コンカーの「Concur Expense」で経費管理をもっと手軽に!
日本に上陸した経費管理クラウドに迫る
コンカー代表取締役社長の三村真宗氏 |
株式会社コンカーは、クラウド型の経費管理ソリューション「Concur Expense(コンカー・エクスペンス)」の日本語版サービスを2月13日に正式発表し、日本市場での拡販を本格的にスタートした。コンカー代表取締役社長の三村真宗氏に、「Concur Expense」の特徴やメリット、および日本市場での戦略を聞いた。
■経費管理の効率と精度を両立させる「Concur Expense」
「Concur Expense」の画面 |
コンカーは、世界第2位のSaaSプロバイダーである米国Concur Technologiesの日本法人として2011年2月に設立。同年11月には、三村氏が代表取締役社長に就任し、日本市場開拓に向けたマーケティング展開に力を注いでいる。「米国本社は、トラベル&経費管理ソリューション『Concur』にフォーカスし、2006年から2011年までの5年間で平均成長率31%と急速に売り上げを拡大している。そして『Concur』は、すでにフォーチュン500の約50%の企業に利用されている」と、三村氏は「Concur」が世界で多くの導入実績をもっていることを説明。今回、その主力製品である大企業向け経費管理ソリューション「Concur Expense」を日本市場で正式リリースしたという。
これまで、日本市場においては、経費管理は業務ソフトウェアの1つの機能という認識が強く、単体製品としてのニーズは決して大きいものではなかった。これに対して三村氏は、「経費管理は、実は多くの企業が課題を抱えているのが実状だ。従業員は、経費管理ツールを活用して申請作業の効率化を図りたいと考えている一方で、経理側では、もっと経費管理の精度を高めてムダな経費を削減したいという思惑がある。しかし、これを両立できるツールはいままで存在しなかった」と指摘。「『Concur Expense』は、経費管理の作業効率化と精度向上を両立した唯一のソリューション。さらに、クラウドサービスで提供し、利用料金は経費レポート単位での課金のため、初期導入の手間とコストを大幅に抑えることができる」と、そのメリットを強調している。
■経費申請を手軽なものに
モバイル端末に完全対応。申請・承認ともに外出先で行える |
まず、経費管理の作業効率化としては、モバイル端末に完全対応している点が大きな特徴だ。「Concur Expense」では、スマートフォンや携帯電話から、Webソリューションと同等の機能を利用することが可能で、経費の追加・修正・削除、経費精算書の作成および申請などを、電車を待つ間や食後の時間を活用して、手軽に行うことができる。また、申請画面だけでなく、管理画面もモバイル端末から操作できるため、経理担当者も外出先から経費のチェックを行うことが可能となっている。
領収書の処理方法も、経費管理作業の効率化を支援する見逃せないポイント。「経費精算の領収書は、紙で管理するのが一般的だが、『Concur Expense』は、領収書をすべて電子イメージとして運用する。例えば、領収書の申請が必要な時は、携帯電話の写メを利用して、専用アドレスに領収書の画像データを送る。そして、経費精算の際に、入力画面から必要な領収書データを添付して申請を行う。領収書が多数ある場合には、台紙に領収書を貼り付けて、専用番号にFAXを送れば、複数の領収書をまとめて電子イメージ化することもできる」(三村氏)と、完全なペーパーレス化を実現しているという。
経費申請画面 | 領収書は写メ、FAXなどで簡単に電子化できる。FAXの場合は、専用台紙に領収書を張り付けて決まった番号に送る。複数の領収書もまとめて電子化できる |
また、「Concur Expense」は、法人カードとの完全連携がとれており、出張先のホテルなどで法人カードを使って決済すると、その情報がカード会社に渡り、翌々日には「Concur Expense」の経費明細として取り込まれる。これにより、法人カードを使った際の経費申請の負荷を大幅に軽減できるとともに、決済情報が明細まで記録されるため、不正入力なども防止できる。
さらに、今回正式リリースした日本語版サービスでは、新たにFeliCa対応のICカードとのデータ連携、およびジョルダン「乗換案内」とのデータ連携を実現。ICカードとの連動では、Suica、PASMO、ICOCAなどICカードに記録されている交通機関の利用日、乗車区間、運賃などのデータを自動的に経費明細として取り込むことができる。また、「乗換案内」との連携では、「Concur Expense」の画面上で、乗車区間を入力して経路を選択するだけで、運賃データを自動的に「Concur Expense」に反映させることが可能となった。三村氏は、「これらの機能は、ビジネスの移動手段として電車を多く活用する日本ならではのニーズに応えるもの。これによって、今まで手間がかかっていた電車など交通機関の経費精算を大幅に効率化できる」としている。
■経費規定を自然と順守させる仕組み
経費使用日から60日以上経過している場合は黄色、領収書が添付されていない場合は赤色など、細かく登録した経費規定に応じて3色の色分けがされる。従来は人手で確認していた規定の順守状況を機械的に行うことで、経理担当者は黄色・赤色のものだけに目を通すだけでよくなる |
一方、経費管理の精度向上という課題に対しては、経費規定エンジンとして「Smart Expense」を搭載。「経費規定は、企業ごとに決められているが、運用に当たっては、それが遵守されていないケースが多いのが実状。これは、細かく決められた経費規定を従業員が把握し切れていないことが背景にある。さらに、経理担当者も日々の業務に追われ、経費規定のチェックが緩くなっている。このままでは、経費管理の負のスパイラルから抜け出すことは難しいといわざるを得ない」と三村氏は、経費規定に沿った経費管理を徹底することが精度向上のポイントであると指摘する。
「Concur Expense」では、経費規定エンジン「Smart Expense」によって、企業ごとに決められた経費規定をパラメータで設定し、ソリューションに組み込むことが可能だ。そして、経費規定への準拠度合い応じて、グリーン、イエロー、レッドの3段階で色分けして表示されるようになっている。これにより、従業員は自分の経費申請が経費規定に準拠しているかどうかを簡単に確認でき、準拠していない場合は、その理由と解決策をナビゲートしてくれるため、精度の高い経費精算を迅速に行うことができる。
また、経理担当者も、グリーンの申請は詳細をチェックする必要がなくなり、イエローやレッドのアラートが出ている申請だけをピックアップして、効率的に経費内容の精査を行うことが可能となる。さらに、管理画面には、広範囲にわたる標準レポートおよびダッシュボードが用意されており、経費を多く使っている従業員を種目別に確認できるほか、経費の申請に時間がかかっている従業員も把握することができるという。
■日本でも評判は上々
「Concur Expense」の日本での拡販戦略について三村氏は、「私が社長に就任した際、1ヵ月間で10社ほど見込み顧客を訪問し、『Concur Expense』を提案したのだが、その反応は非常によいもので、正式に導入検討してもらえる企業も多かった。この時、日本市場には、経費管理ソリューションという大きな潜在需要が眠っていると確信した。現在、『Concur Expense』は、国内で外資系企業を中心に110社に利用されているが、日本語版サービスの正式リリースを機に、国内企業にも積極的にアプローチを行っていく」との考えを示した。
具体的な施策として、今回の日本語版サービスの開始に併せて、新たにコンサルティングおよびサポート体制を整備し、日本人スタッフによる迅速かつきめ細かいサービスを提供していく予定。
「特にグローバル展開を推進している国内企業は、16か国語に対応する『Concur Expense』を活用することで、海外現地法人の経費管理も含めたグローバルでのコスト合理化を図ることが可能となる。年内には、国内大手企業の導入実績を数件獲得したい」と、三村氏は国内企業開拓への意気込みを語っている。
また、三村氏は、今後の製品ロードマップとして、「年末年始をめどに、出張管理ソリューションのリリースを予定している」との計画も明らかにした。