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DXの課題を克服するにはクラウド時代のデータ保護ソリューションが必要――、ヴィーム・古館社長
2020年6月19日 11:59
Veeam Softwareは6月17~18日(米国時間)の2日間、プライベートイベント「VeeamON 2020」をオンラインで開催した。これまでリアルイベントとして実施してきたカンファレンスだが、オンライン開催となった今年は、148カ国、2万5000人と過去最高の参加者があったという。
基調講演で、CEO(最高経営責任者)のビル・ラージェント氏は「この12年間で当社は大きく成長し、特に2019年度は受注額が10億ドルを超え、大きな飛躍の年となった」と、企業としての成長を強くアピールした。
さらに、「当初は『仮想化環境のデータバックアップリーダー』を掲げてきたが、2018年からは『クラウドデータ管理におけるリーダー』を標榜している。今後、さらにこの分野のソリューションを強化していく」とクラウドのデータ管理分野に注力していくことを明言した。
日本法人のヴィーム・ソフトウェアも18日(日本時間)に記者会見を開催し、イベントで公開された内容の要旨を紹介した。日本法人の執行役員社長である古館正清氏は、アンケート調査の結果から、日本企業のデータバックアップを巡る現状を紹介し、「日本企業はデータをクラウドに持って行こうにもデータ環境が整備されていない」と指摘。「DXを進めるためにサイロ化されたデータをシンプルに、管理も保護も容易とするものへと変わる必要がある」と呼びかけた。
クラウドの利用方法の変化に合わせてデータ管理も変えていくべき
Veeam Softwareの自社イベントは、当初は米国ラスベガスで開催予定だったが、Covid-19の影響でオンラインイベントに切り替えられ、6月18日・19日に開催された。記者会見では、その概況について日本法人の古館社長が紹介した。
グローバルにおける2019年の受注額は10億600万ドルで、日本円では約1140億円となった。「調査会社のIDCが発表した、2019年下半期の成長率上位5社の1社となり、全体マーケット平均の中で連続成長率、前年比成長率の両方で最も高い売上高成長率となった」と古館社長はアピールした。
この要因には、2018年から進めているクラウド分野でのデータ管理にフォーカスした点が挙げられる。古館社長は、「クラウド時代となり、データ管理もハイブリッド、マルチクラウドなどへの対応が必要となっている」と説明。データ管理についても、クラウドの利用方法の変化に合わせて変化が必要となっているとした。
しかし「日本のユーザーも含めて、グローバルで実施した1500人のアンケート調査によれば、日本のユーザーには大きな課題があることが明らかになった」という。
今日の本番データバックアップ方法という調査では、日本のユーザーの22%が「バックアップをしていない」と返答している。
「ざっくり日本のユーザーの4分の1がデータバックアップはしていないという結果となった。ただ話を聞いてみると、全くデータ保護を行っていないわけではない。ストレージに付属しているスナップショット機能を使ってバックアップを行っているという。この方法は低コストで実現できるものだが、リストアは難しい。さらに私は、DXを実現するのも難しくなる方法だと思っている」と古館社長は指摘する。
データ保護がDXに必要だというのは、「データをクラウドに移行する際に、データをスナップショットにて保護しているのみでは、移行が実現できない。コスト優先で、データを再活用できるよう保護するという視点がないのは日本の問題」という。
また、依然としてオンプレミスが多いことも日本の特徴の1つ。「2020年はデータバックアップを考え直す時期とするべきではないか」(古館社長)とした。
2020年にバックアップを変える理由としては、「バックアップの信頼性向上のため」が最も多い39%となった。「これはバックアップをとっていたものの、復元ができなかったため、復元の成功率を上げるために見直しをはかるという声のようだ。これは日本のユーザーだけの課題ではなく、グローバルでも課題となっていること。復元できないことを防ぐ対策としては、復元が行えるかをきちんと検証し、復元が行えるものを選択すべき」(古館社長)とする。
バックアップを行う際、アプライアンス製品を利用するケースもあるが、「追加の際にコストがかかるために、追加を検討した際に問題となることが多いようだ」という。データは導入後増加傾向にあることから、追加まで視野に入れて検討する必要があるというわけだ。
さらに古館社長は、データバックアップに対しては、運用についても考慮する必要があると話す。「例えばサブシステム単位のデータバックアップは運用が複雑になりがち。運用が複雑になるとデータ管理も難しくなる。入れ替えの際には運用がしやすいものなのか、否かを考慮する方が良い」
アンケート調査では、自社でDXを行う際の妨げ要因は何かについても調査している。予算不足、時間不足という回答がそれぞれ3割前後となっているが、それを上回って4割を超えたのが、「ITスタッフのスキルまたはDXに関する専門知識不足」と、「レガシーのシステムおよび技術への依存」という回答となった。
古館社長は、「DX実現の課題を克服するために、レガシーシステムのデータ保護からの解放、インテリジェントな自動システム活用によるリスク軽減とITコスト削減などを実現する、クラウド時代のデータ保護ソリューションが必要となる。2020年の現状に合わせたデータ保護管理ソリューションを提供していく」と新しいソリューション提供で、データ保護に関する問題の脱却とDX実現をサポートすると訴えた。