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ヴィーム、マルチクラウド対応を強化した新製品でシェア拡大に意欲
「クラウドデータバックアップでNo.1を目指す」
2019年1月30日 06:00
ヴィーム・ソフトウェア株式会社は29日、マルチクラウド時代に最適化したデータマネジメント製品「Veeam Availability Suite 9.5 Update 4」を発表した。
執行役員社長の古館正清氏は、「当社は仮想化バックアップに強みを持ってビジネスを行ってきたが、今回の新製品は次世代のクラウドデータマネジメントに対応する製品。当社はクラウドデータバックアップでナンバー1となることを目指す。すでに欧州ではデータバックアップ分野でナンバー1企業となっており、2年後にはワールドワイドでもナンバー1を獲得できる見込み。法人設立が遅れた日本でも着実にシェアが拡大している」と語り、クラウドデータバックアップを強みにシェア拡大を進めるとした。
マルチクラウド利用時に適した機能とライセンスを提供
企業でクラウド活用は“当たり前”という流れになっているが、「管理の仕組みを標準化し、クラウドのデータマネジメントをきちんと考えている企業はまだ少ない。こうした話をお客さまにすると、データの棚卸しからする必要があるということになるケースが多い」(古館氏)と説明する。
新製品は、マルチクラウドを利用する際に適した機能とライセンスを提供。クラウド活用を進める企業のデータバックアップとしてアピールしていく。
古館氏は、クラウド利用が進む中での、企業のデータバックアップに対する課題として、システム単位のサイロな管理により、ばらばらのツールを活用するレガシーバックアップ、クラウド内データが増加する中、管理の仕組みが標準化されていない、マルチクラウドにおけるセキュリティコンプライアンス――、といった点を挙げる。
「マルチクラウドが当たり前となってきている中で、データを自由に移動できる環境が整っていますか?というお話をすると、そこまで対応できている企業が少ないのが現状ではないか」(古館氏)。
そこでヴィーム・ソフトウェアでは、次の3つにフォーカスし、製品の機能強化を実施。クラウドデータ管理の分野での顧客拡大を目指す。
1)オブジェクトストレージをネイティブに統合して古いデータを保存しながら、クラウドデータの保持を実現
2)オンプレミスとクラウドのワークロードを自由に移動可能とするクラウドモビリティの実現
3)保存したデータ内にマルウェアが含まれていることなどを防ぐセキュリティ対応と、GDPRなども含めたコンプライアンス対応
機能とともにライセンスもクラウドポータビリティに対応し、マルチクラウド環境を利用する場合でも、いちいち契約を変更する必要がない新しいライセンス体系を導入する。
新製品の具体的な機能としては、「クラウドでバックアップをとっていく際に必要となる、現実的な手段を提供している」(ヴィーム・ソフトウェア ソリューション・アーキテクトの高橋正裕氏)という。
「Veeam Availability Suite 9.5 Update 4」に含まれるVeeam Cloud Tierでは、長期的なデータ保持を行う際のオブジェクトストレージをネイティブに統合。スケーラブルで低コストのデータストレージソリューションを実現する。
データポータビリティ製品のVeeam Cloud Mobilityでは、従来のMicrosoft Azureに加え、Azure Stack、Amazon Web Services(AWS)への容易な移行と復旧を実現。各クラウドの間をシームレスに移動することを可能とする。
テスト・検証のための機能などを提供するVeeam DataLabsでは、隔離されたテスト用の仮想サンドボックスを以前から提供してきたが、新たに機密データの確認や個人情報の削除、GDPRを含むコンプライアンス対応に要する時間短縮を実現した。また、ウイルス対策ソフトウェアのインターフェイスを使用することで、バックアップデータをスキャンし、本番環境にウイルスやマルウェアが侵入することを防げるという。
環境の問題を検出するVeeam Intelligent Diagnosticsでは、ダウンタイムと生産性の損失を最小化するなど、アベイラビリティを大幅に縮小する自動化機能を搭載。障害が起こる前に察知・対応することで、復旧やサポートコールにかかる時間を短縮する。
Veeam Availability for AWSは、グループ会社N2WSによる、AWSワークロードに対するクラウドネイティブのバックアップリカバリと、Veeamのセントラルリポジトリのバックアップデータを統合する機能を提供する。
Veeam Availability Console v3は、クラウドサービス事業者やマネージドサービス事業者向けのもの。どのライセンスがどの程度利用されているのかなど、使用状況レポートを集約し、スケールアウトで大規模な管理に対応している。