ニュース

米Oracle、企業のデータセンター内でパブリッククラウドと同等の環境を利用できる新サービス

世界初採用はNRI、まずは金融業向けSaaS型ソリューションを移行

 米Oracleは8日(米国時間)、同社の次世代クラウドサービスをユーザー企業のデータセンター内にて提供する「@Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」を発表した。企業は、Oracleが提供している50を超える全クラウドサービスを自社データセンター内で利用可能になるとのこと。価格は月額50万ドルから。

 「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」は、Oracleがパブリッククラウドの商用リージョンで提供しているものとまったく同じ、最新のクラウドサービス、API、SLA、セキュリティなどを、企業のデータセンター向けに提供するソリューション。厳しいレイテンシの制約や、データの保管場所を制御できるデータレジデンシーの要件への対応、運用コストの削減、レガシーアプリケーションのモダナイゼーションなどを必要とする、規制の厳しい企業や、セキュリティに重点を置いた企業での利用に適しているという。

 サービスにはフルマネージドの管理機能が含まれており、Oracleのパブリッククラウドで利用できるようになった時点で、新しい機能へアクセスすることが可能になる。加えて、あらゆるAPI運用を含む顧客データは、厳密に分離してオンプレミスのデータセンター内でローカル保管できるようにしており、最高水準のセキュリティが提供されるとした。

 さらに、Cloud ERP/HCM/SCM/CXなどの「Oracle Cloud Applications」をシームレスに稼働できることが実証されているため、オンプレミス環境下で緊密に統合されたクラウド体験を実現するとのこと。

 また価格は、Oracleの商用リージョンで提供されているのと同様の予測可能な価格体系に基づき、使用したサービスのみについて料金を支払う形態になるとした。

 なお第1号ユーザーとしては、株式会社野村総合研究所(NRI)、オマーンの政府機関Oman Information and Communications Technology Groupがこのソリューションを採用することも発表された。

 NRIでは、さまざまな業種向けに展開するミッションクリティカルかつ大規模なビジネス基盤の運用クラウド環境として利用する。まず第1フェーズとして、金融業向けSaaS型ソリューションを、オンプレミス環境からNRIのデータセンターに設置された「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」へ移行開始するとしており、この導入によってNRIは、自社のデータセンター内で統制を確保しつつ、Oracleの次世代クラウドで提供される全サービスを利用できるようになるとのことだ。

 さらに、「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」の1メニューとして、ユーザー企業のデータセンターにてデータベースクラウド「Oracle Autonomous Database」を利用できる「Oracle Autonomous Database on Exadata Cloud@Customer」も発表されている。