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ヴィーム、200以上の機能拡張を実施したバックアップソフト新版「Veeam Backup & Replication v11」
2021年の事業方針も説明
2021年2月26日 06:00
ヴィーム・ソフトウェア株式会社(以下、ヴィーム)は25日、2021年の事業方針と、主力製品であるバックアップソフトウェアの新版「Veeam Backup & Replication v11」を発表した。
執行役員社長の古館正清氏は、「2020年はクラウドにフォーカスしたことで、Backup市場で高い支持を得ることができた。2021年は2020年に実施してきたことをぶれずに、引き続き実施していく。それに加え、SMBマーケットを積極的に攻めるために、4月からパートナーセンターを立ち上げ、サポート体制を強化する。昨年の広域サポート強化を狙い名古屋に拠点を開設したが、引き続き広域サポート体制を拡充し、人員強化も進める。次世代データ保護のリーダーとしてクラウドネイティブやコンテナなど最新技術対応を実践していく」と2021年の方針を説明した。
200以上の機能拡張を行った新バージョン
新製品Veeam Backup & Replication v11は、200以上の機能拡張を行い、ストレージスナップショット、バックアップ、レプリケーション、継続的データ保護(CDP)をひとつのプラットフォームとして提供。マルチクラウド環境の煩雑さに対応しながら、データライフサイクル全体の保護を可能にする。
新製品の強化されたポイントを同社では次のように説明している。
「企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む中、5つの課題が明らかになった。ダウンタイムやデータ消失への対応、ランサムウェアからバックアップデータ保護、コンプライアンスや保持の目標に対応、ストレージや人員に制限がある中での復旧、自宅にある企業データ保護という5つだ。新製品は、この課題解決に、コストを抑えながら対応した。特にランサムウェア対策は昨年から問い合わせが増えているため、きちんと対応している」(ヴィーム システムエンジニアリング本部本部長の吉田慎次氏)。
新版の最大の特徴といえるのが、CDP機能を内蔵することで実現した継続的なデータ保護。長期保管するアーカイブ、15分のRPO(Recovery Point Objective:目標復旧時点)であるバックアップ、5分から10分のRPOであるスナップショットベースのレプリケーション、秒単位のRPOであるCDPベースのレプリケーションの3つから復元ポイントを選択でき、最適な目標復旧時点(RPOs)により、最新の状態または指定時点への即時復元を実現しているという。
「v10までは1日に1回のレプリケーションだったが、もう少し短いタームで実施するようになったことで、最新状態へ復旧することが可能になった」(ヴィーム ソリューション・アーキテクトの高橋正裕氏)。
そのほかの大きな機能強化点としては、強化されたLinuxリポジトリが挙げられる。「従来、Linux利用の理由は、コストを抑えたい、GUIがない分速くなることへの期待、といった点だった。v11の機能強化では、新たに(書き換え不能な)Linuxリポジトリによって課題解決を行えるようにした」(高橋氏)。
サイバー脅威のリスクが高まっていることから、マルウェアがプライマリーストレージに集中していることに注目し、Linuxリポジトリを強化して堅牢な復元力を実現した。書き換え不能なバックアップにより、マルウェア対策として万全なストレージリポジトリをバックアップとして利用。悪意ある暗号化や削除からデータを保護するという。
また、「以前から多かった、もう少し安くアーカイブを実現したいという声に対応するために、クラウドのコールドストレージを使用してコストを最大で20分の1まで削減することに成功」(高橋氏)したことも、新バージョンの特徴のひとつ。クラウド利用で長期アーカイブコストを抑え、バックアップのライフサイクル管理の複雑さを軽減する。
極めて低い目標復旧時間(RTO)を実現するために、インスタントリカバリを拡張したことも新バージョンの特徴となっている。「インスタントVMリカバリは、Veeamの大きな強みだが、今回はそれを強化するためにいやというほどの機能拡充を行っている」(高橋氏)。Microsoft SQL、Oracle、NASバックアップのインスタントリカバリ機能では、サイズに関係なく、障害が発生した場合も瞬時に本番環境に復元する。新しいディザスタリカバリの柔軟性で、どんなVeeamバックアップもMicrosoft Hyper-Vに即座に復元することなどを実現する。
サービスプロバイダ向け機能も強化され、エンドポイントのリモート管理として、予算や人員制限がある中でVeeam Service Provider Console v5とのインテグレーションにより、リモート業務とクラウド利用への迅速な以降を支援する機能を拡充した。
こうした機能以外にも監視と分析機能、ディザスタリカバリオーケストレーション、Microsoft Hyper-Vへのインスタントリカバリ、AWS/Azureのバックアップと復元、Google Cloud Platform(GCP)のサポート追加など、大幅な機能拡充を実現している。
なおオンライン説明会では、古館氏が、自社ユーザーから上がって来る声を分析した、日本企業のクラウド・データ・マネジメントの実態についても紹介した。
「20社のユーザーの声を分析した日本法人独自のサマリーだが、クラウドへの対応状況に関して積極的に取り組んでいるところと、ほとんど取り組んでいないところと大きな乖離(かいり)が見られた。例えばマルチクラウド化にいち早く取り組んだ企業は、クラウドモビリティに関して高いスコアとなった一方、依然としてオンプレミス中心で取り組みが遅い企業はスコアが低い。また、ガバナンスとコンプライアンスに関しては、多くの企業で取り組みが遅れている。オンプレミスでは実現していたDR対応は、マルチクラウドではできているところが少ない」。
特にランサムウェアへの対策として、バックアップデータへの攻撃も増えていることから、新製品の機能などを利用して対策するよう呼びかけていく方針だ。