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Dropbox、国内にホスティング環境を構築 2019年夏より法人顧客にサービスを提供
2019年3月22日 06:00
Dropbox Japan株式会社は20日、事業戦略発表会を開催。同社 代表取締役社長の五十嵐光喜氏が、日本国内のAmazon Web Services(AWS)環境上にDropboxのローカルホスティング環境を構築することを明らかにした。
国内のホスティングサービスは、2019年夏より提供する。対象となるのは、法人向けの「Standard」「Advanced」「Enterprise」、および教育機関向けの「Education」の合計4プランを利用するユーザー。個人向けプランは対象となっていない。
Dropboxでは、これまでにもインフラ投資に注力してきており、2017年には国内の接続拠点(PoP:Point of Presence)を開設している。これにより、「より高速でより安全な利用環境が整った」と五十嵐氏。今回発表したローカルホスティング環境は、「特にビジネス利用の顧客から要望が高かった。そのニーズに応え、国内でのデータ保管を実現する」という。
ローカルホスティングサービスには3つの特徴がある。そのひとつは価格だ。顧客からの「価格を上げないでもらいたい」という要望に応じ、サーチャージを課すことなくサービスを提供する。これまで通り北米でのホスティングも可能で、データの場所に関わらず同一価格で利用が可能だ。
2点目は、データの移行サービスを提供すること。既存の顧客で北米のデータを国内に移行したい場合、無料でデータの移行を支援する。
3点目は、複数拠点のデータが一元管理できることだ。例えば、北米拠点のデータは北米に置き、国内拠点のデータを国内に置く場合でも、Dropboxのマルチチーム管理機能により、双方のデータが一元管理できるという。
Dropboxでは、国内でのデータ保管が可能になることで、顧客層の拡大につなげたい考え。五十嵐氏は、「インフラは目に見えにくい部分だが、縁の下の力持ちとして重要な部分。インフラへの投資によって、国内での利用環境をさらに整えていく」としている。
パートナー連携やデジタルトランスフォーメーションにも注力
このほか、五十嵐氏は2019年の注力分野として、同社が重要視するコラボレーションの「3C」を、国内パートナーと連携して実践することを挙げている。
コラボレーションの「3C」とは、「コンテンツ」「コーディネーション」「コミュニケーション」だ。Dropboxでは、この3Cを支えるプラットフォームを提供するとしているが、そのアプローチとしてオープンエコシステム方式を採用。「Dropboxがすべてを開発するのではなく、顧客が選択するさまざまな製品とインテグレーションしていく考えで、そのためにもパートナーとの連携が必要だ」と五十嵐氏は述べている。
また、デジタルトランスフォーメーションを推進することも2019年の注力分野だ。五十嵐氏は「Dropboxがデジタルトランスフォーメーションの基盤になる」としており、そのひとつとしてデジタル上のホワイトボードのような役割を果たす「Dropbox Paper」の活用を促進していきたいとした。「Dropboxでコンテンツをシェアするだけでなく、Paperを使って考えもシェアしてもらいたい。この組み合わせで、デジタルトランスフォーメーションを推進する」(五十嵐氏)。
さらに五十嵐氏は、長期的な戦略として、AIを活用した検索やファイルのレコメンデーションを実現する「Dropbox Intelligence Initiative(DBXi)」や、コンテンツを中心とした作業を実現する「Dropbox Extensions」への取り組みについても触れた。
Dropbox Extensionsは、例えばこれまでのように書類を作成するためにWordなどのアプリケーションを立ち上げ、契約書にサインするために電子署名アプリを立ち上げるといったアプリケーションを中心とした作業ではなく、コンテンツそのものから文書を修正したり送信したりといったように、コンテンツを中心として作業ができるようになるというものだ。
DBXiはすでに実装を開始しており、今後さらに精度を高めていくとしている。
2018年には米NASDAQに上場し、収益が前年比26%増の13億9000ドルに達したDropbox。有料ユーザー数も着実に増加し、1270万人にのぼるという。中でも日本はDropboxにとって世界でもトップクラスの業績を上げている市場であることから、今回発表したローカルホスティングサービスをはじめ、今後も日本への投資に期待が持てそうだ。