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コンカー、クラウド型の間接費処理サービス「Concur Invoice」~2013年度は国内累計280社の導入を見込む

 株式会社コンカーは26日、クラウド型経費管理サービス「コンカー」の新サービスとして、「Concur Invoice(コンカー インボイス)」を同日よりスタートすると発表した。

 コンカーは、クラウドベースの出張・経費管理ソリューションの専業ベンダーで、米本社は1993年に設立。全世界で1万5000社、150万人のユーザーに利用されている。SaaSプロバイダーとしては、米salesforce.comに次いで、世界第2位の規模に位置づけられる企業でもある。

 Webベースとモバイルソリューションを活用することで、企業は従業員経費の最適化と、これらの入力にかかわる時間を削減できるとしており、年間約2800万件以上、2兆8000億円以上の出張および経費処理に利用されている。

 日本法人は、2011年2月に設立。製品のローカライズのほか、ICカード交通乗車券のデータを取り込むといった日本市場に求められる固有の機能などを開発。「Concur Expense(コンカー エクスペンス)」をはじめとする同社製品の国内展開を行ってきた。

 日本では現在までに230社が導入。経費精算数は年間20万件にものぼり、当初計画に対して166%の達成率を記録しているほか、従業員数は5倍に増加した。また、ICカード交通乗車券対応、経路検索ソフトとの連動など、10個の“日本発”の機能拡張をリリースしたという。

Concurの企業情報
Concurの導入状況
2013年度の成長に向けて

すべての間接費領域をカバー

Concur Invoiceの画面

 今回発表したConcur Invoiceは、水道光熱費、通信費、消耗品などの「間接費」を、請求書に基づいて支払い処理を行うためのサービス。事業部門が支払い依頼を登録すると、自動的に社内規定への準拠確認や、サプライヤー登録の有無などのチェックが行われ、さらに組織、費目、金額に応じて、自動で承認ワークフローが起動する。こうした仕組みにより、経理部門は、従来のExcelのデータ入力や、紙から会計システムへの項目入力などを行うことなく、事業部門からの支払い依頼の確認、支払い処理を行うことができる。

 「間接費は少額での処理が多く、不規則的に発生するほか、経理のプロではなく、一般社員が利用者となる。そのためERPでは対応しにくく、システム化のホワイトスペースとなっていた。Concur Expenseと、今回発表したConcur Invoiceによって、すべての間接費の領域をカバーできるようになる。また、自動入力によって、現場と経理の二重入力や、経費処理作業による従業員の生産性低下といった、間接費処理における問題を解決できる」という。

 経費規定の自動チェック機能による入力ミスの軽減や、不正な経費利用の抑制、スマートフォンやタブレットによるタイムリーな承認を可能としたほか、Web上からの支払先への支払いステータスの開示や、分析機能による利用状況の可視化を実現。Concur Expenseとのシームレスな連携により、企業グループ全体の経費利用の透明性の向上と、適正化を強化できるという。

 また、紙の請求書をOCRで読みとる入力自動化機能は、2013年後半に投入する計画だ。

直接費・間接費の特徴。間接費はERPでは対応しづらく、システム化のホワイトスペースとなっていたという
Concur Invoiceによる請求書の支払いプロセス
Concur Invoiceの全体像
スマートフォンを通じた承認作業も可能になる

「日本は重要な市場」とヒルトン上級副社長

米Concur Technologies プロダクトマネジメント&ストラテジー担当のマイケル・ヒルトン上級副社長

 一方、会見に出席した米Concur Technologies(以下、Concur) プロダクトマネジメント&ストラテジー担当のマイケル・ヒルトン上級副社長は、「2011年度実績で3億5000万ドル(約329億円)の売上高、2012年度は約413億円の売上高を誇り、2011年度までの過去5年間の年平均売上高成長率は31%。フォーチュン500社のうち、61%がConcurを利用しており、トップ13銀行のうち77%、トップ16の製薬会社のうち69%がConcurを導入している。一日に70万件のログインがあり、250万人のユーザーがモバイル環境で利用している。2013年度は、前年比25%の売上高成長を見込み、営業利益率は、16~19%を見込んでいる。中堅・中小企業への注力、日本および欧州における大企業への普及、米国の公共市場への注力と拡大を目指す。特に、日本の市場が現在最も早い成長を遂げており、日本は重要な市場となっている」などとした。

 ヒルトン氏は、Concurの創業メンバーであり、創業から3年間はCEOを勤めた。

 「Concurのビジョンは、パーフェクト・トリップ。出張に関するすべての作業をスムーズに行うことができるサービスを目指す。モバイルデバイスにフォーカスし、(出張管理サービスの)Tripitによって自動的に旅程を管理し、チケットの購入、ステータス変更、チェックインなども行える。さらに、出張が完了すると経費精算を自動で作成できる」などと語った。

パーフェクト・トリップのビジョン

日本でトラベル関連サービスを投入へ

コンカーの三村真宗代表取締役社長

 一方、コンカーの三村真宗代表取締役社長は、日本では、5つの新サービスを提供する計画を明らかにした。出張管理、旅程管理、従業員リスク管理など、トラベルに関する機能を、2013年半ばから順次投入していく。

 「トラベルに関する新サービスによって、国内外のホテルや交通手段を、企業の旅程規定などにあわせて予約することができる。また、Tripitは2013年後半に投入する。さらに従業員リスク管理も2013年後半に投入する予定で、このサービスでは、従業員がどこに出張しているのかをマッピングし、出張先などで災害が発生した際に、すぐに安否確認が可能になる」(三村社長)という。

 また三村社長は、Concur Invoiceの発売により、国内への累計280社への導入を計画しているほか、売上高で3倍、社員数2倍の拡大を計画しているとのことで、Concurを通じた経費精算数を50万件まで拡大する計画も明らかにした。

 「単年度では、50社への新規導入を見込むことになる。2011年度の20社の導入に比べると、2倍以上の導入計画になる」(三村社長)。

(大河原 克行)