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NTT Com、「Smart Data Platform」でIoTを強化する新サービスを開始

オンライン記者説明会レポート

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は18日、IoT向けソリューションを強化する新サービスを発表した。容量が多くなりがちな上りデータを特価で利用できるプランの提供、パブリッククラウド接続・閉域網接続メニューを拡充など、「Smart Data Platform(SDPF)」のデータ収集機能を多様化する。同日には記者説明会がオンラインで開催されており、本稿ではその模様をレポートする。

 なお、ターゲット業種は特に設けず、幅広い業種に販売を進めていくが、「やはり製造業のお客さまの案件は多い。また、建設現場の熱中症対策のようなソリューション型案件の構築や、デバイスや特定ソリューションに知見を持ったパートナーとの連携によるソリューション構築も積極的に進めていきたい」(NTT Com PS本部データプラットフォームサービス部5G・IoTタスクフォース長の吉宮秀幸氏)方針だ。

NTT Com PS本部データプラットフォームサービス部5G・IoTタスクフォース長の吉宮秀幸氏

増大するIoTトラフィックに対応し、かつセキュアに接続可能にするメニューを拡充

 今回提供を開始するのは、1)「IoT Connect Mobile Type S」に「上り特価プラン」を追加、2)マルチクラウドに対応する「IoT Connect Gateway」の接続先拡大、3)「Things Cloud」を「Flexible InterConnect(FIC)」と接続――、の3点だ。

今回発表した3つのサービス

 1)の上り特価プランは10月20日から提供を開始するもので、上り中心の大容量データ通信を安価に利用できるプランとなる。同プランでは、上りが最小3GBから、最大500GBまで対応しており、利用者の用途に合わせ、料金プランを選択できる。コストを抑制しながら映像や画像などの大容量データの収集が可能となる。利用が増加している監視映像などに活用できる。

 「最近増加しているビデオによる監視など、上りでデータが増大している案件に対応するもの」で、100GB超の大容量にも対応でき、大規模な利用シーンを想定している。

IoT Connect Mobile Type S 上り特価プラン

 10月18日から提供を開始した2)では、NTT Comが提供するIoTプラットフォームサービスのThings Cloudをはじめ、Google Cloud Pub/Sub、Azure Event Hubs、AWS Lambdaなど、さまざまなパブリッククラウドへの接続が可能になる。パブリッククラウドへの接続時に必要となる認証情報等をネットワーク側で一括して設定/管理できるため、多拠点に分散する大量デバイスで構成されるIoTシステムでも、簡単かつ柔軟に構築・運用を行えるという。

 「接続するパブリッククラウドが求める作法にIoTデバイス側で対応すると、高機能なデバイスが必要になってくるが、それを回避するために、ネットワーク側で認証情報などを設定し、管理するソリューションとなっている」(吉宮氏)。

IoT Connect Gateway 接続先拡充

 同じく10月18日から提供を始めた3)では、Things CloudをFICと接続することで、IoT Connect Mobile Type Sおよび閉域網などのネットワークサービスと、セキュアな接続が可能となる。これにより、FICと接続するさまざまなXaaSと連携できるようになるとした。

 また、Things Cloudで収集したデータを、SDPFのストレージサービスや各種クラウドへデータ蓄積し、AIアプリケーションを活用することで、柔軟なデータ連携、データ加工、見える化、分析を行えるようになるという。

 「シビアな接続が必要といったお客さまから要望が多かった機能で、FIC経由での接続によって要望を実現している」(吉宮氏)。

Things Cloud FIC接続

 想定する利用シーンの1つは、国内に10拠点以上の工場を持つ製造業。セキュリティ、コスト意識が高く、一定の技術スキルを持ち自身でカスタマイズも考えているが、「オンプレミス設備のメンテナンス稼働の負荷軽減のためクラウド化を検討し、コストとセキュリティの最適な構成を模索している」、「必要機能がパッケージングされシンプル、カスタマイズ可能なIoTプラットフォームを活用。技術変化に柔軟に対応することで、ベンダーロックイン回避を考えている」といったケースだ。

 もう1つのケースは、自社機器のIoT化を検討しているデバイスメーカー。チャレンジングでスピーディに市場に出せるソリューションの検討、サービス価値向上の検討に注力したいと考えており、「安価なデバイスを利用したサービスを検討しているが、セキュリティ対策するには相応の性能を持ったデバイスを選定する必要があり、デバイスの選定、コスト面で割高になり苦慮している」、「マルチクラウド利用時に必要となるセキュリティ認証設定や設計運用が大変で、簡単にしたいとも考えている」、「防犯カメラ、ドラレコ等の映像系データを活用したソリューションを検討しているが、コスト増も懸念している」といったケースに適しているとした。

想定する利用シーン

 なお、IoT導入と活用においては、センサーで取得するデータと外部データを生かした統合的な監視を行う第1段階から、第2段階としてIoT接続対象の製品/クラウドに搭載するソフトウェアによる制御、第3段階としてアルゴリズムによる製品の稼働と使用の最適化、第4段階として監視/制御/最適化を組み合わせた製品の自動運転/自立運転まで、4つの段階が存在する。

 そして、大きな費用対効果が見込める第4段階の最適化/自律化を見据えて、まずはデータの可視化・蓄積(第1段階の遠隔監視)から段階的に始める必要があるが、その際の大きな課題として指摘されるのがIT人材不足だ。

 吉宮氏は、「IoT担当者が抱える課題としてトップに挙がるってくるのが、デジタルの知見やセキュリティに関する人材が不足しているという声だ。IoTは多岐に渡る知見が必要であることから、自社ではカバーしきれない領域があり、人材が足りないという声が上がる要因となっている」と指摘。

 「そこで、自社ですべての人材を用意するのではなく、経験豊富な外部パートナーとの連携が必要となってくる。われわれはIoTに関するサービスをフルスタックで提供し、さらに知見を持ったスタッフをそろえることでお客さまを適切にサポートしていく」とした。

 同社では、収集・蓄積・管理・分析・自動化という5つのサイクルによってデータ活用を進めるSDPFを提供しており、今回の新サービスもSDPFから提供していく。「当社はセンサーからネットワーク、アプリケーション開発まで一気通貫で行える。IoTに必要な構成要素をトータルで提供できることが大きな強みだ」(吉宮氏)。

IoT導入/活用段階
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