ニュース
シトリックス、「Windows Virtual Desktop」と「Citrix Cloud」を連携
クラウドVDI環境でもエンタープライズ向け拡張機能を提供
2019年11月25日 06:00
シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社(シトリックス)は22日、日本マイクロソフト株式会社と共同で、10月1日に一般提供が開始された「Windows Virtual Desktop」(以下、WVD)と、「Citrix Cloud」の連携に関する記者説明会を開催した。
説明会では、まずシトリックス・システムズ・ジャパン アジア・パシフィック・ジャパン事業推進本部 ソリューション推進マネージャの小林伸睦氏が、VDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)市場のニーズが変化していることを指摘。
「従来のVDIは、IT運用の効率化やセキュリティリスク対策が主な導入目的だった。しかし、昨今では、VDIの導入検討にあたって、『顧客エンゲージ』、『コラボレーション』、『働き方改革』、さらには『BYO』といったキーワードが挙がるようになってきた。企業のVDIニーズは、“ITのためのVDI”ではなく、“ビジネスを加速させるためのVDI”へと変化しつつあり、VDIプラットフォームもオンプレミスからクラウドモデルへとシフトしていくと考えている」と述べた。
「シトリックスでは、オンプレミスの時代から、Windowsのリモートデスクトップサービスの機能にさまざまな付加価値を提供し、エンタープライズで利用できるVDI環境の実現を支援してきた。今回、マイクロソフトから『WVD』がリリースされたが、クラウドモデルへ移行しても、今までと同様に、『WVD』の機能を拡張し、付加価値を提供する役割を担っていく」と、クラウドVDIの時代においてもシトリックスとマイクロソフトの協業関係は変わることはないと強調した。
「WVD」は、Microsoft Azure上で実現する仮想デスクトップサービスで、Windows 10のマルチセッション環境を提供し、Office 365 ProPlusの利用に最適化されている。また、従来のWindows Server VDI/RDS環境をシームレスに移行することが可能となっている。
日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ部門 Azureビジネス本部の佐藤壮一氏は、「Azureのインフラは、全世界に54のリージョンを持ち、海底ケーブルを含めてファイバー網のマイル数は10万以上、エッジサイト数は135以上、パートナー数も200を超えている。『WVD』の仮想マシンは、この広大で高品質なグローバルインフラとバックボーン、および柔軟なスケーラビリティを活用できる点が大きなメリットになる。また、Azure上にアプリケーションとワークスペースの両方が実装されることで、さらなる低レイテンシーを図れるほか、必要なタイミングで最新のGPU環境が利用可能になるなど、VDIの新たな可能性を開くことができる」と、「WVD」を活用するメリットを紹介した。
そして、「WVD」における「Citrix Cloud」の位置づけについて、シトリックス・システムズ・ジャパンの小林氏は、「『Citrix Cloud』は、『WVD』と連携することで、WVD環境の効率的で快適な運用を実現するための機能を拡張する。また、WVD環境だけでなく、VDIをホストするオンプレミスやほかのクラウドを含めたハイブリッド・クラウド環境の統合ポイント、およびその入り口を提供する。さらに、VDIワークロードがどこで稼働していても、VDI全体を統合管理できるコンポーネントを提供する」と説明した。
「Citrix Cloud」と「WVD」の連携によって実現する付加価値としては、「高度なセキュリティ・運用のための機能」「費用対効果の最大化」「より快適なユーザー環境の実装」の3つを挙げた。
具体的な連携機能として、エンタープライズ運用に必要な管理性とGUIによるわかりやすい操作性を「WVD」に提供する。また、インターネットを経由せずにアクセスできるため、セキュリティレベルを下げることなく「WVD」を活用することが可能になるという。
自動的に定義したスケジュールに基づいて仮想マシンの起動・停止を制御できるAuto Scale機能では、きめ細かい電源管理によるリソース最適化を実現する。さらに、エンドツーエンドのパフォーマンスを可視化するダッシュボードを用意。ユーザーの快適指数を数値化して表示することで、改善のためのインサイトを提供する。