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Veeamが2024年の事業戦略を発表、成長に向けたポイントは「BaaS」と「Kubernetes」
2024年2月9日 06:00
ヴィーム・ソフトウェア株式会社は8日、2024年の事業戦略説明会を開催した。ソリューションとしては、Microsoft 365やSalesforceなど、SaaSアプリケーションを利用する企業が増加していることから、BaaS(Backup as a Service)ビジネスの拡大を進める。また、ユーザーのモダンアプリケーションへの移行に伴い、Kubernetesソリューションを拡大する考えで、Kubernetesのバックアップソリューションである「Kasten」に注力し、レッドハットとの協業を拡大する意向を示した。
加えて、エンタープライズユーザーだけでなく、中堅・中小企業へのユーザー層拡大を狙い、OEMサポートビジネスを拡大。日本向けサポート強化とマーケットカバレッジの拡大も図る。さらには、チャネルパートナービジネスも拡大し、リセールパートナーと地域カバレッジ拡大を進めるとした。
執行役員社長の古舘正清氏は、「ワールドワイドでは、老舗のバックアップソリューションズベンダーを抜きトップシェアとなった。日本ではナンバー1獲得はできていないが、6年連続でグローバル平均を大きく超える成長を続け、日本でもトップシェア獲得を狙えるところまで来た」と述べ、日本での好調なビジネスをさらに加速すると説明している。
古舘氏は2024年の事業方針のベースとなった、ユーザーがバックアップソリューションに求めるものの変化について、昨年実施したプライベートイベントに登壇した複数の企業が挙げた共通点を紹介した。
「どの企業もDXをどんどん進めなければならないと考えているが、その際にITインフラがボトルネックになっては困ると指摘している。その結果、データ保護はクラウドを使った標準的なシステムへと変えていく企業が増え、Veeamのバックアップソリューションを採用していただくことが増えている」。
さらにデータ保護を巡るトレンドとして、次の4つを挙げる。
1)ランサムウェア対策におけるバックアップ見直し
2)クラウドシフトに伴うバックアップ見直し
3)SaaSバックアップの拡大
4)VMware買収によるアプリケーションモダナイゼーションの加速
「ランサムウェアに関しては、感染は避けられない事態となっていると考え、いかに感染後に復旧するか、自動復元、復旧リハーサルの実施などを考える時期となっている。クラウドシフトに伴うバックアップ見直しは、マルチクラウドでのデータ保護を考えるようになっている。SaaSバックアップ、アプリケーションモダナイゼーションは日本は遅れているといわれてきたが、浸透してきている」(古舘氏)とした。
特に、アプリケーションモダナイゼーションは、「クラウドシフト、VMware買収によって、ほかのハイパーバイザーを検討する企業が出てきていること、アプリケーションモダナイゼーションに取り組む動きが出てきていることなど、さまざまな変化がユーザーおよびパートナー企業の中で起こっている。日本はコンテナの利用率が低く、仮想化でなんとかしのいでいたものの、本格的な見直しが必要な時期に来ている」(古舘氏)と、変化が必要な時期と指摘する。
それをふまえ、同社では、エンタープライズ向けKubernetesとして、「Red Hat OpenShift」を提供しているレッドハットとの協業を強化していく。
レッドハットのパートナーエコシステム事業本部 常務執行役員の三木雄平氏は、「レッドハットというとOSの会社と考えている人も多いが、現在のビジネス戦略はオープンハイブリッドクラウド。お客さまが環境やシステムに依存することなく、同じ技術要素でアプリケーションの実行・開発・運用を行うことを支援する。Red Hat OpenShiftは、オープンソースで開発されたKubernetesであるOpenShiftを企業にとって使いやすくして提供している」と説明する。
そして、今回のVeeamとの協業については、「OpenShiftをさらに多くのお客さまに使っていただくために、サービス価値を高めることにつながるのがVeeamのKubernetesバックアップソリューションであるKastenとセットで利用すること。Day2オペレーション向上のベストプラクティスだと言える」(三木氏)とし、セットでの利用のメリットをアピールした。
最新の製品アップデートを紹介
このほか、最新の製品アップデートとして、「Veeam Data Platform 23H2 Update」、「BaaS Cirrus by Veeam」、コンテナバックアップ「Kasten K10」の最新機能を紹介した。
ヴィーム・ソフトウェアのソリューション アーキテクトの高橋正裕氏は、「機能強化によって、Veeamが提供するソリューションは、バックアップにとどまらず、セキュリティ製品とアピールできる」と強調した。
Veeam Data Platform 23H2 Updateは、ランサムウェア被害が増加する中、バックアップを最後の防衛線と考えるのではなく、最善の防衛線として機能させるための強化を行った。そのために、脅威の早期検出を行うサイバー脅威の検知と特定機能、ランサムウェアから迅速に復旧できるように、再感染を防止し、クリーンな環境への復元の自動化を行う。さらに、セキュリティに各種規制に対応した保護を行うことで、コンプライアンスを徹底してデータを守るとした。
Cirrusは、SaaSアプリケーションのデータを保護するための製品群で、その中のCirrus for Microsoft 365は、Microsoft 365向けのバックアップサービスだ。「SaaSデータのバックアップの必要性がようやく理解されてきた。その際、データバックアップのために、新たにオンプレミスのサーバーを用意するのではなく、クラウドサービスのバックアップ環境を利用するのが適している」(高橋氏)。
同サービスは、シンプルな操作でバックアップすることが可能で、セキュリティの確保、利用価格を予想可能なものとするなどの配慮を行っている。今回、日本のユーザー向けに日本語ローカライズ済みのWeb UIを用意し、日本のユーザーにとっても使いやすいものとなった。
3つ目のKasten K10は、Kubernetesのデータ保護を行う製品。開発体制がDevOpsで行われているために、2週間に1回は製品アップデートが行われるなど、新たな機能が速いスピードで付加され続けている。今回は、コマンドラインだけでなくUIからのDay2運用が可能となった。