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企業の“マルチクラウド・バイ・デザイン”への変革を支援――、デル・テクノロジーズ

 デル・テクノロジーズ株式会社は20日、同社のマルチクラウド戦略について説明した。

 米Dell Technologies グローバルスペシャルティセールス担当SVPのカイル・レジェスキー氏は、「マルチクラウドがビジネスの成長とイノベーションの源になるというのは、多くの企業の共通認識である。95%の企業がビジネスの成功のためには、マルチクラウドが重要だと答えている。これはマルチクラウド・バイ・デフォルトといえる状況が訪れていることを意味するが、残念ながら、運用、コスト、技術の観点で課題が発生している」と語り、「これを、より良い設計とするマルチクラウド・バイ・デザインに変えていく必要がある。当社にとって、ここに大きなチャンスがあると考えている」と語った。

マルチクラウド・バイ・デフォルトの課題
マルチクラウド・バイ・デザイン
Dell Technologies グローバルスペシャルティセールス担当SVP ストレージ、プラットフォーム、ソリューション、APEX as-a-Serviceソリューションチャネル、アライアンス、 OEMのカイル・レジェスキー(Kyle Leciejewski)氏

 レジェスキー氏は、マルチクラウドの課題として、「データ」、「アプリケーション」、「デベロッパー」の3点から説明する。

マルチクラウドの3つの課題

 データでは、マルチクラウド環境における一貫したデータ管理が求められており、同時に、データの増大への対応や、複数のクラウドにまたがるデータアクセスの課題、ディザスタリカバリやサイバーリカバリの課題があることなどを指摘する。調査によると、2020年には64ZBだったデータ生成量は、2025年には180ZB(ゼタバイト)にまで拡大すると見られている。

 「これまで以上に、シンプルで俊敏性があるデータ管理が求められている。そうしたニーズに対して、当社では、as-a-Service型のAPEXにより、シンプルさ、俊敏さ、コントロール性を持ったサービスで応えることができる」とする。

 Dell Technologiesでは、as-a-Service型の仕組みで、オンプレミス、コロケーション、パブリッククラウドの環境においてデータストレージサービスを提供。日本でも7月14日から、APEX Data Storage Servicesの提供を開始したところだ。

 「APEX Data Storage Servicesによって、ビジネスを拡大しながら、ストレージに関わるさまざまなコストを、より適切にコントロールできる。新たなStorage-as-a-Serviceが、顧客のIT体験を変革し、インフラストラクチャの管理から解放され、ビジネスの成果に注力することが可能になる」とする。

 また、APEXによって提供するas-a-Serviceは、パブリッククラウドサービスを補完する機能を提供でき、パブリッククラウドだけで利用するよりも、大幅なコスト削減が実現できたり、管理の効率化が図れる事例が増加していることを示した。

APEX

 なお、Dell Technologiesでは、Project Alpineを2022年下期に投入することを発表しているが、レジェスキー氏は、「Project Alpineは、当社のマルチクラウド戦略に大きなインパクトをもたらすものになる」と位置づけた。

 Project Alpineは、ストレージソフトウェアをAWSやMicrosoft Azure、Google Cloudといった主要なハイパースケーラー上で稼働させるもので、オンプレミスで利用している「Dell PowerStore」や「Dell PowerScale」、「Dell PowerFlex」、「Dell ObjectScale」とのシームレスな接続と、一貫した管理性を提供する。

 レジェスキー氏は、「パブリッククラウドに移行しているワークロードにも当社がタッチできるようになり、そこに当社の価値を提供できる。すでにパブリッククラウドのなかで、当社のソフトウェアを利用することで保護しているデータは10EB(エクサバイト)に達している。顧客数では1600社以上になる。Project Alpineは実験的なものではなく、大規模に展開していくことになり、今後は、パブリッククラウドで展開できる当社のソフトウェアを、嵐が吹くような勢いで増やしていくことになる。また、Project AlpineはAPEXの機能のなかで提供していく」などと述べた。

APEXとProject Alpine

 2つめのアプリケーションでは、マルチクラウド環境となることで、パブリッククラウドにもプライベートクラウドにもアプリケーションが分散し、一貫性が欠如した管理環境となっている課題を指摘。Dell Technologiesでは、あらゆる環境に向けて、近代化したアプリケーションの展開と管理をサポートすることができるとした。

 また、ISVの80%は、アプリケーションソフトウェアをコンテナ形式で提供していること、グローバル企業の85%がコンテナ化されたアプリケーションを本番環境で実行していることなどを挙げ、「複数のクラウドにわたる運用の合理化、クラウドネイティブモデルと従来モデルの両方をサポートすることが、ますます大切になる」とした。

 Dell Technologiesでは、VMwareによる仮想環境や、ハイブリッドクラウド、プライベートクラウドに対応したコンピュートおよびHCI環境を、APEXのなかでサポート。AmazonやMicrosoft、 Google、SUSE Rancher、Red Hatを含む、主要なクラウドスタックを使用したマルチクラウドコンテナオーケストレーションにより、最新のアプリケーションをどこにでもデプロイし、実行できる環境を実現すると述べた。

 3つめのデベロッパーでは、あらゆるクラウド環境において、アプリケーションとサービスの配信を加速し、マルチクラウドの複雑さによって生まれる開発者の生産性の低下と、運用の課題を解決することを目指していると述べた。

 開発者の時間の20%以上がコードの記述に費やされていること、CIOの78%がアプリケーションの最新化を最優先事項としていることを挙げながら、開発者がコア機能に集中できるようにすることや、アプリケーションとリソースのデプロイを自動化すること、優先するクラウドスタックを活用して、目的の環境でアプリケーションを実行することなどを支援できるとした。

 さらに、レジェスキー氏は、「マルチクラウド戦略を推進する上では、バートナーとのエコシステムが重要である。ハイパースケーラーやコロケーションプロバイダー、クラウドサービスプロバイダー、システムインテグレーター、アウトソーサーなど多岐に渡っており、60億ドル規模となる業界最大のエコシステムを実現している。日本においても重要なパートナーが多い」と述べた。

 そして、「プライベートクラウド、パブリッククラウド、エッジをカバーし、それぞれの分野において、Dell Technologiesは信頼されるアドバイザーとなり、データストレージサービスや、データ保護でもリーダーのポジションにある。グローバルに統合したサプライチェーンやミッションクリティカルシステムを支えてきた歴史もある。幅広いサービスをもとに、データを中心にした包括的なアプローチが可能であり、マルチクラウドのニーズに対応することができる」とした。

マルチクラウドへのデプロイを広く支援可能

 一方、VMwareとの関係についても言及。「2021年11月以降、資本面でのオーナーシップはないが、技術面においては複数年の契約がある。両社で最高の商材を、継続的に市場に提供することができる。Dell TechnologiesとVMwareが協力して開発したVxRailは、先ごろ、累計10万ノードの販売を達成し、HCI分野で最も成功を遂げている製品である」などとした。