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Dropbox、大幅な機能アップデートで新たな統合ワークスペースを提供

コンテンツ、ツール、チームを統合し働き方改革を推進

 Dropbox Japan株式会社は20日、コラボレーションプラットフォーム「Dropbox」の大幅な機能アップデートを実施し、新たな統合ワークスペースの提供を開始すると発表した。同日に行われた記者会見では、機能アップデートを実施する背景や、新たに提供する統合ワークスペースの概要について説明した。

 今回のアップデートは、Dropboxの歴史において過去最大のユーザー向け機能強化となるもの。これにより、企業内で管理している各種ファイルや分散するツール、さらにチームを1つのワークスペース上に統合することが可能となる。

 会見冒頭で、Dropbox Japan代表取締役社長の五十嵐光喜氏は、「現在、多くの企業が、長時間労働の是正や生産性向上、業務効率化を目的として働き方改革に取り組んでいる。しかし、当社が今年5月に実施した調査によると、1日の就業時間平均8.9時間のうち、生産性のカギとなる本業に使われている時間は65%。つまり、残りの35%、平均190.9分は本業以外に費やされていることが明らかになった」と、働き方改革の実態を指摘。

 「さらに、本業以外の業務として、情報共有に関わる作業時間が157.5分を占めていることがわかった。今回の機能アップデートで提供する統合ワークスペースによって、こうした本業以外の作業時間を大幅に削減できると考えている」と述べた。

Dropbox Japan代表取締役社長の五十嵐光喜氏

 そして、同日開催のイベント「Dropbox Connect 2019 in Tokyo」で来日している米Dropbox 最高技術責任者(CTO)のクエンティン・クラーク氏が登壇。

 現在のナレッジワーカーが抱えている課題について、「必要なコンテンツが分散し、アクセスがますます困難な状態になっている」「ツールが分断されているため、1つのタスクをこなすのに複数のツールを行き来することが必要」「チームとして足並みを揃えることが至難の業になっている」という3点を挙げ、「これらの課題を解決するべく、大幅な機能アップデートを実施した。新しいDropboxでは、すべてのコンテンツを1か所で管理することができる。また、日常的に使っているツールを1つにまとめ、Dropbox上のコンテンツと連携。さらに、チームを1つにして共同作業をスムーズにするためのワークスペースを提供する」と、アップデートのポイントを説明した。

米Dropbox 最高技術責任者(CTO)のクエンティン・クラーク氏

 具体的には、コンテンツ関連の機能では、Googleドキュメントやスプレッドシート、スライドなどのWebベースのファイルを「Dropbox」で作成しアクセスや共有することが可能となった。Microsoft Officeファイルを、Office OnlineやGoogleドキュメントで開くこともできる。

 また、Webコンテンツへのショートカット機能を提供。Atlassian社が提供するTrelloボードなどの生産性向上ツールや、Wikiページ、ニュース記事などへのリンクといったウェブショートカットを作成して、従来のコンテンツと一緒にDropboxに保存することができるようになった。

統合ワークスペースのイメージ画面

 WindowsのシステムトレイとmacOSのメニューバーにあるDropboxアイコンをクリックした際に表示される内容も刷新。共有コンテンツのアクティビティ把握や重要なファイルへの素早いアクセスが可能になるとともに、新規コンテンツをDropboxから直接作成できるようになった。また、チームアクティビティフィードを参照して、共有ファイルの更新状況を確認することもできる。

 ツール関連の機能では、SlackとZoom Meetingとの統合を実現し、Dropboxからそのまま利用できるようになった。Slackについては、Dropbox上でアプリを立ち上げずにSlackの会話を開始し、Slackのチャンネルにファイルへのリンクを直接送信できる。さらに、Slackの会話上でDropboxファイルを簡単に共有することもできる。

 Zoom Meetingsについては、Dropboxから直接ミーティングの参加や開催ができ、ZoomでそのままDropboxのファイルを画面共有することも可能となった。このほか、Dropboxファイルの横にSlackとZoomの共有アクティビティが表示され、確認することができる。

統合ワークスペースのイメージ画面

 「これらの新機能によって、コンテンツ管理やツールの切り替えにかかる作業時間が短縮され、多くの時間を本業に使うことが可能になる。さらに当社では、Atlassian社とも戦略的パートナーシップを締結しており、今後数か月間でDropboxとAtlassianのプラットフォームを緊密に統合し、共同作業におけるプロジェクトの整理、調整、実行をよりスムーズにしていく予定だ」(クラーク氏)。

 チーム関連の機能では、デスクトップ、モバイル、Webでフォルダの機能を強化し、共同作業のための便利なワークスペースを提供する。「このワークスペースを通じて、IT担当者は、チームとメンバーの管理を効率化することができる。また、データセキュリティとコンプライアンスを徹底できるとともに、行動の根拠となる情報を入手することが可能になる」(クラーク氏)としている。

 統合ワークスペースの主な特徴は、チームとメンバーの管理効率化として、「マルチチーム管理機能」「個々のビジネス用アカウントから個人用アカウントへの変換」「メンバーの容量制限」などに対応。セキュリティとコンプライアンスでは、「ダウンロードの無効化」「ディレクトリの制限」「遠隔削除」「国内でのデータ保存」などを提供。行動の根拠となる情報入手としては、「アクティビティページの設置」「レポート機能の強化」「イベントおよびレポートのスケール改善」を実施した。

アクティビティページのイメージ画面

 なお、新しいDropboxのデスクトップアプリは、先行アクセスプログラムに参加することで、すべてのユーザーが利用できる。また、企業の管理者は、管理コンソールからチーム全員を参加させることができる。これらの機能は、Dropboxの全ユーザーを対象に、今後数週間で段階的にリリースしていく予定。