ニュース

PBC、Dynamics 365の簡易導入サービス「Quick Start Service」を発表

中小企業のCRM・ERP導入を支援しDX構築を加速

 株式会社パシフィックビジネスコンサルティング(以下、PBC)は10日、マイクロソフトが提供するオールインワン・クラウドビジネスアプリケーション「Microsoft Dynamics 365」(以下、Dynamics 365)の簡易導入サービス「Quick Start Service」(QSS)を販売開始すると発表した。同日には、新サービスの概要や販売戦略、およびDynamics 365の最新アップデートについて説明会が行われた。

 「Quick Start Service」は、PBCのDynamics 365(CRM/ERP)の導入経験、PBC社内の基幹システムDynamics 365(CRM/ERP)・Power Platformの利活用をベースに、中小企業向けに特化して開発された導入パッケージサービス。短期間・低コストの導入を支援することで、中小企業のCRM・ERP導入のハードルを下げ、DX環境の構築を加速する。

 PBC 取締役/事業戦略部の吉島良平氏は、「当社は、国内外においてDynamics 365を約430サイトに導入してきた実績を持っており、30カ国以上のMicrosoft Dynamicsプロジェクトを経験している。また、当社自身の基幹システムにもDynamics 365(CRM/ERP)とPower Platformがフル活用されている。今回、こうした中で蓄積したノウハウやナレッジを生かし、『Quick Start Service』を提供する」としている。

パシフィックビジネスコンサルティング 取締役/事業戦略部の吉島良平氏

 「Quick Start Service」を開発した背景について吉島氏は、「平時におけるビジネス革新に加え、コロナ禍など有事における事業継続を実現するために、DX基盤の重要性がさらに高まっている。しかし、中小企業は、DX基盤構築に向けて、ヒト・カネ・モノのリソースが圧倒的に不足しており、その中で『顧客とのつながりの維持』『適応性のあるオペレーションの実行』『プロセスの迅速な適応と自動化』をどう実現していくのかが大きな課題となっている。これらの課題解決に有効なソリューションがDynamics 365(CRM/ERP)であり、その導入を支援するべく『Quick Start Service』を開発した。同サービスでは、中小企業のリソースの状況を考慮し、CRMとERPを段階的に導入・拡張することで、戦略的にDXの礎を構築する。また、Microsoft 365やMicrosoft Teamsをあわせて活用することで、データや組織のサイロ化を防ぎ、最適なテレワーク環境を実現する」と述べた。

「Quick Start Service」のサービス概要

 具体的には、まず、1次プロジェクトとして「営業」「販売」「購買」「在庫」「会計」領域の導入を行い、マスタ作成、BPR(ビジネスプロセスエンジニアリング)、業務移行に時間がかかる機能(「製造」「修理/保守」「プロジェクト管理」「カスタマーサービス」)は2次プロジェクトで実施する段階的導入によって、中小企業のリソースを有効活用する。

「Quick Start Service」の段階的な機能拡張の一例

 またCRMとERPを連携利用することで、営業・営業事務・ロジスティクスのシームレスなオペレーションを実現し、ローコード製品であるPower Platform(Power BI、Power Apps、Power Automate)のトレーニング、Dynamics 365 Sales(CRM)、Dynamics 365 Business Central(ERP)とPower Platformを活用したHackathonへの参加を通じて、1年間をかけて、社員のIT人材化、システムの内製化、中小企業のDX化を促進していくという。

 「Quick Start Service」のリリースにあたり、日本マイクロソフト株式会社 ビジネスアプリケーション営業本部 担当部長の宮本浩史氏が、Dynamics 365の最新アップデートとして、「Collaborative Business Apps」、「Dynamics 365 Supply Chain Insights」、「Microsoft Customer Experience Platform」について説明した。

日本マイクロソフト ビジネスアプリケーション営業本部 担当部長の宮本浩史氏

 「Collaborative Business Apps」の特徴としては、「Microsoft Teamsのチャット機能をDynamics 365に統合し、ビジネスプロセスやデータの状況に応じた整理とコラボレーションを実現する。これにより、データを個人にため込むのではなく、会社の資産として有効活用できるようになる。特に、Context IQ機能では、コラボレーションの対象として最適な社内のステークホルダーや社外のコンタクトをレコメンドしてくれる。また、Dynamicsレコード上で活動しているステークホルダーを素早く特定し、ライブで共同編集を行うことも可能になる。このほかに、Teamsミーティングとの連携、Teamsダイヤラーの統合、Teamsメッセージ内でのCRMデータ共有、タイムリーな通知、Microsoft Searchでのビジネスデータ検索などの機能を提供する」(宮本氏)という。

 「Dynamics 365 Supply Chain Insights」は、サプライチェーンの可視性を高め、コラボレーションを改善し、AIを活用したインサイトを生み出して、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供する。主な機能として、サードパーティのデータプロバイダー、物流パートナー、顧客、多層サプライヤーから、ほぼリアルタイムでデータを連携し、統合。サプライチェーンのデジタルツインを作成し、AIを活用した実践的なインサイトを生み出すことで、可視性を向上。さらに、環境災害やサプライチェーンに影響を及ぼす可能性のある地政学的事象などの外部制約をともなうサプライチェーン信号を豊かにすることで、リスクを予測し、軽減する。

 「Microsoft Customer Experience Platform」は、企業が顧客データをコントロールし、顧客とのやり取りをパーソナライズ、自動化、オーケストレーションするためのマーケティングソリューション群。「Dynamics 365の中に蓄積されているビジネスデータはもとより、ソーシャルネットワークやウェブサイトなど、あらゆるデータソースから顧客データを組み合わせ、統合されたプロファイルを提供する。この顧客プロファイルをベースに、AIや予測などを活用して、マーケティングやビジネスにつなげていくことができる」(宮本氏)としている。

 「Quick Start Service」のラインアップとしては、CRM向けの「Quick Start Service for Sales Pro(QSS for Sales Pro)」と、ERP向けの「Quick Start Service for ERP Pro(QSS for ERP Pro)」の2つのサービスを用意している。

 「QSS for Sales Pro」は、Dynamics 365の営業支援モジュール「Dynamics 365 Sales」の標準機能をベースに、営業活動の可視化・案件共有機能にフォーカスした導入サービス。幅広い業種・業態のSFA領域に対応しており、ワークフローの合理化、販売サイクルの短縮、オールインワン セールス アプリによるリード、営業案件、取引先企業、販売注文への容易なアクセスで、商談をより短期間に成立させることができる。構築期間は最短1.5カ月で、価格は400万円(税別、以下同じ)から。

「QSS for Sales Pro」のコンセプト

 「QSS for ERP Pro」は、Dynamics 365の中小企業向けERPパッケージ「Dynamics 365 Business Central」の販売・購買・在庫・財務機能に特化し、最小限の設定と開発をテンプレート化した導入サービス。「Dynamics 365 Business Central」の基本モジュールを短期間で導入し、データの一元管理、テレワーク、レジリエンスへの対応ができるITインフラを実現する。構築期間は最短3か月で、税別価格は1000万円から。

「QSS for Sales ERP」のコンセプト

 このほかに、オプションとして、「CRM/ERP連携サービス」(300万円)、「Power Platformトレーニング」(150万円)、「Hackathon」(300万円)を提供する。