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デル・テクノロジーズ、全製品をサービスとして提供する「Project APEX」を説明

DXへの取り組みに関するグローバルと日本の調査結果も発表

 デル・テクノロジーズ株式会社は19日、10月にオンラインで開催されたグローバルイベント「Dell Technologies World 2020」の発表内容と、日本での展開に関する説明会を開催した。またあわせて、デジタル変革の進捗に関するグローバル調査「Digital Transformation Index」の日本での状況についても説明された。

 Dell Technologies World 2020では、シンプルなIT体験を求めるユーザーの要望に応え、すべての製品とソリューションをサービス化して届ける「Project APEX」が発表された。このプロジェクトは、Dell Technologies 会長兼CEOのマイケル・デル氏自身が、基調講演の中で「すべての製品とソリューションをサービスとして提供する」と発表したもので、日本でも一部を2021年上半期からリリースする。

マイケル・デル氏自身が、Project APEXについて発表した

頂点を目指すプロジェクト“Project APEX”

 Dell Technologies米本社は、これまでリアルイベントとして開催していた「Dell Technologies World 2020」をオンラインイベントとして開催した。

 デル・テクノロジーズ 最高技術責任者(CTO)の黒田晴彦氏は、「基調講演では、次の3つのメッセージが重要なポイントとして言及された」と説明した。

デル・テクノロジーズ 最高技術責任者(CTO)の黒田晴彦氏

(1)マイケル・デル氏がテクノロジーの重要性が増したことに言及した上で、「テクノロジーと人類が協力して私たち皆に明るい未来の想像を」とアピール。
(2)すべての製品とソリューションをサービスとして提供する「Project APEX」
(3)今、6つの技術(Hybrid Cloud、Edge、5G、AI/ML、Data Management、Security)の活用が重要

基調講演で話された3つのメッセージ

 Project APEXは、頂点を意味する“APEX”をプロジェクト名に冠しており、「頂点を目指す意気込みでこのプロジェクト名となった」(デル・テクノロジーズ ストレージプラットフォームソリューション事業本部 システム本部ディレクターの森山輝彦氏)という。

 このプロジェクトが誕生した背景として、「シンプルさを追求したas a Serviceであり、Everything as a Serviceがキーワードとなる。ソリューションを選択すれば、数クリックですべてのIT活動へとナビゲートする。スケールアップだけでなく、スケールダウンを行うこともできる。支払いについても、利用者が一番利用しやすい形態を選択できる」(森山氏)としており、複雑化した製品・サービスを支払い含めシンプルに導入することを目指す。

デル・テクノロジーズ ストレージプラットフォームソリューション事業本部 システム本部ディレクターの森山輝彦氏

 その構成要素のひとつである「Dell Technologies Cloud Console」では、クラウド環境とas a Serviceを利用するために、統一されたシームレスな体験を提供する。現在は米国において、一部の企業が、数クリックでサービスを追加し、拡張可能となる「成長」、統合マーケットプレイスから容易に適切なサービスを検索できる「ディスカバー」、必要な時に必要なサービスを注文することが可能な「注文」といった機能を、パブリックプレビューで利用している。

 それ以外の「最適化」、「管理」、「デプロイ」は現在開発中だ。

Dell Technologies Cloud Console

 2つ目の「Flex on Demand」は、一般的なワークロード用の基本構成を事前構成したもので、サーバー、ストレージ、データ保護、コンバージドインフラをカバーする。1年から5年の期間で3つのキャパシティ・コミットメントがあり、コミットメントレベルが高いほど価格は下がる。デル・テクノロジーズの直販だけでなく、パートナー経由でも提供が可能となっている。

Flex on Demand

 3つ目の「STORAGE-AS-A-SERVICE」は、2021年上半期に米国で提供を予定するストレージサービスで、ストレージ利用にかかった料金を、利用した分だけ支払うことができる。Dell Technologies Cloud Consoleからのセルフサービスで利用を始め、利用する場所はオンプレミスになるものの、所有権はデル・テクノロジーズ側にある。このため、ユーザーは本来のビジネスにのみ集中することができるとのこと。

STORAGE-AS-A-SERVICE

 このほかのサービスとしては、コンピューティングパワーを利用する「COMPUTEaaS」、PCをサービスとして利用する「PCaaS」、データプロテクションをサービス化した「DPaaS」、SAP製品のように特定ソリューションをサービス化して提供する「SAPaaS」などの製品・ソリューションをサービスとして提供していくとしている。

提供予定のその他のサービス・機能

DXが容易でないことは日本企業だけの課題ではない

 また、グローバルで行ったデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する調査結果の発表を行った。すでにグローバルの調査結果は発表しているが、「コロナ禍で海外企業は80%を超えて、デジタル化に取り組んだにもかかわらず、日本企業でデジタル化に取り組んだ企業は50%にとどまった」(黒田氏)としており、日本企業のデジタル化は、依然として後手にまわっていることが明らかになった。

 「調査では、グローバルはデジタル導入が加速したものの、日本企業は導入を前提として調査等を行うデジタル調査が拡大した。遅ればせながら、日本企業もデジタル化に取り組むようになったのではないか」(黒田氏)。

 2020年のデジタル化加速について、日本企業の98%、グローバルでは94%が「現在、変革への困難な障壁に直面している」と回答。しかし、グローバルでは80%が「現在、デジタル変革を加速している」と回答したのに対し、日本企業は55%にとどまった。

 一方、日本企業は「十分なスピードで変革できていない、と不安を感じている」が68%にのぼり、デジタル化に大きな戸惑いを感じていることが明らかになった。

 「DXは加速しているが、グローバル、日本どちらも大きな障壁を感じていることも明らかになった。DXが容易ではないことは日本企業だけの課題ではなく、グローバル共通の課題といえる」(黒田氏)。

2020年における、デジタル変革の加速について

 デジタル変革の阻害要因は、グローバルと日本では上位が異なっている。グローバルではトップがセキュリティであるのに対し、日本はスキルやノウハウ不足、デジタル文化が未成熟、脆弱なデジタルガバナンス/構造が上位で、「日本企業が課題としてあげているのは多くが意識に関係するもの」(黒田氏)と指摘する。

デジタル変革の阻害要因

 2020年に加速したデジタル変革は、グローバルがセキュリティであるのに対し、日本ではリモートワークの拡大がトップとなった。「コロナ禍以前は、本気でリモートワークに取り組む企業が少なかったからではないか」(黒田氏)と分析している。

 今後1~3年で投資を予定する分野としては、グローバルではセキュリティがトップで、2位がデータ管理ツールとなった。それに対し日本企業は1位がAI、2位は商業/産業用ロボットとなった。

今後1~3年における投資対象エリア

 知識共有やデジタルスキルへの投資推移では、グローバルは着実に投資が増加しているものの、日本企業は一度増加したもののその後、減少している。

 黒田氏は今回の調査結果を受け、「日本企業の状況認識は適切だと考える。状況に応じて優先付けをきちんと行うことがポイント」と指摘している。