ニュース

UiPath、RPA知識のないエンドユーザーでも利用できるローコード開発サービス「UiPath Apps」

 UiPath株式会社は19日、RPA知識のないエンドユーザーでも利用できるローコード開発サービス「UiPath Apps」の提供を開始した。利用者が画面にボックスとドラッグ&ドロップで設置していくことで、簡単なユーザーインターフェイスを作ることができる、ローコード開発サービス。バックエンドではRPAが動いているものの、利用者はRPAを意識せず、自分の業務に必要なユーザーインターフェイスを作り上げることができる。

 同社のソリューション本部 エヴァンジェリストの鷹取宏氏は、「アプリケーション開発というよりも、自分の業務に必要な情報を集めたポータルサイトを作る感覚で、開発を行うことができる。必要な機能はRPAを担当する部署が開発してボックスとして提供し、現場担当者は必要な情報だけを集めたポータルサイトを作ればよい。代表的な利用例はコールセンターで、顧客情報を表示するポータルサイトを開発知識のない現場が構築できる。バックエンドで動くデータは、社内のさまざまなシステムからデータを持ってくることができる」と新サービスの特徴を説明している。

ソリューション本部 エヴァンジェリストの鷹取宏氏

 UiPathではUiPath Platformとして、従来のRPAになかった領域の機能を提供し、RPAにとどまらないユーザーのDX(デジタルトランスフォーメーション)実現を進めている。そのUiPath Platformには、RPAの基本機能である「開発」、「実行」に加え、RPAを必要とするユーザーの「発見」、RPAに関連した「管理」、RPAと人間の作業を「協働」といった新しい機能拡充を進めてきた。UiPath Appsはこのうち「協働」に含まれる新サービスで、従来のRPA利用者よりも幅広い層へ利用者を広げることを狙う。

UiPath Platformによる自動化の実現

自分に必要な情報を掲載したUIを現場の担当者が作り上げられる

 新サービスUiPath Appsは、現場の担当者が自分に必要な情報を掲載したユーザーインターフェイスを、ドラッグ&ドロップだけで作り上げることができる。ローコード開発といわれるジャンルの新サービスで、UiPath Platformの中では、人間の作業を自動化によって、より効率的に行うことを目指した機能を実現する。

 例えばコールセンターで利用する顧客情報を表示する際に、“お客さま番号”などの情報を入力すると、バックエンドではUiPathのワークフローが動き、データベースから顧客情報を表示するといった仕組みを作ることができる。バックエンドで動く仕組みは開発知識があるスタッフが構築し、現場の担当者は自分に必要な情報をドラッグ&ドロップだけで作り上げる、といった役割分担が可能になるという。

 しかも、ユーザーから住所変更の連絡があった場合などは、コールセンターが画面に表示された情報を書き換えていくと、バックエンドのデータベースを含めて情報を更新する、といったことも可能となる。

UiPath Appsの概要

 RPAは専門知識がない人でも開発を行えるといわれているが、開発に習熟するためには、やはり勉強が必要になる。特にコールセンターで使う情報は、社内の異なるデータベースに点在している顧客の個人情報、購買履歴、問い合わせ履歴といった異なる部署が持っているデータに横ぐしを指して表示する必要がある。そのため、異なるデータベースからのデータ抽出、そのデータの連係といった作業には、RPAの専門知識を持った人が開発をする方がスムーズだろう。

 また、コールセンターにかかわるスタッフは正社員ではないことも多いことから、新たにRPA開発について学習することは難しいケースもある。そこで開発と現場利用者を分離して、開発者が作ったものを選んで並べるだけで、必要な情報を画面に表示させる仕組みとした。

 バックエンドのデータは、SalesforceのようなCRM、SAPのERP、Oracleのようなデータベース、AS/400のようなレガシーシステムなどさまざまなデータを利用できる。クラウド、オンプレミス、レガシーであってもほとんどAPIなしで利用できる。

UiPath Appsの想定シナリオ

 また、異なるデータベースを表示させる場合、アクセスに時間がかかるため表示速度が遅くなることがある。そういった問題をカバーするために、「UiPath Data Service」を同時に提供する。

 このサービスでは、UiPathの一連の業務で利用するデータの一部をUiPath Platformに直接格納し、シームレスにつなげることで迅速にデータを表示することを可能にする、いわば、DWHのデータレイクの簡易版。迅速な業務処理を実現し、UiPathが提供するクラウドサービスのセキュリティ下でデータ管理を一元化できる。

 「Appsは、エンドユーザーが気がつかないうちに、バックエンドで自動化を実現し、DXを実現していくことができる。海外では金融業のコールセンター、社内サポート窓口などで利用されている。当社ではRPAをより使いやすくしていくとともに、RPAを学習してもらうことなくバックエンドの仕組みを自動化していく仕組みを提供。企業のDXを全方向で実現していくソリューションを提供していく。当社が標榜する、『ロボット for エブリパーソン』を実現するソリューションとなっている」(鷹取氏)。