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クアルトリクス、2025年度はAI搭載XMプラットフォームを日本で順次提供へ

 クアルトリクス合同会社は15日、2025年度の事業説明会を開催した。熊代悟カントリーマネージャーはフォーカスエリアとして、1)順次搭載するAI機能を含め、エクスペリエンスマネジメント(XM)プラットフォームの日本市場展開、2)国内でのパートナー企業向け体制の新設およびパートナー強化、3)既存のお客さま向けXMプログラムの成熟度向上の支援――の3点を挙げた。

クアルトリクス合同会社 カントリーマネージャーの熊代悟氏

 このうちAIについては、4月15日に新しいAIエージェント「Experience Agents」を発表するなど、積極的に強化を進めている。「去年からAI機能を出してきたが、単にAI機能を提供しただけでは使ってもらえない。目的別に最適なAIを提供し、利用しやすい状況を作っていく。また、本日の説明会に登壇していただいたNTTデータをはじめ、パートナー企業との連携を強化していく」と述べ、パートナーと協業しながら顧客のAI活用を推進していくことをアピールした。

 クアルトリクスでは、2025年度の注力ポイント3点について、「AI機能は昨年から提供を開始しているが、以前から進めてきたAI機能の開発を、さらに急ピッチで進めている。ただし、単にAI機能を提供しただけでは十分に活用できないので、目的別に最適なAIを提供し、容易に利用できる形態で提供していく。また、さまざまなベンダーがエージェントAIを出してきたが、我々はエクスペリンスマネージメント、エクスペリエンスデータに注力しているベンダーであり、この分野に最適なモデルを作りリリースすることを計画している。これに関しては詳細をあらためて説明する機会を設けたい」と、熊代カントリーマネージャーは説明した。

 また、パートナーとの協業を加速するため、グローバル、日本の両方に協業のための専門チームを立ち上げた。「パートナーをフルで支援体制を持っていなかったことが私どもの課題となっていた。今回、その体制を構築し、既存のお客さまを含めて支援していく体制が整った。パートナーはお客さまの業務を熟知した上で、お客さまへの支援を行っている。パートナーとの協業によって、我々のビジネスも加速していくことになるだろう」(熊代カントリーマネージャー)。

パートナーとの協業へのコミット

XMに取り組むことの重要性を強調

 また米Qualtricsでは3月に、「X4 クアルトリクス エクスペリエンスマネージメントサミット 2025」を米国ソルトレイクシティで開催しているが、その会場で発表されたハイライトが紹介された。

 「70社以上の事例を共有したが、近年は業種特化にフォーカスするようになっていることから、業種に特化したセッションも50以上実施している。業種の中でも、金融、官公庁、教育、ヘルスケアには特に注力している」(熊代カントリーマネージャー)。

 こうした取り組みと共に、あらためて強調したのが、XMに取り組むことの重要性だ。「日本市場に進出し8年目となるが、ずっとXMの重要性をアピールしてきた。世の中がだいぶ変わってきてはいるものの、日本ではお客さまの声を聞くことをもっと増やしていく必要があると思う。欧米では、お客さまの声を聞くところは日本よりも進んでいるものの、その声をアクションにつなげることに関しては、まだ改善する必要があるのではないか。お客さまの声を集め、それを素早く改善アクションにつなげていくことが、組織や企業にとって必要なことだろう」(熊代カントリーマネージャー)。

 クアルトリクスは、自社の「クアルトリクスXMプラットフォーム」について、あらゆるタッチポイントを網羅し、すべてのエクスペリエンスチームを支援するために設計された、オールインワンの体験管理プラットフォームだと説明。このプラットフォームには、顧客体験プログラムによる競争優位性を実現するもの、従業員の満足度を上げ、生産性の向上や離職率を低く抑えるためのもの、リサーチ結果を取り込むためのものと、目的別のソリューションが搭載されているとアピールした。

オールインワン エクスペリエンス マネジメントプラットフォーム

 さらに同社は、「Experience Agents」を新たに発表した。このExperience Agentsでは、組織があらゆるチャネルで顧客の体験を深く理解し、顧客や従業員とより強いつながりを構築して、最も重要な場所とタイミングでパーソナライズされたアクションが可能になるという。また、あらゆるチャネルやインタラクションにおいて、卓越したカスタマーエクスペリエンスと従業員エクスペリエンスを自律的に提供するとした。

Experience Agents始動

 加えて、より高度な顧客データへアクセスすることで、サーベイ、会話、クリック、レビュー書き込みなど、あらゆるチャネルのシグナルを統合。全体像を把握できるインテリジェントなシステムにつなげられるとのこと。このほか、世界最大級のエクスペリエンスデータを学習したクアルトリクスAIが重要な意味を抽出し、傾向を読み取り、本当に必要なことを文脈ごと理解するとしている。

 また、AIが導き出すインサイトとアクションの提案により、プロダクト開発チームから人事まで、すべてのチームが「どこに何を注力すべきか」、「どう改善すべきか」を明確に把握し、次に何をすべきかを提案する。

 このほか、問題を自動で解決し、フィードバックループを完結するため、フロントの現場チームも、手順や手戻りなしで即座にアクションの実行することが可能。即時対応でも大規模対応でも、スマートにアクションを実行するとした。

 「生成AIを活用し、本当にシームレスに体験を提供できるソリューションとなる。全く新たなものではなく、すでに我々の製品を使っていただいている上に、そういった機能を搭載する。今まではデータを見て何をしようと考えていたものを、AIの力でどういうアクションを起こせばよいのかといったところまでをサポートしていくものとなっている」(熊代カントリーマネージャー)。

 なお今後は、AIによってXMにおけるアクションが変化するなど、大きな変化が起こるとも説明している。

販売パートナーのNTTデータが市場変化が起こっている中でのCX向上について紹介

 また今回の説明会には、自社でクアルトリクス製品を利用しエクスペリエンス改善に取り組み、販売パートナーとして販売を担当するNTTデータのテクノロジーコンサルティング事業本部テクノロジーコンサルティング事業部・統括部長の小林大介氏が登壇。同社が取り組む、デジタルシフト拡大など市場変化が起こっている中での顧客体験価値(CX)向上について紹介した。

 インターネットやスマートフォンの普及、オンラインでの購買拡大などデジタルシフトが加速する中、「各企業がデジタルのテクノロジーを使いこなし、リアルな場、デジタルのチャネルを横断してお客さまの期待に応えていく、超えていくことが重要になっていく。企業はそういった顧客体験を提供することが、継続的に選ばれる企業なる不可欠な条件になってくると考えている。単純にデジタルのチャネルだけを評価するのではなく、リアルな場での体験とデジタルでの体験の両方を統合的にとらえていくことがり重要になってくる」と小林統括部長は指摘した。

顧客体験価値(CX)が競争優位の源泉に

 その中でNTTデータについて、デザイン、データ&インテリジェンス、カスタマーエンゲージメントの3分野に強みを持ち、さらにユーザーを支援するためにCXイノベーション実現を進めていくと説明した。

NTTデータの強み

 「CXイノベーションを実現するために、顧客接点の変革やそれらを実行していくためのデータ活用に基づいた顧客理解の進化などを有機的に組み合わせ、我々のお客さまを支援している。その実現に向け、CXイノベーションを起こすためのサービスとして、サービスデザイン、顧客タッチポイント変革、AI、データドリブンでのオペレーション、それらを支えるデータ活用基盤の4つの領域のサービスを組み合わせ、お客さまをご支援している」(小林統括部長)。

デジタルサクセス CXイノベーションサービス

 さらに、クアルトリクスとの協業によって、顧客の声や評価といった顧客体験データの収集・分析を起点に、戦略や業務・評価体系を改善していくことを進める。顧客体験の継続的向上(顧客の成功)と持続的な企業の成功となるビジネス拡大を図る。

 NTTデータ自身も従来のリレーショナル調査に加え、プロセス単位での調査を加えたCXマネジメントを実践することで、顧客理解の深化と事業パートナーとしての価値提供を自律的に実施する取り組みを一部範囲で実施しているという。

NTTデータ内部での取り組み