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NEC、ドライブレコーダーとAIで道路の劣化状態を診断するサービス「くるみえ for Cities」を提供開始

 日本電気株式会社(以下、NEC)は12日、ドライブレコーダーで記録した映像や加速度情報をAIで分析することで、路面のひび割れ状況や平坦性などを効率的に調査できる道路劣化診断サービス「くるみえ for Cities」の提供を開始した。サービスの価格は月額50万円(税別)から。

 くるみえ for Citiesは、熟練した職員が人手・目視によって行っているケースが多い、県道や市町村道の点検作業を効率化するサービス。自治体が保有するパトロール車両などにドライブレコーダーを取り付けて走行するだけで、路面のひび割れ状況や平坦性などを広範囲かつ効率的に調査できる。専用車両や高価なカメラ機器などの初期投資が不要なため、手軽に道路劣化診断を開始でき、予防保全を含むデジタルメンテナンスの実現につなげられる。

 サービスでは、走行中にドライブレコーダーが記録した路面の映像とレコーダーに内蔵された加速度センサーの情報を、NECのデータセンターにモバイル通信でリアルタイムに送信する。それらの情報をAIで分析することで、映像からひび割れを、加速度情報から路面の平坦性をそれぞれ把握し、異常や劣化の可能性がある箇所を地図上に表示する。自治体は、AIによる診断情報や映像を基に、現場の確認や修繕計画の立案を効率的に行うことができる。

AIによる路面のひび割れ状況検知のイメージ
くるみえ for Citiesのサービス画面イメージ

 NECではサービスの提供開始に先立ち、2020年3月から株式会社南紀白浜エアポートと、くるみえ for Citiesを活用した空港滑走路の路面調査および点検の効率化に関する実証実験を進めている。実証実験では、通常の道路にはない滑走路ならではの環境(路面の多数のタイヤ痕、路面上の排水溝など)においても高精度な調査ができるよう、AIの性能改善に取り組んでおり、NECと南紀白浜エアポートは今後も、滑走路面での本サービスの実用化に向けて技術実証を進めていくとしている。

 さらに、NECと南紀白浜エアポートでは、空港維持管理業務のさらなる高度化・効率化に向け、これまでの技術実証の拡張として、衛星合成開口レーダーを活用したインフラモニタリング技術についても実証実験を行う覚書を11月11日に締結した。この実証実験では、衛星合成開口レーダーで空港とその周辺エリアを観測し、観測データを時系列で比較することで、滑走路面の変動(地盤沈下など)や空港周辺の障害物を検知する技術の実用化を目指す。加えて、ドライブレコーダーの情報と衛星合成開口レーダーの情報を組み合わせることで、路面劣化発生の原因推定や、劣化の進行度合いの分析など、予防保全の実現につながる取り組みを共同で検討していくとしている。

 NECでは、くるみえ for Citiesについて、NECグループが11月12日~14日に開催するデジタルイベント「NEC Visionary Week」のデジタル展示と、12月2日のプログラム「老朽化インフラのデジタルメンテナンスに挑む ~ドラレコ×AI診断~」で紹介する。