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日本テラデータ、2021年度の国内事業戦略を発表 データを企業の最大資産とするための機能拡張や支援策を実施

 日本テラデータ株式会社は16日、2021年度の事業戦略説明会をオンラインで開催した。説明会では、2020年度のビジネス総括および、2021年度における国内での重点施策として、クラウドデータ分析プラットフォーム「Teradata Vantage」の機能強化やカスタマーサクセス部門の設立、CxO向けのデータ活用推進支援、パートナーとの連携強化などについて発表した。

 日本テラデータ 代表取締役社長の高橋倫二氏は、まずグローバルのビジネス概況について、「現在、企業のデータはクラウドへ急速にシフトしており、その動きはさらに加速していくとみている。テラデータでは、こうしたニーズにマッチした企業向けデータウェアハウス(DWH)を提供し、『2020 Gartner Magic Quadrant for Cloud DBMS』ではリーダーを獲得した。2020年度のグローバルの業績は、年間経常収益(ARR)が前年同期から11%増加。特に、パブリッククラウドのARRが1億600万ドルまで増加している。また、第4四半期の経常収益は予測を上回る3億8300万ドルに達し、日本を含むアジア地域がこの成長に大きく貢献した」と説明した。

日本テラデータ 代表取締役社長の高橋倫二氏

 日本市場のビジネスについては、「引き続き好調に推移しており、前年度に続き、2020年度の業績も二けた成長を達成した。ポストコロナ時代を見据え、データ分析をデジタルトランスフォーメーション(DX)やビジネス推進の重要課題として取り組む企業のニーズに対応し、既存顧客のマイグレーションや新規顧客の投資を獲得した。また、金融、EC・流通サービス、製造、運輸、通信など、幅広い業種でクラウドデータ分析の案件を受注。クラウド関連の売り上げは、グローバル同様に前年度から倍増した。2021年度も倍増を目指す」(高橋氏)としている。

 一方で、日本におけるデータ活用の課題として、「日本ではまだ、データ分析の重要性を認識していない企業が多く、データ活用を推進するリーダーを担うChief Data Officer(CDO)を配置している企業も少ないのが実情だ。そのため、データ活用プロジェクトが進まず、PoCや部門導入にとどまってしまうケースが見受けられる」と指摘。「2021年度は、これらの課題を解決し、データを最大の企業資産として活用できるよう顧客を支援していく」(高橋氏)と、2021年度の国内事業戦略の方針を示した。

 2021年度の重点施策としては、「Teradata Vantage最新製品のタイムリーな市場投入」、「既存顧客の活用促進を支援するカスタマーサクセス部門の設立」、「新規顧客の導入を支援するトライアルの提供」、「CxO向けデータ活用推進支援」、「パートナーとの連携強化」の5つを挙げた。

 具体的には、「Teradata Vantage最新製品のタイムリーな市場投入」では、企業に必要なさまざまなワークロード要件を満たした最新製品を、最も高いコストパフォーマンスで提供していく。今年1月には、最新バージョンとして「Teradata Vantage 2.2」をリリースしている。

「Teradata Vantage 2.2」の新機能

 日本テラデータ テクノロジーセールス事業部 事業部長の小永井崇氏は、「Teradata Vantage 2.2は、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudの3大クラウドプラットフォームおよびさまざまなオンプレミス環境のデータに対応し、すべてのマーケットプレイスで提供を開始した。新機能としては、Native Object Store機能の強化により、パブリッククラウドとオンプレミスのすべてのデプロイ環境で、よりシームレスなオブジェクト・ストレージへのアクセスを提供する。これによって、外部オブジェクトストレージを介して、ネイティブなマルチクラウド環境の統合が可能となった」と、最新バージョンの主な機能強化ポイントを紹介した。

日本テラデータ テクノロジーセールス事業部 事業部長の小永井崇氏

 また今回、「Teradata Vantage」のさらなる機能拡張の取り組みとして、「データサイエンス向けサポートの拡張」と「マルチクラウド機能の拡張」についても発表。「データサイエンス向けのサポート拡張では、高度なアナリティクスを実現するための関数群『Vantage Analytics Library』をリリースするとともに、R/Pythonサポートの拡張およびJupyterHubへの対応を行った。マルチクラウド機能の拡張では、Starburst Data社とのパートナーシップによりTeradata QueryGridの対応データソースを拡張した」(小永氏)としている。

「Vantage Analytics Library」の関数群

 このほかに、エコシステム全体のデータ資産とその使用状況を可視化する新サービス「Teradata DataDNA」も新たにリリースしている。同サービスでは、「Teradata Vantage」の強みを生かし、プラットフォームやテクノロジーの違いを超えて、エコシステム全体のデータ統合を実現。そのデータリネージや使用状況を分析可能とする新たなAs-a-Serviceオファリングを提供する。

 2つ目の重点施策としては、「カスタマーサクセス部門」の新設によって、既存顧客のデータ活用促進を支援していく。具体的には、「Step 1:ビジネス目標と現実のギャップを明確化」、「Step 2:目標達成への障害を特定」、「Step 3:目標達成へのロードマップ策定」、「Step 4:実装」、「Step 5:実運用の提案」の5つのステップで、顧客企業のデータ分析への戦略的投資を成功に導いていく。

 3つ目の重点施策「新規顧客の導入を支援するトライアルの提供」では、ビジネスアナリスト、データサイエンティスト、IT運用担当者を対象に、クラウド上に用意した「Teradata Vantageトライアル」の30日間無償アクセスを提供する。トライアル版では、クラウド上で有償提供する最新「Teradata Vantage」のサブスクリプションと同じ機能を提供し、Vantage Analyst、Editor、Console、Jupyterの各種分析アプリケーションを利用することができる。

「Teradata Vantageトライアル」の概要

 4つ目の重点施策「CxO向けデータ活用推進支援」では、CDOやCIOなど企業のデータ活用をリードする人を対象に、EBC Program「CDOラウンドテーブル」を開催する。同プログラムでは、CDOがデータ活用を推進する課題やその解決法について、5社前後の参加者によりディスカッションを行う。開催時期は、今年第2四半期に第1回、以降四半期に1回程度、Executive Briefing Center東京およびバーチャルでの開催を予定している。

 5つ目の重点施策「パートナーとの連携強化」については、システムインテグレータ、クラウドインテグレータなどのリセールパートナーおよびISVパートナーの新規開拓を図っていく。また、パートナーとの共同営業/共同マーケティングとして、Executive Briefing Centerでの共同セッションや「Vantageトライアル」の共同提供に取り組んでいく考え。