユーザーも多く、2013年11月には1000件を超えた。これが顧客リストとして活用できるかどうか、パートナーとともに共有していく」(青野社長)とした。

kintone SI強化施策

川島 弘之