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ソラコムが大崎電気と連携、電気設備のスマート保安実現に向けた検証モデルを開発
2025年7月16日 06:00
株式会社ソラコムと大崎電気工業株式会社(以下、大崎電気)は15日、商業施設などにおける電気設備のスマート保安の実現に向け、検証モデルを開発したと発表した。
大崎電気は、インフラ設備の保安業務をデジタル技術によって効率化・高度化する、「スマート保安」の実現に向けたソリューションを検討する中で、これまでの実績を生かせるソラコムのIoT通信技術を採用し、検証モデルの開発に至ったと説明。大崎電気は今後、この検証モデルでの実証を進め、スマート保安ソリューションの製品化を目指すとしている。
テナントビルや商業施設には、受変電設備や配電盤などの電気設備が設置されており、それらの点検・保守は電気主任技術者の資格を持つ人が行う必要がある。また、ビルのオーナーや施設管理会社は、テナントごとの電力使用量に基づいて電気料金を請求しているが、現在でも検針担当者が各テナントを訪問し、目視で使用量を確認しているケースが少なくないという。一方で、熟練技術者や検針担当者の人手不足が深刻化しており、デジタル技術を活用して、これらの業務を効率化・省人化することが喫緊の課題となっている。
こうした課題を踏まえ、大崎電気は2023年に自動検針ソリューション「らくらく検針」を開発した。らくらく検針は、既設の電力量計を大崎電気のスマートメーターに交換するだけで、電力使用量を遠隔で自動的に計測でき、検針業務の省人化と精度向上を支援する。
らくらく検針では、ソラコムのIoT通信技術と、IoTシステムの安全かつ効率的な開発・運用を可能にするプラットフォーム「SORACOM」を活用している。SORACOMの活用によって、らくらく検針は短期間での製品化を実現しただけでなく、複数の通信回線に対応することで、全国で安定したサービス提供が可能となった。
らくらく検針に続き、大崎電気は設備保安業務の効率化・高度化に貢献する「スマート保安」の実現に向けたソリューションの開発に着手した。今回開発した検証モデルは、大崎電気のマルチデータ収集装置とソラコムのIoT基盤を組み合わせて構成されている。
マルチデータ収集装置は、複数のセンサーや計測機器と接続し、電気設備の状態に関するさまざまなデータを収集する。これらのデータを常時オンラインで監視することで、漏電のリスクや過電流などの異常の兆候を早期に検知でき、点検作業の省力化と事故の未然防止を両立する。
両社はさらに、設備の故障や異常の検出につながる検証も行う。この機能が実現すれば、適切な設備更新を通じて、効率的な運用と安定的な維持管理に貢献できるとしている。
大崎電気は今後、この検証モデルを用いた実証を進め、スマート保安ソリューションの製品化を目指す。将来的には、自動検針とスマート保安ソリューションを組み合わせることで、顧客の施設管理業務の統合的な運用が可能となり、現場訪問の削減や取得データの新たな活用が期待される。
さらに、電力の利用や管理に関わるさまざまな分野において、デジタル技術の活用を通じて、顧客の業務の効率化・高度化に貢献していく。ソラコムと大崎電気は、こうした取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けて引き続き協働していくとしている。