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Dell Technologies、自律型コンバージドインフラ「PowerOne」や新たな料金設定モデルなどを発表

Dell Technologies Summitレポート

 米Dell Technologiesは11月12日・13日(現地時間)の2日間、米テキサス州オースティンで、全世界のメディアやアナリストを対象にした「Dell Technologies Summit」を開催した。

 同社は毎年春に、年次イベントの「Dell Technologies World」をラスベガスで開催しており、今年も1万5000人のパートナーやユーザー企業などが参加。Dell Technologiesのマイケル・デル会長兼CEOをはじめとするDell Technologiesファミリーの幹部から、今後の事業方針や戦略、最新技術や新製品が発表された。

 それに対して、今回初めての開催となったDell Technologies Summitは、参加者を約200人のメディアやアナリストに絞り込んだ形で開催する小規模なものだが、本社があるオースティンで開催し、事業戦略の進捗状況や、この時期に発表する新たな製品などを披露する場と位置づけた。

 同社によると、今後もDell Technologies Summitを毎年開催する予定であり、春の「Dell Technologies World」、秋の「Dell Technologies Summit」という2つの場を通じて、同社の方針などが示されることになる。

米テキサス州オースティンで開催された「Dell Technologies Summit」

発表の目玉となった自律型コンバージドインフラ「Dell EMC PowerOne」

 今回のDell Technologies Summitのテーマは「the next data decade」だ。

 これについて、デル会長兼CEOは、「2007年には年間86PBのデータが生成されていたが、2019年にはわずか18時間で86PBのデータが生成されている。さらに2030年になると、わずか10分で同じ量のデータが生成されることになる。データ量は5万5000倍にも拡大しており、これがthe next data decade(次のデータの10年)を形成することになる」と前置き。

 「大量のデータをもとに、AIをはじめとした先進的な技術を活用してサービスを改善し、社会全体が変化を遂げ、社会や企業の課題を解決することができる。これからは、データがなくてはイノベーションが起こらない。それが証明される時代がやってくる」と語る。

 そして、「データが持つパワーを生かすためには、テクノロジーが必要であり、そこにDell Technologiesが貢献できる」と続けた。

Dell Technologiesのマイケル・デル会長兼CEO

 Dell Technologies Summitで目玉となったのが、自律型コンバージドインフラストラクチャ「Dell EMC PowerOne」である。そして、同製品をthe next data decadeに最適化した製品だと位置づける。

 Dell EMC PowerOneは、コンピュートの「PowerEdge」、ストレージの「PowerMax」、ネットワーキングの「PowerSwitch」、仮想化ソフトウェアの「VMware」を内蔵するとともに、先進のオートメーションエンジン「PowerOne Controller」を搭載する点が特長だ。

 このPowerOne Controllerでは、Kubernetesのマイクロサービスアーキテクチャを活用するとともに、Ansibleワークフローを利用し、コンポーネントの構成設定とプロビジョニング、およびライフサイクル管理を自動化することができる。

自律型インフラストラクチャ「Dell EMC PowerOne」

 Dell Technologiesのジョン・ローズ プレジデント兼プロダクト&オペレーション担当CTOは、「Dell EMC PowerOneは革新的なプロダクトであり、VMwareとの深い関係をもとに開発したものである。自律化したことで、人手がかかっていた98%の作業が削減される」と語る。

 また「管理者は目標とするタスクの成果を入力すれば、システム自らが目標実現のための最良の手段を自動計算して実行する。また、ライフサイクル全体を通じて数千のマニュアルステップを自動化できる。顧客管理型のDaaS(Datacenter as a Service)を実現し、顧客の業務を支援でき、企業におけるITの展開、管理、消費を容易に行える自律型インフラストラクチャーである」と紹介した。

Dell Technologiesのジョン・ローズ プレジデント兼CTO

 プライベートクラウド、パブリッククラウド、エッジロケーションのすべてを網羅する一貫性のあるインフラとオペレーションを提供するとともに、ユーザーは自動化によって、ワークロードやアプリケーションの展開、新製品およびサービスの開発など、それぞれの業務に集中できるようになるという。

 なおPowerOneは、VMware Validated DesignsおよびDell EMCのベストプラクティスに基づく内蔵のワークフローを活用することで、ハードウェアおよびVMwareクラスターの初期構築と構成設定を自動化することが可能。プロセスの時間を短縮。自動化したモジュール式のシステムアップデートと検証により、日常的なオペレーションとライフサイクル管理を簡素化する。

 さらに、自動化したプロビジョニング機能と拡張機能により、容量と資源の追加、削除、再割り当てを実行できるため、ビジネスニーズに合わせた変更や運用を、より簡単なオペレーションで対応できるのも特徴だ。オプションで提供されるデータ保護の「PowerProtect」も統合を図ることができる。

 ちなみにPowerOneの名称は、「Dell Technologiesファミリーが持つ製品群の統合により、Power of One(一体化した力)を実現した製品」(Dell Technologies ネットワーキング&ソリューション担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのトム・バーンズ氏)ということから命名されている。

 2019年11月22日から、日本を含む全世界で受注を開始する予定だ。

Dell Technologies ネットワーキング&ソリューション担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのトム・バーンズ氏