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Phase One JapanがERP「Microsoft Dynamics AX」を導入、デンマーク本社との連携を実現

 株式会社パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)は3日、Phase One Japan株式会社が、日本マイクロソフトのERPソリューション「Microsoft Dynamics AX」を導入し、デンマーク本社から日本へのスムーズな製造・物流拠点の移管を実現したと発表した。

 Phase One Japanは、デンマークに本社を置く視聴覚機械器具・光学器器具メーカーPhase One A/Sの日本法人。Phase Oneは、2015年11月にカメラメーカーのマミヤ・デジタル・イメージング株式会社(マミヤ)から光学事業を買収し、Phase One Japanの業務を開始したが、それを機に、Phase Oneグループ全体の最適化を図るため、製造ラインとサプライチェーン機能がデンマーク本社から日本へ移されることになったという。

 社内システムとしては、マミヤ時代から国産の会計ソフトや生産管理システム、Microsoft Access、Microsoft Officeを利用していたが、上記の理由からERPが不可欠であり、またデンマーク本社やイスラエル法人との連携を密にするため、本社が使用しているMicrosoft Dynamics AXの導入が、本社の方針として決定された。

 この導入にあたっては、本社から製造ラインとサプライチェーン機能を日本に移し、日本を物流の中心にすることが求められていたので、リソースの負荷と現場の混乱を避けるために、導入フェーズを2段階に分けて実施された。

 まず第1フェーズとして、2018年に会計モジュールの導入を実施した。これは、経理部からDynamics AXの利用を開始し、新システムに慣れておくことで、2019年に開始した第2フェーズのサプライチェーン、生産管理の導入がスムーズに行えることを期待してというが、Dynamics AXを先行導入し、その利用に慣れた経理ユーザーによる迅速なUAT(ユーザー受け入れテスト)支援は、実際に、第2フェーズの進行に大きく貢献した。

 そして、このような2段階の導入計画と、現場の緻密(ちみつ)な優先順位付けが功を奏し、2019年12月に予定していた本番稼働を、2カ月早い2019年10月に前倒ししている。

 なお第2フェーズの終了まで、経理部は一時的にDynamics AXと既存システムの二重入力が必要という懸念点もあったものの、もともと複数システムを使用していたことから抵抗はなかったとのこと。

 苦労した点としては、例えば、無償支給を考慮したマスタープランがないとラインにつながらないという課題や、複数に分かれた倉庫の移動オーダーの作成といった問題が挙げられたが、製造用と購買用にそれぞれの品目を作ることで解決した。

 また、本社が使用している2世代前のバージョンを導入したため、データのインポートに問題があり、若干の手作業が発生。加えて、本社とマスターに関する考え方に差異があるため、本社と都度調整しているとのことだ。

 なお日本の導入パートナーは、デンマーク本社を担当する現地パートナーがDynamics AXのグローバルコンソーシアムを通じてPBCにコンタクトしたとのことで、デンマークパートナーとの連携や本社とのコミュニケーションが必要なことから、外資系企業の導入に強みをもち、バイリンガル対応が可能なPBCが採用されている。