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クアルトリクス、2023年のエクスペリエンス管理ビジネス戦略を発表

従業員エクスペリエンスの最新トレンドも解説

 クアルトリクス合同会社は17日、ビジネス戦略発表会を開催し、2023年の国内におけるエクスペリエンス管理(以下、XM)のビジネス展開および活動計画について発表した。あわせて、同社が実施した従業員エクスペリエンス(以下、EX)に関する調査結果をもとに、EXの最新トレンドについて解説した。

 まず、クアルトリクス カントリーマネージャーの熊代悟氏がグローバルにおける2022年の業績を振り返り、「総売上は14億5900万ドルで前年比33%増、サブスクリプションは12億2400万ドルで前年比41%増、契約済でこれから入ってくる予定売上は22億ドルで前年比25%増、売上継続率は120%を達成した」と、ビジネスが好調に推移していると説明した。

クアルトリクス カントリーマネージャーの熊代悟氏

 国内での2022年の活動ハイライトとしては、「昨年4月に東京オフィスを拡大移転し、6月に国内データセンターを稼働開始」、「国内でブランドエクスペリエンスおよびリサーチサービスを提供開始」、「クロスでエクスペリエンスのインサイトを分析する新たなモジュールを展開」、「日本財団・SAPとともにウクライナからの避難民支援プラットフォームを提供」、「大阪オフィスを開設」などを挙げた。

 2023年の展望については、「先行きが不透明で将来予測が困難な時代において、エクスペリエンスの向上を継続するには、常に多様な顧客、従業員の声を聞き、アクションを実行し続けていく必要がある。そのため、企業にとってXMはさらにミッションクリティカルなものになるだろう。とくに先進的な企業では、エクスペリエンスが業績向上の重要な要素になっていると考えられる」との見解を述べた。

 そして、同社の2023年の活動計画として、「継続的に新規顧客を獲得」「既存顧客における利用範囲の拡張」「国内での認知度向上に向けた活動強化」の3点に注力していくことを発表した。

 具体的には、継続的な新規顧客の獲得では、営業人員の増強、および国内パートナー企業との協業強化を図る。既存顧客における利用範囲の拡張では、アドバイザリーサービス人員を増強するとともに、アドバイザリーサービスを提供可能なパートナーシップを拡充する。また、ユーザー会やラウンドテーブル、ワークショップなどのアクティビティの強化、および製品認定プログラムの日本語化を進めていく。国内での認知度向上に向けた活動強化としては、世界最大級のエクスペリエンス管理イベント「X4」を国内で初開催(8月予定)するほか、XMに関するグローバル・国内の調査の実施とレポート発信を積極的に行っていくという。

 次に、同社が実施した「働く人の意識調査」(2022年8月~11月(グローバル調査)/2023年1月27日~30日(日本調査))の結果をもとに、EXの最新トレンドについて、クアルトリクス ソリューションストラテジー シニアディレクターの市川幹人氏が解説した。

クアルトリクス ソリューションストラテジー シニアディレクターの市川幹人氏

 「日本の従業員エンゲージメントのスコアをみると、2022年は40ポイントとなり、前年の37ポイントから若干回復した。しかし、グローバルの2022年の従業員エンゲージメントは67ポイントであり、依然として世界の中では低水準にとどまっている。一方、継続勤務意向のスコアについては、日本も低下傾向が続いている。2022年は前年から5ポイント低下し65ポイントとなり、グローバルのスコア(2022年:64ポイント)とほぼ同水準になった。従業員エンゲージメントを左右する要因としては、学び・成長の機会や全社レベルの戦略・バリューなどが影響している」とした。

従業員エンゲージメントの状況

 また、2023年に注目されるEXのトピックとして、「オフィス回帰」「静かな退職」「キャリア自律」の3つを挙げた。

 コロナ禍が落ち着き始めたことを受け、リモートワークを縮小・廃止し、オフィスに出社するよう求める、いわゆる「オフィス回帰」を企業が従業員に求める傾向が見受けられる。オフィスに戻る理由としてはいくつかのメリットが指摘されているが、今回の調査では、「人脈作り、信頼関係の構築」には対面による接し方が必要と考える人が多いことが明らかになった。その一方で、「仕事に関係するスキルや知識の習得」や「生産性」など、業務遂行のために必要と考える人は全体では半数前後にとどまり、現在の勤務形態や周囲の人との連携の強さなどによっても意見が大きく異なることが示された。

「オフィス回帰」に何を期待するのか?

 「オフィス回帰を推進する際には、各従業員の立場によって、その必然性に対する考え方が多様であることを認識する必要がある。そのうえで、オフィスで働くことの有効性を丁寧に説明していくことが、スムーズな移行の実現に不可欠である」(市川氏)としている。

 「静かな退職」とは、退職するわけではないが、仕事に対する熱意を失い、与えられた仕事以上のことをしない働き方のことで、昨年半ば以降、海外を中心に話題となっている。今回の調査では、「静かな退職」をする人々を、「自発的貢献意欲が低いものの、継続勤務意向は高い状態」として定義・抽出したところ、回答者全体の約15%が該当することがわかった。このグループの属性別内訳では、40代・50代の中堅・シニアクラス、一般社員、周囲との連携が弱い人々、パフォーマンスが平均に満たない人々が、多めの傾向を示していた。市川氏は、「『静かな退職』は、組織にとって大きな負担になる可能性があるため、早めに予防措置をとる必要がある」と指摘した。

誰が「静かな退職」をしているのか?

 「キャリア自律」とは、各自が自らのキャリアについて責任を持って主体的に考え、自主的にキャリア形成に取り組んでいる状態のことを指す。「キャリア自律」は、昨今の人事課題の一つであり、政府も後押ししているが、今回の調査では、そもそも「キャリア目標がある人」「キャリア上のロールモデルがいる人」「現在の職場でキャリア目標が達成できると考える人」は、それぞれ全体のわずか4分の1程度にとどまり、3~4割は否定的な回答をしていた。この結果を受けて市川氏は、「『キャリア自律』を推進するには、まずは各自がキャリア目標を持つことからスタートさせる必要がある」との考えを示した。

「キャリア自律」に関して何が問題か?